2015年10月26日号

(2015年10月19日~2015年10月23日)

先週の為替相場

ドラギ総裁の早期緩和示唆でドル全面高に

ECBのドラギ総裁は22日のECB理事会後の会見で、次回12月3日の会合で追加の金融緩和を実施する可能性を示した。これを受けて一気にユーロ売りドル買いが進行。ユーロドルは8月11日以来の1.10割れまで一時下値を伸ばした。この動きをきっかけに、ドルは対円などでも買いが優勢に。緩和が示唆された欧州株だけでなく、米、日などでも株価が大幅上昇したことで、リスク選好による円売りも入り、ドル円はECBまでの119円台から121円近辺に。さらに、26日からの第18期中央委員会第5回全体会議(5中全会)を前に23日に中国人民銀行が追加緩和ヘ踏み切ったことによるドル買い円売りも加わり、121円台半ば手前までの大幅上昇となった。リスク選好の動きに支えられた豪ドルやNZドルなど資源国通貨も対円で上昇。ユーロ売りが激しい分、ユーロ円だけは円買いが優勢となった。

今週の見通し

基本的にドル高円安の継続が期待される。FOMCでは現状維持が濃厚。もっとも、12月もしくは3月頃までの利上げという見通しが大勢で、緩和期待の強い円やユーロに対するドル高基調の継続が見込まれる。日銀の金融政策決定会合では追加緩和に対して市場の見通しが揺れている。海外勢は緩和への期待が強い様子。緩和に踏み切った場合内容にもよるが、ドル円の122円の大台乗せが十分に見えてくる。現状維持となった場合、国内勢は予想通りとなるが、海外勢を中心にポジション調整のドル売り円買いが入る可能性も。ドル円は120円台前半のサポートがポイントとなりそう。

短期的には一旦ポジションの調整が主体となる可能性も。今週は後半に米FOMC、米第3四半期GDP速報値、日銀金融政策決定会合と重要イベントが控えている。先週末に大きく上昇した後ということもあり、イベントを前にした週前半のタイミングで上値をさらに更新していくことには慎重な姿勢も。短期筋を中心に一旦調整が入る可能性は高い。ユーロドルが1.10を一旦割り込み、下値一服感が出ていることも調整を誘いそう。調整の目処はドル円が120円台前半、ユーロドルが1.11台半ば。

資源国通貨はECBの次回緩和示唆、中国人民銀行の追加緩和、日銀の追加緩和期待といった世界的な金融緩和の流れを受けて、しっかりの見込み。もっとも、29日5時のニュージーランド中銀金融政策会合での利下げ見込みには要注意。ある程度織り込み済みであり、影響は抑えられるとみられるが、予想以上に売りが入る可能性も。NZドル円は80円台前半が調整の目処に。

今週の注目指標

中国共産党中央委員会第5回全体会議(5中全会・29日まで)
10月26日
☆☆☆
現行7%前後としている経済成長率について、基本的に維持する方針が示されると予想されている。持続可能な形で成長を続ける具体的な施策を示されるかどうかなどが注目材料に。市場の期待を裏切ると上海株安からドル円などでも円高が進む可能性も。30日の閉会までは神経質な展開が続くか。中国株に大きな売りが入った場合、ドル円は120円前半を目先のターゲットに、一旦調整が進む可能性も。
米連邦公開準備制度理事会(FOMC)
10月29日03:00
☆☆☆
今回のFOMCは、会合後のイエレン議長会見などが予定されていない回(年8回のFOMCのうち半分の4回で基本的に実施)ということもあり、もともと利上げの期待は低めであった。ここに来て雇用統計や小売売上高といった重要指標が軒並み弱めに出ていることで、その期待値がさらに低下。市場は現状維持を織り込む形となっている。殆どの予想通り現状維持となった場合、声明で12月の利上げについて前向きな姿勢が見らるとドル買い。逆に慎重な姿勢が見られるとドル売りに。利上げ期待が高まるとユーロドルは1.10をしっかり割り込んで売り込まれる可能性。ドル円も122円が見えてくる。
NZ中銀金融政策会合
10月29日05:00
☆☆☆
NZ中銀は前回9月10日の会合で0.25%の利下げを実施。声明で次回会合でも追加緩和する可能性を指摘しており、指摘通り0.25%の利下げを行い、政策金利は2.50%となる見込み。今年2月からの乳製品価格の暴落は8月以降落ち着きを取り戻した。しかし10月20日に行われた最新の牛乳電子オークション(乳製品大手フォンテラ主催・月二回開催)では、5回ぶりに前回比マイナスとなるなど、懸念が復活しており、予想通りの利下げ実施が基本路線となっている。実施の場合ある程度のNZドル売りに。予想外に据え置いた場合、声明で今後の緩和を強く示唆しないかぎり大きくNZドル買いに。この場合ターゲットは85円となりそう。
米第3四半期実質GDP(速報値・前期比年率)
10月29日21:30
☆☆☆
第2四半期は前期比年率+3.9%と大幅上昇となった米GDP。個人消費の拡大に加え、建設投資などが大きく伸びた。ただ、今回は1.7%まで伸びが鈍化する見込み。2015年の経済成長率見通し2.4%と比べても大きな前回分の反動が出る見込み。予想前後の数字は織り込み済みであるが、アトランタ連銀によるGDP予想「GDPNow」は+0.9%とかなり低めの数字を見込んでいる。中国の景気鈍化による輸出の落ち込みなどを意識したものとみられる。アトランタ連銀の予想値に近い弱めの数字が出てきた場合、年内の利上げ期待が相当後退し、ドル売りが進む可能性。直前の水準にもよるが、ドル円は120円割れを意識する動きになりそう。
日銀金融政策決定会合
10月30日時刻未定
☆☆☆
ECBの次回追加緩和示唆をうけて、日銀の緩和期待が拡大している。今回の会合では経済・物価情勢の展望(展望レポート)が発表される。今後のインフレ見通しの引き下げが盛り込まれる可能性があり、緩和実施のタイミングとしてもふさわしいという見方もある。付利の引き下げへの期待感も一部であるが、現実味は薄く、実施されるとすると年間80兆円という現行の国債買い入れ増加額の拡大が基本となりそう。もっとも、黒田総裁が従来からの強気な姿勢を崩していないこと、緩和の打ち止め感が出ると逆効果になる可能性もあることなどから、緩和見送りの見方も強い。見方が分かれている分、結果がどうあれ相場には影響が出そう。緩和実施で円安進行が進み122円台がしっかり見えてくる。中期的には125円も視野に。緩和見送りで一旦調整。ただ、今後の緩和期待が残るだけに、120円台では買い戻しが出そう。

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