2015年11月02日号
先週の為替相場
FOMC声明受けてドル全面高へ
先週のFOMCは声明の中で次回12月のFOMCで利上げについて協議することを表明。9月のFOMCで指摘された「世界情勢が米国の成長を抑制する可能性」との文言も外れるなど、利上げに向けてかなり前向きな内容となった。このところの米主要指標の弱さもあって、年内利上げを見送るとの見方がFOMC前まで広がっていたが、この声明を受けて利上げ期待が一気に回復。ドル高が進行する展開となった。30日の日銀会合では事前見込み通り現状政策の維持を決定。展望レポートでインフレ目標の達成時期が後ずれされたものの、黒田総裁は原油安によるもので基調に変化はないと強気姿勢を崩さなかったことで、緩和期待が若干後退する結果となり、ドル円の頭を抑える結果となった。
FOMC声明を受けてのドル買いによりユーロドルは心理的な節目でもあった1.10を大きく割り込み、一時1.08台まで。先月の理事会で12月理事会での追加緩和の可能性に言及したユーロと、同時期に利上げに向かう米国との対象的な状況がユーロ売りを誘った。もっとも、一気の下落の後は、ポジション調整もあって値を戻し、FOMC後の下げ分を一旦解消する動きになるなど、まだまだ神経質な展開が続いている。
オセアニア通貨も神経質な展開が続いた。豪消費者物価指数の弱い数字に、追加緩和期待が強まり売りが出る展開。FOMC後の米ドル全面高も、対ドルでのオセアニア通貨売りを誘った。しかし、その後一旦買い戻しが優勢になるなど市場は不安定な展開。週末の中国製造業PMIの弱さや今週行われるNZ牛乳電子オークションが弱めに出るとの観測などがNZドルの重しになる場面も見られた。
今週の見通し
今週末の米雇用統計への注目度がいつも以上に高まっている。先週のFOMC声明で12月の利上げ期待が回復。市場の見通しは、それまでの年内見送り見通しが大半という状況から、利上げと見送りでほぼ半々という状況にまで変化した。今後この情勢がどう変わっていくのか、もっとも大きな鍵となる米雇用情勢に市場の目が集まっているという状況。
前回の米雇用統計は失業率こそ良かったものの、非農業部門雇用者数(NFP・前月比)が20万人超えの予想に対して、14.2万人増にとどまるサプライズな弱さ。年内利上げ期待を一気に後退させる展開となった。今回のNFPは+18万人前後と節目の20万人には届かないものの、かなり勢いが戻る事前見通しとなっている。平均時給も前月比+0.2%と高数字が期待されており、予想通り、もしくはそれ以上の数字が出てくると、年内利上げ期待をさらに押し上げると見られる。ドル円は中期的な上昇期待が強まり、年末に向けて125円を意識するところまで上昇する可能性も。ユーロドルも目先の安値1.08台後半を割り込み、長期的にパリティ(1ユーロ=1ドル)を意識させる展開も。逆に前回並みの数字にとどまると一気にドル売りが広がる可能性がある。一旦期待が広がった後の失望的な数字となるだけに、ドル売りの勢いが強まる懸念がある。数字次第であるが、この場合、ターゲットは118円台半ばか。
2日の米ISM製造業景気指数、4日の米ADP雇用者数、ISM非製造業景気指数など雇用統計と関連のある指標に対する注目度も増している。雇用統計本番までは大きな方向性が出ることは難しいが、発表直後の神経質な乱高下に注意したい。
ドル円に関しては、日本株の動向も要注意。今週は郵政グループの上場が控えており、株式市場への注目度が高まっている。トヨタ自動車やソフトバンクなど主要企業決算も控えているなかで、堅調な地合いを維持してくるかどうか。不透明な中国株動向などの余波を受けて値を落とすようだと、ドル円は頭の重い展開も。120円ちょうど、その下119円台半ばとサポートが残っている状況だけに、株式動向だけで一気に落とすとは考えにくいが、注意は必要か。株価がしっかりした地合を維持すると、121円台回復への期待が強まる。
今週の注目指標
RBA理事会 11月03日12:30 ☆☆☆ | 一部で利下げへの期待が出ている豪ドルであるが、今回の会合では据え置き見通しが大勢となっている。もっとも、消費者物価指数の数字が弱く、利下げへのハードルが下がっていることもあり、今後の追加緩和への期待感はかなり強い。声明などが弱気なものとなると、豪ドル売りが広がる可能性も。豪ドル円は85円を割り込むと売りが加速する可能性もあるだけに要注意。しっかり割り込むと83円がターゲットとなる。 |
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イエレン議長議会証言 11月04日 ☆☆☆ | イエレンFRB議長が4日下院金融サービス委員会での議会証言を行う。利上げに向けて米国内での関心が高まる中での証言だけに、注目度が高いイベントとなっている。年内利上げの流れを強調してくるようだとドル買いに繋がる。また、同日ダドリーNY連銀総裁、フィッシャーFRB副議長の講演が予定されている。こうしたFRB要人の発言が軒並み強気なものとなると、ドル買いに弾みが付く可能性も。内容次第ではドル円は121円台半ばを超えていく可能性を意識したい。 |
英中銀金融政策会合(MPC) 11月05日21:00 ☆☆☆ | 8月からシステムが変わり、結果発表と同時に議事録の公表が行われる。今回はさらに四半期インフレ報告も同時に発表される回となっており、今後の金融政策動向を探るにあたって重要な回となっている。金融政策そのものは据え置きで見通しが一致している。ここ数回利上げを主張するメンバーは一人だけとなっているが、同調するメンバーが出てくるかどうかが最初のポイント。増えなかった場合でも、四半期インフレ報告で今後のインフレ見通しについて比較的強気な姿勢を示してくるようだと、早期利上げ期待が広がってポンド買いとなる。188円が大きなポイントとなっているが、この水準を試すような買いに繋がる可能性も。 |
米雇用統計/非農業部門雇用者数(NFP)(前月比) 11月06日22:30 ☆☆☆ | 12月の利上げが行われるかどうか、最大のカギを握るのが今回および12月初めの米雇用統計。雇用情勢の堅調な地合が確認されると、利上げ期待は相当強まる。前回サプライズな弱さとなった非農業部門雇用者数は18万人増が見込まれている。予想以上の数字が出てくるとドル買い。20万人を超えてくると、かなり強めのドル買いとなりそう。ドル円は121円台半ばをしっかり超える可能性も。ドル円以外でもユーロドルの再びの1.10割れなど、ドル全面高の展開が予想される。 |
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