2015年11月09日号

(2015年11月02日~2015年11月06日)

先週の為替相場

12月利上げ期待広がり、ドル全面高へ

6日の米雇用統計は非農業部門雇用者数(NFP)が事前見込みの+18.5万人に対して+27.1万人と驚異的な数字となった。前回、前々回の弱さを払拭する好結果。失業率や平均時給なども強めに出ており、雇用市場の力強さを印象づける結果となった。市場では、先月のFOMC声明以降、次回12月のFOMCでの利上げ期待が高まっており、その鍵を握る雇用統計への注目度が高い状況にあった。発表前から強めの数字が出るとの期待感が広がっており、ドル高の流れが進んでいたが、結果は想定をさらに超える好結果となりドル高の動きが加速。ドル円が123円台に乗せたほか、ユーロドルが1.06台をつけるなど、ドルの全面高基調が広がる展開が見られた。

その他目立った動きを見せたのがポンド。5日の英中銀金融政策会合は事前見込み通り1名の委員が利上げを主張したものの、その他8名の委員の賛成による据え置きが決定。こちらは大きな材料とならなかったが、同時に発表された四半期インフレ報告において、インフレ予想を下方修正したうえ、更に下振れリスクが有ると指摘。15年、16年の成長見通しも引き下げるなど、かなり弱気な内容となり、ポンド売りが広がった。特にポンドドルは翌日の米雇用統計を受けたドル買いでも値を落としており(ポンド安ドル高)、先週始めの1.55近くの水準から1.50台前半までの急落となっている。

今週の見通し

ドル高基調の継続が期待されている。金利先物市場の動向から推計した12月のFOMCでの利上げ期待は、先月のFOMC前までは10%を下回っており、利上げ見送りが大勢であった。FOMCの声明を受けてほぼ半々まで期待値が上昇。そして先週の雇用統計を受けて70%まで更に上昇という展開に。投資資金の流れに大きな影響を与える金融政策見通しに、短期間で大きな変化があったため、織り込みの動きが続いており、中期的にドル高傾向が意識される展開に。短期的に調整が入る局面は予想されるが、下がったところでは買い意欲が広がる展開となりそう。

ドル円は節目であった121円50銭から122円にかけての抵抗水準をしっかりと超え、更に次の大台123円台に乗せたまま週末を迎えたことで、上値意識が相当強い展開。122円台前半ではすでに買い意欲が入っており、上値は125円を意識する格好となっている。

ユーロやポンドも対ドルで軟調。先週の金融政策会合で今後の早期利上げ期待がかなり後退したポンドは、当面頭の重い展開に。1.5000の大台を割り込む動きも予想される。もっとも対円ではドル円の上昇と相殺する形で、流れがはっきりしない。方向感が無く186円を挟んで上下にかなり不安定な取引となりそう。

12月のECB理事会で追加緩和が期待されるユーロも軟調。ユーロはドルの代替通貨としての役割があり、もともとドル高の局面では売りが出やすい。ポイントを割り込んで、長期的にはパリティ(1ユーロ=1ドル)を目指すところまでの大きな動きが意識される。ポンド円同様対円では不安定。ユーロ売りが先行すれば130円の大台をターゲットとする可能性も、目先は132円-133円のレンジをコアに振幅か。

今週の注目指標

中国小売売上高
11月11日14:30
☆☆
景気減速懸念が強い中国。この日は小売売上高と鉱工業生産が発表される。予想以上に減速が目立つようだと、市場全体にリスク警戒感が広がる可能性も。豪ドルやNZドルなど、対中輸出動向が景気に占める割合が大きい国の通貨は影響が特に出やすいため、注意が必要。豪ドル円は85円近辺が強い下値支持水準。今回の指標だけで割り込むことは難しいとみられるが、もしこの水準を割り込むと、下方向に大きく動く可能性が高い。
ドラギECB総裁会見
11月11日
☆☆
利上げ期待が強い米国とは対照的にECBは12月の理事会での追加緩和期待が強い。ドラギ総裁が講演の中で追加緩和に前向きな姿勢を示すようだと、ユーロドルでのユーロ売りドル買いに拍車がかかる可能性も。1.05をしっかり割り込むかどうかがポイントに。
ユーロ圏7-9月期GDP
11月13日19:00
☆☆
12月の追加緩和実施に向けて、ユーロ圏の景気動向への注目度が高まっている。同日発表される独仏などユーロ圏主要国のGDPと合わせて注目したい。予想は前期比+0.4%と4-6月期と同水準の伸び。予想を下回り景気減速懸念が広がると、12月の緩和実施の可能性がかなり強まる。ユーロドルの1.05やユーロ円の130円といった大台を意識する展開に。
米小売売上高
11月13日22:30
☆☆☆
米国のGDPの約7割を占める個人消費動向を表すこの指標。元々注目度は高いが、先週の米雇用統計の強さを受けて、12月の利上げ期待が更に高まっている中だけに、注目度が更に高まっている。前回は好調な自動車関連を除き、やや期待外れな状況となったが、今回は強めの数字が期待されている。ここ数ヶ月記録的な売上となっている自動車販売を始め米国の個人消費動向はかなり好調なニュースが多いだけに、予想通りもしくはそれ以上の数字が出てくるという期待感が強い。この場合、ドル買いの流れに拍車がかかり、125円が意識される展開に。同時に発表される生産者物価指数(PPI)と合わせて注目したいところ。PPIは原油価格の下落によるコストの全体的な低下もあってやや弱めも、想定の範囲内であれば、小売売上高の好結果の影響が勝るとみられる。

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