2015年12月07日号

(2015年11月30日~2015年12月04日)

先週の為替相場

ECBショック

先週は市場が注目した二つの材料、ECB理事会と米雇用統計に振り回される展開となった。

ユーロの金融政策を決定する3日のECB理事会では、QE(資産買い入れ)の期間延長、地方債を含めるという対象の拡大、中銀預金金利(ユーロ圏の金融機関が決められた法定準備金を超えてECBに資金を預ける際の金利)のマイナス幅拡大(-0.2%→-0.3%)など、資産、金利両面からの緩和を決定した。しかし、市場が期待したQEの量的な拡大に踏み込まず、金利のマイナス幅の拡大も期待ほどではなかったとして、一気にユーロが急騰。ユーロ円が129円台半ばから134円台半ばまで約5円のユーロ高円安となるなど、激しい動きとなった。ドラギECB総裁が秋口から積極緩和を示唆し、市場の期待感からのユーロ売りが膨れ上がっていたため、その反動が出た形に。ユーロドルでのユーロ買いドル売りから、ドルは全面安となり、ドル円が123円台後半から122円台前半まで落とされるなどの動きも。

翌日4日の米雇用統計は非農業部門雇用者数(NFP)が予想を上回るなど、堅調な数字となり、こちらはドル買い材料に。今月15日・16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ見通しが後押しされ、ドル円が123円台を回復するなどの動きを見せた。もっともユーロをはじめとする欧州通貨に対するドル買いは限定的で、前日のショックの大きさを印象付ける反応となった。

今週の見通し

来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)に向けて、ドルはしっかりとした動きが期待される。特にドル円は上値への期待感が強い。先週のECB理事会後のドル売りを受けても、節目の122円を維持したことで、下値への安心感が出ている。先週の米雇用統計の強い結果を受けて、今回のFOMCでの利上げ見通しが相当強まった。17日、18日の日銀金融政策決定会合での追加緩和期待も一部であり、ドル円の買い意欲が強い。このところの上値を抑えている123円台後半を試しにいく展開が期待される。本格的な上昇は来週のFOMCや日銀会合待ちという見方が強いが、124円をつけることが出来ると上昇に弾みがつく可能性も。

今週はNZ、スイス、英国で金融政策が発表される。10日午前5時に結果が発表されるNZ金融政策理事会では、2会合ぶりの利下げ決定を見込む動きが強い。9月の会合まで3連続で金利を引き下げたNZ中銀。都市部での住宅投資過熱への警戒感などから、前回10月末の会合では金利を一旦据え置いたが、その際も今後の追加緩和が示唆されていた。すでに市場は利下げを織り込んでおり、それほど大きな売り材料とはならないとみられるが、声明などで強くNZドル高を警戒してくると、月初にもみ合った82円近辺まで値を落とす可能性も。一部で期待されている緩和見送りとなった場合は、サプライズなNZドル買いも。この場合、ポイントと見られる84円を超える可能性が高い。中期的な大きなターゲットは87円。

先週大きく動いたユーロは、対ドル、対円ともに上値を試す可能性が高い。上昇後の戻りが限定的で、先週のECBショックの大きさを印象付けている。ユーロドルの1.10を超えると上値に弾みが付きそう。ターゲットは1.1150-1.1200。ユーロ円はドル円次第では上に大きく動く可能性も。目先のターゲットは135円。ドル円が124円をつけるような展開になると、10月に付けた136円台後半を試す動きも。

今週の注目指標

NZ中銀(RBNZ)金融政策理事会
12月10日05:30
☆☆
政策金利であるオフィシャルキャッシュレート(OCR)を現行の2.75%から2.50%に引き下げるという見通しが強い。最大の輸出先である中国の景気鈍化懸念がNZ経済に重くのしかかっており、NZドル高を回避したいという中銀の意向が強い。もっとも、都市部、特に首都オークランドでの住宅投資の過熱感も大きく、今後の利下げ余地がそれほど大きいわけではない。理事会後の会見などで、今後の追加緩和に慎重な姿勢を見せると、逆に大きく買いが入る可能性も。利下げ自体は売り材料で82円程度までのNZドル売りが予想されるが、声明次第では切り返して節目の84円超えも。
スイス中銀金融政策理事会
12月10日17:30
☆☆
先週のECBによる追加緩和を受けて、スイス中銀の対応が注目されている。当初はスイス中銀も追随しての緩和に踏み切るとの見方が強かったが、ECB理事会後にユーロ買いが強まったことで、見通しが後退。今のところ政策金利である3ヶ月ものレポ金利目標は現行の-0.75%に維持されるとの見方が強い。現状維持を決めた場合は、大きな波乱無く現行水準近辺での推移か。ただ、一部で緩和期待もあり、この場合3日のECB後に連れ高となった分をかなり解消してくる可能性も。120円がターゲットとなりそう。
英中銀金融政策会合(MPC)
12月10日21:00
☆☆
一時は早期利上げ期待が強かった英国。しかし、直近の英中銀総裁などによる英国議会での証言では、当面の金利維持が示唆されており、今回も金利が据え置かれる見込み。会合での投票はこのところ8対1で、マカファティ委員が一人で利上げを主張している状況だが、同氏が据え置きに回るようだとポンド売りも。この場合185円割れを意識。なお、英中銀の会合は5名の中銀内部の委員と、4名の外部委員で構成されているが、外部委員の動向は読みにくい。マカファティ委員に続いて利上げ主張者が逆に増えるようだと早期利上げ期待が復活し、187円超えも。
米小売売上高
12月11日22:30
☆☆☆
米連邦公開市場委員会(FOMC)前、最後の大きな材料ともいえる米小売売上高。予想は変動の大きな自動車を除いたコア部分が前月比+0.3%。前回の+0.2%を上回る伸びが期待されている。自動車を加えた総合の予想も+0.3%。どちらもかなり好調な数字で、予想前後の数字が出てくると、利上げ期待をしっかりサポートしてドル買いとなりそう。ドル円の124円超えに向けたきっかけとなる可能性も。上値を抑える123円台後半から124円にかけての水準を超えることが出来ると、125円~127円がターゲットに。

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