2015年12月14日号

(2015年12月07日~2015年12月11日)

先週の為替相場

原油安響く

4日のOPEC(石油輸出国機構)総会で、市場が期待していた減産合意が見送られ、さらに、10日のOPEC月次報告書ではOPECの加盟国が11月に増産を行ったことが判明。原油の供給過剰が懸念されて、NY原油が大きく値を崩す展開となっている。NY原油は節目と見られた40ドルを大きく割り込み、35ドル台前半まで値を落とす動きに。原油安の影響を受けて石炭などその他エネルギーや、貴金属なども含めた商品市場全体の売り圧力も強まっている。

こうした動きがブラジルや南アフリカなどの天然資源が豊富な新興国からの投資資金の流出を誘っており、南アランドは市場最安値を一時更新する動きに。南アは大統領が9日にネネ財務相を更迭、10日にバンルーエン議員を新財務相に決めたものの、わずか3日で再び更迭して、ネネ氏の前に財務相を務めていたゴーダン氏を新財務相とするなど、混乱が続いている。

NY原油の下げによる市場の混乱は、世界的なリスク回避の動きにも繋がっており、世界的に株価が急落。為替市場ではリスク上昇時の避難通貨として知られる円にお金が集まる展開となり、ドル円は一時120円台までドル安円高が進行した。豪ドル円などの資源国通貨売り円高の動きも優勢となっており、円はほぼ全面高の流れに。

今週の見通し

週明けもリスク警戒感が強い展開となりそう。NY原油の下げ止まりが見えず、ドル買いに慎重な姿勢が優勢となっている。15日、16日の米連邦公開市場委員会や17日、18日の日銀金融政策会合などのイベントを前に、一方的なドル売り円買いに慎重な姿勢も見られるが、上値ではドル売り円買いの意識も。120円手前にはドル買い注文が残っており、イベントを前にトライに行くにはやや慎重な姿勢が目立つ。ただ、122円手前には売りが入っている様子で、FOMCまではレンジ取引が基本か。

15日・16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、0.25%の利上げがほぼ確実視されている。金利先物の動きから計算された利上げの確率を示すCME(シカゴ・マーカンタイル取引所)による「FEDWATCH」は、今週のFOMCでの利上げを79.4%と見込んでいる。為替、株式市場での織り込みも進んでいると見られ、市場の注目はFOMCの結果とともに示される声明やインフレ見通しなどの内容に移っている。今後の利上げペースについて、声明などで慎重な姿勢が強調されたり、インフレ見通しを大きく引き下げてきたりした場合、追加利上げのペースがかなりゆっくりとなると見なされ、ドル売りが入る可能性も。120円を割り込むと、もう一段大きく値を崩す可能性があるだけに要注意。状況によっては118円近辺まで。

先週大きく値を崩した南アランドに関しては、13日に新財務相に指名されたゴードン元財務相の前評判が高いこともあって、安値から切り返している。流石に売られ過ぎの感もあり、下げ一服といったところ。ただ、原油安の影響で主力輸出品である石炭価格の下落なども目立っており、状況は厳しそう。8.1円から8.2円にかけてが上値抵抗水準。戻りが鈍ければ、再び7.5円トライを目指す展開に。

今週の注目指標

NY原油先物動向
☆☆☆
ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で取引されるNY原油先物動向に注目が集まっている。WTI(ウェスト/テキサス・インターミディエイト)と呼ばれる西テキサス地方を中心に産出される原油の先物取引で、世界の産出量から見ると1~2%程度しかないが、米国の中心的な原油先物取引であり、世界の原油価格動向を示す代表的な銘柄として知られている。供給過剰懸念から値を落としていたNY原油先物は、1バレルあたり40ドル近辺を節目に、一時下げ止まる動きが見られ、回復が期待されていた。しかし、OPECによる増産の報道に、節目を大きく割り込んで下落。35ドル台まで下がっても、まだ底が見えない動きとなっている。原油大国であるカナダや、世界有数の資源国である豪州、南アなどを中心に、経済への悪影響が心配されている。これらの国からの投資資金の流出に加え、商品市場の値崩れによる世界的なリスク警戒感からの株安なども警戒される動きに。こうした状況での避難通貨として知られる円に資金が集まる動きが見られ、大きな円高材料となっている。状況次第ではドル円で120円を割り込む円高の進行も。
米連邦公開市場委員会(FOMC)
12月17日04:30
☆☆☆
リーマン・ショックの影響を受けて2008年12月から続いてきた米国のゼロ金利政策が、今回のFOMCでついに終了する見込み。市場は利上げをほぼ織り込んでおり、注目は来年以降の追加利上げのペースに。上記の通り声明やインフレ見通しなどに注目。また、今回の委員会で利上げに反対表を投じる参加者の数にも注目。全会一致となることが多いFOMCだが、シカゴ連銀エバンス総裁など、利上げに慎重な参加者がいることから、何名かの反対者は出てくるとみられる。複数名の反対者が出た場合、今後の利上げペースが緩やかなものになるとの思惑が広がり、ドル売りが出る可能性も。120円がかなり意識されており、割り込むとドル安円高が加速することも。逆に声明などで今後の順当な利上げペースへの期待感が広がると、直近のドル安円高傾向が一服し、122円を回復、中期的に上値を試す流れに復す可脳性も。
日銀金融政策会合
12月18日正午前後
☆☆☆
日本銀行による物価安定目標である消費者物価指数2%への到達時期の見込みが先送りされるなど、物価動向への警戒感が広がっている。もっとも今回の会合での追加緩和は見送られる公算。直近の物価上昇率鈍化は原油価格下落の影響が大きいこともあり、本質的なところでの現行緩和策への自信を黒田総裁などが示していることが要因。もっとも、今後については緩和が必要になるとの思惑も強く、来年早期の追加緩和実施に向けて、声明や会合後の黒田総裁会見などに注目が集まっている。追加緩和への期待感が広がるようだと、円売りの大きな材料となる。内容次第ではあっさり122円台を回復する可能性も。125円~127円をターゲットにした中期的な円安進行に復する大きな起爆剤となる期待も。

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