2016年03月14日号

(2016年03月07日~2016年03月11日)

先週の為替相場

方向感の捉えにくい展開が続き、ドル円は112円台前半から114円台前半のレンジでの振幅となった。4日の米雇用統計が雇用者数は伸びたものの、賃金が伸びなかったことで、当初は円買いの動きが優勢となったが、続かなかった。原油市場の堅調な動きや10日のECB理事会での積極緩和期待などがリスク警戒後退の動きに繋がり、円買いを抑える格好となった。

注目された金融政策発表は、カナダが予想通り据え置いたものの、NZが予想外の利下げに踏み切り、ECBも予想以上の積極緩和を示す結果に。

原油高から来る資源国通貨買いの流れに上昇が目立っていたNZドルは、利下げ発表で一気に売り込まれる場面が見られたが、直近安値を割り込めずその後値を戻した。ユーロは預金ファシリティだけでなく、リファイナンス金利、限界貸出金利まで引き下げた上に、量的緩和も拡充するというECBの積極姿勢に一旦はユーロ売り。しかし、その後の総裁会見で緩和打ち止めが示唆されたことで、一気にユーロ買いと激しい動きに。対ドルで1.10近くから1.08代前半まで売り込まれた後1.12超えという大きな動きを見せた後は、ユーロ高圏でもみ合った。

原油はサウジやロシアなどによる増産凍結見込みを受けて上昇する流れが継続。9日の米週間石油在庫統計において、原油在庫自体は増加したものの、ガソリン在庫が予想以上に大きく減少したことで、原油高の流れが強まる展開となった。この動きを受けて資源国通貨買いの動きが広がり、先進国唯一の純産油国(輸出>輸入)であるカナダを初め、豪ドル、NZドルなどに買いが入った。

今週の見通し

今週は14日、15日に日銀金融政策決定会合(用語説明1)、15日、16日に米連邦公開市場委員会(FOMC・用語説明2)が行われる。

1月29日にマイナス金利導入を決定した黒田日銀。実際の適用は2月16日からとなっており、現在は影響の見極めの時期。世界的な緩和強化の流れや、円高の動きなどを受けて、一部で追加緩和へのプレッシャーはあるが、さすがに時期尚早という見方が一般的。もし、緩和に踏み切った場合、かなりの円売り材料となりそうだが、可能性は低いか。市場では金利を据え置き、その後の黒田総裁会見で緩和姿勢継続と追加緩和を辞さない姿勢を示してくるのではという見方が強い。この場合、若干の円売り材料となり、112円~113円にかけての下値を支える影響がありそう。

FOMCも据え置き見通し。今回のFOMCは年8回の委員会のうち、半分の4回で行われる、参加メンバーの景気・インフレ見通しや金利予想の発表や委員会後の議長会見などが予定される回となっており、注目度が高い。昨年12月の利上げ決定時点では、今回のFOMCで追加緩和に踏み切るとの見通しが大勢を占める状況も見られた。しかし、年明けからの中国ショックを初めとする新興国経済への警戒感や、原油安、低インフレ傾向などを受けて、今回の利上げ見通しはほぼ払拭。それどころか先月半ば頃までは年内の利上げ見通しがほぼなくなるところまで見通しの低下が進んだ。しかし、その後のGDPや雇用情勢の堅調さなどもあり、年内の利上げ見通しが回復。今回のFOMCでは声明や議長会見などで今後の追加利上げをどこまで示唆してくるのかが焦点となっている。金利市場での織り込み具合などから43%(CME FedWatch)となっている利上げ期待が、さらに拡大するような状況が生じるとドル買いの動き。内容次第であるが、115円を超えていく動きも期待できる。万が一追加利上げに踏み切った場合は、サプライズなドル買いとなり、117円-118円程度までの上昇も十分にありえそう。逆に今後の利上げに慎重な姿勢が見られるようだと、115円が重くなる可能性も。

用語の解説

日銀金融政策決定会合日本の金融政策の基本方針を決定する日本銀行の最高意思決定機関。日銀総裁・副総裁を含む9名の政策委員による多数決で政策を決定する。従来年14回程度実施されていたが、昨年6月の会合において、米国やECBと同様に年に8回、一回二日間の集中討議による決定に変更された。また、これに伴い展望レポートが従来の年2回から4回の発表に変更されている。
連邦公開市場委員会(FOMC)米国の金融政策を決定する委員会。連邦準備制度理事会(FRB)の議長・副議長を含む理事7名と、全米で12ある地区連銀の総裁のうち5名(NY連銀総裁は常勤でFOMC副議長を兼任、その他4名は持ち回り)の、計12名による多数決で政策が決定される。ただし、現状では理事に2名欠員がおり、10名での議決となっている。議決権を持たない残り7名の地区連銀総裁及びNY地区連銀の第1副総裁も会合には参加する。なお、多数決とはなっているが、議長提案が否決されたことはこれまでの歴史上無く、もし否決された場合、議長はその場で辞任するという不文律があると報じられている。

今週の注目指標

日銀金融政策決定会合
3月15日
☆☆☆
1月のマイナス金利導入からまだ期間があいていないこともあり、市場の見通しは現状維持となっている。しかし、ドル円が115円を割り込んだまま頭の重い状況が続いていること、今月に入ってNZやユーロが緩和に向かうなど、世界的に緩和姿勢の強化が見られること、少し持ち直してきたとはいえ原油が大きく下げた影響で、このままでは2%の物価上昇目標がかなり遠くなっていることなどから、一部で緩和の期待が見られる。今回の緩和が見送られたとしても、今後追加緩和を余儀なくされるとの見方も強く、現状に対する黒田総裁の会見での発言なども注目されている。予想通り金利を据え置き、現状の政策に自信を見せて、追加緩和に消極的な態度をとった場合、円買いが強まる可能性も。現状でサポートとなっている112円をトライする場面も意識される。結果発表は15日お昼前後の見込み。
米小売売上高
3月15日21:30
☆☆
米国のGDPの約7割を占める最大の項目である個人消費動向を直接示す指標として注目度が高い。前回1月の小売売上高は前月比+0.2%と予想の+0.1%を上回る好結果。12月の数字も速報値時点の-0.1%から+0.2%に上方修正されるなど強めの数字となり、米国の年内利上げ期待の回復に寄与した。2月の米個人消費は、新車販売台数が2月としては15年ぶりの高水準である134.4万台を記録するなど好調を維持しているが、直近の好数字の反動もあり、マイナスの見込みに。予想通り-0.1%程度に収まると、FOMCを控える中で影響は限定的に。予想外にプラス圏を示した場合は、年内の利上げ期待を支え、ドル買いの動きが期待される。その他の材料にもよるが115円を試す動きも。
米連邦公開市場委員会(FOMC)
3月17日03:00
☆☆☆
金利市場での利上げの織り込みが0%になるなど、今回のFOMCでの利上げ期待はほぼ無い。ただ、ここにきて6月もしくは9月の利上げ期待を本線と見る動きが広がっている。声明などで国内経済に対する強気な見方や、ここにきて落ち着きを示している新興国経済への懸念の後退などが見られると、年内の利上げ期待がもう一段強まり、ドル買いが広がる可能性も。今週最大の注目材料だけに、声明などで大きな変化が出た場合影響は相当大きいと見られ、115円を超えていくきっかけになることも期待される。
英中銀金融政策会合(MPC)
3月17日21:00
☆☆
一時は米国に次いで利上げに向かうと見られていた英国であるが、原油価格の低迷を受けたデフレ圧力などから、期待が大きく後退しており、今回の会合でも現状維持(政策金利+0.5%)が見込まれている。もっとも、ウィール政策委員が今後2年間でBOEが取る政策としては、利下げよりも利上げのほうが可能性が高いと発言するなど、比較的タカ派な姿勢を維持している。波乱なく終了すると見られるが、声明が意外と強気な姿勢を示し、年内の利上げが期待されるような状況になるとポンド買いも。165円から167円の上値抵抗水準を超えてくる可能性もある。なお、6月のEU離脱をめぐる国民投票対応などについて、ポンドの安定に向けたBOEの姿勢が示される可能性も。

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