2016年03月22日号

(2016年03月14日~2016年03月18日)

先週の為替相場

注目された15日・16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)は、ややハト派(慎重派)な印象を受ける結果となり、ドル売りの動きが広がった。政策金利の据え置き自体は大勢の予想通りであったが、声明において注目された「世界経済と金融の動きはリスク」との文言が残ったこと、参加メンバーによる政策金利見通しを示すドットチャートが、前回示された年内4回の利上げ見込みから、年内2回の利上げ見込みに引き下げられたこと、イエレン議長が会見で直近の好調なインフレ指標について、一時的な要因の可能性があると発言したことなどが、米国の今後の利上げ期待後退に繋がりドル売りが広がる展開に。

ドル円は114円台が重く、短期筋の調整が入りやすくなっていたこともあり、ポジション調整を巻き込む形でドル売り円買いが進行。FOMC後の17日に110円60銭台まで値を落とす場面が見られた。その後は週末を前に買戻しが入ったが、112円が重くなるなど、頭の重い展開が続いた。

週明けも当初はドル売りが目立つ展開であったが、サンフランシスコ連銀(用語説明1)のウィリアムズ総裁が米景気の力強さに言及。4月と6月に追加利上げする可能性もあると発言したことで、ドル売りの動きは収まった。同総裁はもともとハト派で知られ手いるだけに、発言のインパクトがあった。もっとも、それで戻る円の戻りは112円に届かず、頭の重さが印象的に。

FOMC後のドル売りは対円以外の通貨に対しても目立ち、ドルは全面高に。ユーロドルが1.11近辺から1.13台までユーロ高ドル安が進むなどの展開に。17日海外市場までドル安が進んだ後は、調整が入っているが、値幅は小さくドル安の意識が継続。

原油の買戻しが目立ち、NY原油先物は週明け40ドル台を回復する動き。豪ドル円やカナダ円など資源国通貨は15日の日銀金融政策決定会合後の円高で値を落とした分を回復するなど、しっかりの展開に。

今週の見通し

主要イベントをクリアして、やや材料不足となる中、先週のFOMC後に生じたドル安の流れがどこまで続くのか、どこまで進むかが焦点に。

今週末はグッドフライデー、来週月曜日はイースターマンデーで世界の多くの市場が休場となり、参加者が少なくなる時期。それほど目立った経済指標の発表やイベントも予定されておらず、基本的には落ち着いた取引が期待される。休み前にポジションを大きく傾けたくないという心理から、短期筋のポジションは調整が入りやすくなり、ドル安一服が基本的には期待されるところ。もっとも、FOMCを受けての追加利上げ期待の後退の影響は中長期的にもかなり大きい。調整が入っても戻りが鈍いようだと、売り遅れが目立つ実需筋などからの売りが入る可能性も。FOMC後につけた110円60銭台を再び試すようだと、ドル安円高懸念が加速し、一気に110円割れも。ユーロドルやポンドドルなどに対してもドル安が進んでおり、ドル円の行き過ぎ感だけでは戻しにくい面も。

クロス円は、ドル円に比べるとしっかりの期待感。特に資源国通貨に関してはNY原油先物が40ドル台を回復するなど、買戻しの動きが強まっていることが下支えに。豪州に関しては最大の輸出品目である鉄鉱石(用語説明2)価格の上昇も継続しており、豪ドルの下値を支える格好に。ドル円の下げが限定的なものにとどまれば、豪ドル円などは買戻しが優勢となりそう。目先のターゲットは87円。

用語の解説

サンフランシスコ連銀全米に12ある地区連銀のひとつ。サンフランシスコのあるカリフォルニア州を初め、ワシントンやオレゴン、ネバダなど西海岸及び西海岸に近い西部の州、アラスカ、ハワイ、さらにはグアム、米領サモアなどの州や地域を管轄している。イエレンFRB議長がかつて総裁を務めていたことでも知られている。イエレン現FRB議長がバーナンキ前議長の下で2011年に副議長に就任するにあたって、同地区連銀総裁を退任し、その後をウィリアムズ現総裁が継いだ。ウィリアムズ総裁はイエレン議長同様にハト派的な姿勢で知られている。
鉄鉱石豪州の全商品輸出の約3割を占める同国最大の輸出品目。世界の生産量では中国・豪州・ブラジルがTOP3。中国は基本的に自国で消費するため、輸出量としては豪州が突出している。最大の消費国である中国の景気鈍化懸念もあり昨年後半は同価格が大きく低迷。9月に1トン当たり60ドル近くつけていた青島港渡・鉄分62%含有の基準価格が、12月には38ドル台まで値を落とし、豪州経済の強い逆風となっていた。しかし今年2月ごろから回復を示し、今月に入って一時63ドル台まで上昇。その後も高値圏で推移しており、一転して豪州経済を支える格好となっている。

今週の注目指標

独Ifo景況感指数(3月)3月22日
☆☆
前回2月分の独Ifo景況感指数は3ヶ月連続で前月の数字を下回る105.7となり、2014年12月以来の1年超ぶりの低水準となった。新興国経済の低迷懸念が広がる中で、輸出の伸びが減速し、今後の不透明感が広がったことが要因となっている。もっとも、一時に比べ新興国経済への懸念は後退しており、今回は前回よりも数字が改善すると期待されている。ドイツはユーロ圏最大の経済大国であり、同地域の経済を支えている面があることから、期待通りの回復が進むと、ECBによる緩和打ち止め感とも相まってユーロを支える材料となりそう。127円台にしっかり乗せられるかどうかが大きなポイントとなる。
英消費者物価指数(CPI)(2月)
3月22日18:30
☆☆
先週の英中銀金融政策会合(MPC)では、今後3年間の中銀の行動としては利下げよりも利上げの可能性が高いと示された。6月のEU離脱をめぐる国民投票を前にすぐに利上げに動く可能性はほぼないが、今後の利上げ時期の見極めにおいて、もっとも大きな材料となる消費者物価指数へ注目が集まる状況に。インフレターゲットの対象であるCPIの前年比は前回+0.3%と1年ぶりの高水準を記録した。ターゲットの下限である1.0%にはまだ遠い状況であるが、一時のマイナス圏からは明らかに回復傾向に。この流れが続くと、今年後半もしくは来年の利上げ期待につながるだけに、注目してみていきたいところ。前回を上回る上昇が見られるとポンド買いの材料に。11日につけた164円がターゲットとなる。
グッドフライデー
3月25日
イースター直前の金曜日のことで、聖金曜日とも呼ばれる。豪州、NZ、ユーロ圏、英国、スイス、カナダなど殆どの国・地域が休場となる。また、米国は株式市場が休場となる。週明け月曜日のイースター・マンデーもほとんどが休場となるため、週末を挟んで取引参加者が極端に少なくなる。一般的には取引が閑散となり、値動きも殆ど見られないことが多い。ただ、指標結果などを受けて大口の売り買いが市場で見られた場合、注文を捌ききれず値動きが荒っぽくなることがある点に注意が必要。
米第4四半期GDP(確報値)
3月25日21:30
先々月の速報値、先月の改定値に続いて、第4四半期GDPの確報値が発表される。改定値は前期比年率+1.0%速報値の+0.7%から上方修正された。速報値時点で足を引っ張っていた設備投資や純輸出(輸出-輸入)のマイナスが軽減されたことが上方修正に繋がった。設備投資の回復は今後の景気回復への期待感に繋がっており、確報値ベースで更に改善が見られるようだと、ドル買いの動きが強まると期待される。

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