2016年04月18日号

(2016年04月11日~2016年04月15日)

先週の為替相場

ドル安円高一服も戻り限定的

先々週107円台まで値を落としたドル円は、週末にかけて一時109円台後半まで値を戻すなど、値を戻す展開に。もっとも110円の大台を回復するだけの勢いは見られず、金曜日の海外市場で108円台に値を落とすなど、基調としてのドル安円高は継続。週末のG20においてルー米財務長官が円高の進行は秩序的(orderly)と発言し、介入などの実施に釘を刺したこともあり、週明けドル安円高が加速するなど、頭の重い展開が続いている。

もともと5月の伊勢志摩サミットを前に介入の実施は難しいとみられており、市場は下値を意識する展開に。13日に発表された米小売売上高が予想外にマイナスになるなど、米経済指標の弱めの数字もドル売りに寄与している。小売売上高に関しては1~3月を通じて弱め。GDPの約7割を占める個人消費の鈍化が懸念されている。今月末に発表される米GDP(用語説明1)が予想よりも弱く出るのではとの懸念が米ドルを押し下げている格好に。

ここに来て世論調査(用語説明2)でEU離脱派が残留派をわずかながら上回る例が見られる英国に対する警戒感も、リスク回避での円高を誘っている。12日のポンド売りは、同日報じられた世論調査結果を嫌気したもの。世界最大の金融センターであるロンドンを有する英国が実際にEUを離脱した場合、市場の混乱は相当なものとなる。四大通貨の一つであるポンドから逃げる投資資金は、ユーロには向かい難いこともあり、欧州通貨は対ドル、対円ともにやや頭が重い。

原油安が落ち着き、豪ドルはしっかりも、週末のドーハでの増産凍結会議を前に、金曜日には調整が入る一面も。なお、合意見通しが強かった同会議は結局合意出来ずで終わっている。

今週の見通し

G20で黒田総裁が円高への警戒感を示したものの、ルー米財務長官に円高の進行も市場は秩序的と発言され、介入実施について釘を刺された格好に。108円台での秩序だっている発言だけに、市場が期待していた105円あたりからの介入も難しいのではとの見方が強く、市場の下値警戒感を誘っている。

増産凍結合意決裂も、ドル円の重石に。これまで合意期待でNY原油先物が戻してきた経緯があり、原油は再び下を試す可能性も。サウジアラビアとイランの対立構造を改めて突きつけられた形の市場は、リスク警戒の動きを強めそう。

原油安によるドル安圧力と介入期待後退による円高圧力。ともに加わる形でドル円は下値を意識する展開に。もっとも、前回107円台から110円近くまで戻したことは意識に残っており、週初の下値トライが失敗するようだと、一旦値を戻す可能性も。その場合は頭が重いながらもレンジを形成か。

107.50をしっかり割り込むとターゲットは105円。同水準を試しにいっても介入の期待が盛り上がらなければ、もう一段の下も。ただ、月末に日銀金融政策決定会合を控える中で、突っ込んだ売りにも慎重姿勢。一旦は105円近辺で止められる可能性も十分ありそう。

用語の解説

 米GDP米国の国内総生産。昨年の米GDPは17.95兆ドルと世界3位である日本(4.12兆ドル)の4倍超を記録。第二位の中国(10.98兆ドル)ともかなりの差があり、圧倒的な世界第1位の経済規模となっている(数値は全てIMFより)。特徴としては個人消費の割合が約7割と大きいこと(日本は約6割)。そのため、米国の個人消費の状況をまともに表す小売売上高や、個人消費動向への影響が大きい雇用統計などの米指標は世界経済全体にとっても重要な材料となっている。
英国世論調査英国は6月23日に英国がEU(欧州連合)を離脱するのかどうかの国民投票を実施する。世論調査では残留派と離脱派がほぼ拮抗している。当初は変化の大きい離脱派が優勢になっても、投票が迫ると現実的な残留派が優勢になるとの期待感が強かったが、直近の世論調査でもほぼ互角と、状況に大きな変化はなく、離脱の現実味が強まっている。もっとも、オンラインでの調査ではほぼ互角の情勢も、電話での調査では一定程度残留派が上回っている状況も変わっておらず、実際には残留派が優勢という見方もある。

今週の注目指標

ドイツZEW景況感指数(4月)
4月19日18:00
☆☆☆
2月に1年4ヶ月ぶりの低水準を記録したZEW景況感指数。前回はECBの追加緩和などを好感し、少し回復を見せた。今回はさらに回復が広がる見込み。移民情勢など不透明な面も多いが、基本的にドイツ経済は好調。利下げの影響が広がっているようだと、予想通りの好結果となりユーロのサポートに。木曜日にECB理事会を控える中で、この指標結果だけで上トライは難しいが、下を支える材料にはなりそう。
米住宅着工件数(3月)
4月19日21:30
昨年12月の利上げを受けて、回復途中の米住宅市場の勢いに変化があるのかがポイントに。前回は予想を上回る好結果を記録。低金利に支えられた住宅投資の勢いを意識させる展開となり、ドル買いとなった。今回は前回の反動で少し弱めの数字が出てくる可能性も。予想以上に低水準となった場合は、米国の追加利上げ期待が後退し、ドル買いが入る可能性も。
ECB理事会
4月21日20:45
☆☆
3月に追加緩和を実施したECB。今回の理事会では据え置き見通しが広がっている。前回の会合後のドラギ総裁会見では追加利下げに否定的な発言も出ており、金利、量的緩和どちらも現状維持の見込み。もっとも、インフレ圧力の鈍化傾向などもあり、市場では今後の追加緩和を期待する動きも出ている。ドラギ総裁がどこまで踏み込んだ発言をしてくるのかが注目に。ユーロ高牽制なども注目されており、牽制姿勢が強まると予想されるとドル円も頭が抑えられそう。
ユーロ圏財務相会合
4月22日
☆☆
ユーログループとも呼ばれるユーロ圏財務相・中央銀行総裁会議。元々は非公式会合であるが、政治的な影響力が大きく、注目を集めるイベントとなっている。ギリシャ債務軽減問題、移民問題などでの進展は望み薄。英国のEU離脱問題や、ここに来て広がるECBの追加緩和期待などについて、デイセルブルーム同会合議長などがどのような発言をしてくるのかがポイントに。追加緩和を許容する発言が出てくるとユーロ売りも。

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