2016年04月25日号

(2016年04月18日~2016年04月22日)

先週の為替相場

円高一服、ドル堅調

先々週末のドーハ産油国会合で増産停止が合意できず、瞬間値を落とした原油先物が、その後堅調な推移を見せ、高値を更新する展開となった。20日のEIA(米エネルギー省エネルギー情報局・用語説明1)による週間石油在庫統計で、原油在庫が1930年代以来の高水準を記録、一方で生産は1年半振りの低水準となるなど、その後も原油に厳しい材料が出ていたが、原油高の流れは止まらず、逆に堅調さを印象づける展開に。こうした流れを受けて、資源国通貨買い円売りの動きが広がった。ドル円は110円の大台を前に上値を抑えられてもみ合う展開が続いたが、週末にかけて大台を突破すると、買い戻しに勢いが出て111円台後半まで上昇する展開に。

注目された21日のECB理事会は事前見込み通り金融政策の現状維持を決定。会合後の会見でドラギ総裁は「必要ならマイナス金利を含め全ての手段を使用して行動する」と発言。3月の理事会後の会見でマイナス金利拡大の限界を示唆してユーロ買いを誘った姿勢からの修正を見せた。これによりユーロ売りドル買いが優勢に。その後ドル円が110円をしっかり超えて急騰するきっかけの一つとなった。

今週の見通し

今週は米FOMC、米第1四半期GDP速報値、米PCEコアデフレーター〈3月・用語説明2)、日銀金融政策決定会合など、重要なイベントが目白押しの週となっている。一方でGWを前に積極的な取引を手控える動きも予想されるなど、かなり不安定な状況に。

最大の注目は日銀金融政策決定会合。円高の進行などを背景に、追加緩和の期待が広がっている。1月28日・29日にマイナス金利を導入(実行は2月16日から)したばかりで、影響を図るには導入からの期間が短すぎることから、従来は今回の会合での追加緩和は期待されていなかった。しかし、その後進んだ円高の影響などで、現時点では半分以上の専門家が何らかの追加緩和実施を見込んでいると見られる。また、相場もそうした期待感に合わせて株高円安が進行してきた。

もっともどこまでの緩和に踏み込めるかは微妙。マイナス金利の拡大には慎重論が強いと見られ、量的な緩和の拡充を図るのではとの意見が強い。マイナス金利拡大まで踏み込めれば円安の影響が大きくなるが、そこまで踏み込めなかった場合の影響は微妙。また、半分弱残る現状維持見通し通り、今回の緩和実施を見送った場合は、直近上昇に回った分の反動で円高が進む可能性も。

用語の解説

 EIA米国のエネルギーと核安全保障を担当するエネルギー省(United States Department of Energy (DOE))の調査・統計機関であるエネルギー情報局(U.S. Energy Information Administration)のこと。毎週水曜日に週間石油在庫統計を発表する。発表項目のうち、原油在庫・ガソリン在庫・留出油(ディスティレート、軽油やヒーティングオイルなど)在庫などが注目される。またNY原油先物(WTI)の受渡地であるオクラホマ州クッシング地区の在庫なども注目されている。
米PCEコアデフレーター個人消費支出(Personal Consumption Expenditure)の名目値とインフレを考慮した実質値の調整に利用される値(デフレーター)のうち、変動が激しい食品やエネルギーを除いたもの。米国のインフレターゲットは一般的な消費者物価指数(CPI)のコアではなく、PCEのコアが採用されている。CPIに比べ住宅関連コストの割合が低いため、住宅市場が回復しつつある今の米国の状況では、CPIコアよりも低めに出やすい。また、計測方法の違いから元々CPIよりも低めに出やすいという特徴もある〈正確にはCPIが実際よりも少し上方バイアスがかかりやすい)。ただ、傾向としてはCPIと同様なものとなること、計測方法が煩雑な分だけCPIよりも遅く出ることなどから、市場への影響はCPIコアの方が大きくなることが多い。

今週の注目指標

米連邦公開市場委員会(FOMC)
4月28日03:00
☆☆☆
4月26日、27日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される(結果発表は日本時間28日)。今回は年8回の会合のうち議長会見や参加メンバーによるインフレ見通しなどの発表が無い4回の内の一回にあたり、元々金融政策の変更期待は小さい。ただ、先月になって複数の地区連銀総裁から4月の利上げ可能性に言及する発言が相次いだため、一時的に利上げ期待が強まった時期も見られた。もっとも、その後イエレン議長が従来通りの慎重な姿勢を強調したため期待は大きく後退。金利先物市場などでの織り込み度などから図ると現状での利上げ確率は約2%程度とほぼ無くなっている。利上げを見送り、声明内容も大きな変化がなければ、市場の反応は限定的に。声明で次回以降の利上げを示唆してくるとドル買い。万が一今回利上げに踏み切った場合は大きなドル買いといったところ。特に利上げ実施に踏み切った場合の影響はかなりのものになると見られ115円を意識する展開まで予想される。
日銀金融政策決定会合
4月28日
☆☆☆
27日、28日に日銀金融政策決定会合が開催される。結果発表はお昼前後となる場合が多い(会合終了後発表のため時間は未定)。市場では追加緩和に対する見方が分かれている。若干緩和期待が大勢となっているが、それほど大きな差はなく、どちらになった場合でも影響が出てきそう。マイナス金利拡大まで踏み込めばかなりの円安材料に。また同時に出る展望レポートで景気見通しを下方修正し、今後のさらなる緩和を意識されると、円安の動きに勢いが出る可能性も。逆に現状維持となっった場合、緩和期待が半数以上を占めている反動で円高が進行する可能性も。この場合再びの110円割れが予想される。
米第1四半期GDP(速報値)
4月28日21:30
☆☆☆
昨年第4四半期は前期比年率+1.4%とかなり好調な数字を記録した米GDP。第1四半期は同期間の小売売上高が弱めに出るなど個人消費に陰りが見られることや、昨年末時点で高水準であった在庫が生産や設備投資を圧迫している可能性もあることなどから、予想値は+0.7%と少し抑えられている。アトランタ連銀によるGDP見通し「GDPNow」は+0.3%を見込んでおり、かなりの慎重な見方に。アトランタ連銀の予想に近い数字が出てくると、米国の利上げ期待を後退させ、ドル売りが広がる可能性も。一方でNY連銀によるGDP見通し「Nowcasting Report」は+0.8%と市場予想よりも強めの見通しになっている。こちらが正しいとドル買いに。
米PCEコアデフレーター
4月29日21:30
☆☆
3月のPCEコアデフレーターは+1.5%と、1月、2月の+1.7%から低下する見込み。エネルギー価格下落を受けた物価全般の上昇鈍化により、3月のCPIが予想を下回っており、PCEもこの流れに沿うと見られている。物価目標である2.0%が遠くなった形で、予想通りもしくはそれ以下の数字が出てくると、ドル売りに繋がる可能性も。

auじぶん銀行外貨預金口座をお持ちのお客さま

ログイン後、外貨預金メニューからお取引いただけます

免責事項

本レポートは株式会社時事通信社が提供しています。また本レポートの内容は、株式会社時事通信社が提供する情報をもとに、株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイドが執筆しています。本レポートは、情報提供のみを目的にしたもので、売買の勧誘を目的としたものではありません。投資決定に当たっては、投資家ご自身のご判断でなされますようお願いいたします。株式会社時事通信社、株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイドおよび情報提供元は、本レポートに記載されているいずれの情報についても、その信頼性、正確性または完全性について保証するものではありません。また本レポートに基づいて被った損害・損失についても何ら責任を負いません。本レポートに掲載されている情報の著作権は、株式会社時事通信社および株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイドに帰属します。本レポートに掲載されている情報を株式会社時事通信社の許諾なしに転用、複製、複写等することはできません。

Copyright(C) JIJI Press Ltd. All rights reserved.

auじぶん銀行からのご注意

  • 本画面に掲載されている情報は、auじぶん銀行の見解を代弁したものではなく、auじぶん銀行がその正確性、完全性を保証するものではありません。

以上の点をご了承のうえ、ご利用ください。