2016年05月16日号

(2016年05月09日~2016年05月13日)

先週の為替相場

ドル高円安の動きが優勢も、109円台からは売りも目立つ

先週の市場ではドル高円安の動きが優勢となった。先々週序盤の円高進行が一服し、同後半からのドル買い円売りの流れが継続した格好。ドル円は107円近辺から109円台半ばをつけるなど、上値を試す展開が見られた。麻生財務相による再三の介入示唆発言や、6月の日銀会合での追加緩和期待などがドル円を支える材料となった。5月初めに円高を仕掛けたファンドなどの投機筋によるポジション調整の噂も、ドル円、クロス円の買い戻し材料となった。もっとも109円台に乗せると、それ以上の買戻しには慎重な姿勢が見られた。

週末の米小売売上高、ミシガン消費者信頼感指数の強めの数字もドル買いを誘った。それまで頭を抑えていた109円台半ば手前の売りを崩し、109円50銭台まで高値を伸ばす材料となった。もっとも、その後は週末を前にした調整に追われた。110円が大きなポイントとして意識される中、高値圏を買い上げることには慎重な姿勢が目立った。

NZドルは11日の中銀半期金融安定報告で住宅市場(用語説明1)の加熱感が指摘され、利下げ期待が後退。買いを誘う場面も見られたが、週末にかけては豪ドルの売りに頭を抑えられた。豪ドルは最大の輸出品である鉄鉱石価格が下落したこともあり、売りが優勢な展開に。大手格付け機関ムーディーズ・インベストメントが豪大手銀行の収益面への懸念を表明したことなども豪ドルの重石になっていた。

今週の見通し

上下とも動きにくい展開となりそう。円高一服感は強く、下がったところでは買いが出るものの、109円台半ばから110円にかけての売りを崩すだけの勢いが見られない。日本に関しては、消費増税先送り見通しが報じられ、来月の追加緩和への期待もあるだけに、円売りが入りやすい面もあるが、5月6日の米雇用統計以降、6月の米追加利上げへの期待が後退しており、上値を追いかけるだけの勢いに欠けそう。

週末にG7(主要7カ国財務相・中央銀行総裁会議)、来週にG7サミット(主要7カ国首脳会議)を控えているだけに、介入は難しいと見られる。それだけにドル安円高方向に大きく動いた場合は要注意。108円がドル円の下値の重要サポートとして意識されており、割り込んだ場合大きくドル安が進行する可能性も。目立った材料はないが、110円手前の重さを先週確認しただけに、投機筋が一旦売りに回る可能性はある。

やや頭の重いオセアニア通貨は資源価格次第。豪州の最大の輸出品目(用語説明2)である鉄鉱石価格などの持ち直しが見られると、一旦の買戻しも。山火事が収まったカナダの状況を受けての原油価格の下落などには要注意。大きく値を落とすようだと、カナダ、豪ドル、NZドルなどの売り材料に。

用語の解説

NZ住宅市場政策金利が同国としては最低水準まで引き下げられるなど、低金利傾向が続いていることもあり、NZでは都市部の住宅への投資が過熱気味となっている。最大都市オークランドでは今年4月までの1年間で同市の住宅価格は約16.5%の上昇、直近3年間ででは50%超の上昇を記録。首都ウェリントンなど他の都市部でもかなりの住宅価格上昇が進んでおり、追加利下げを阻む材料となっている。
豪輸出品目天然資源に恵まれる資源国の代表格とされる豪州。最新2016年3月の貿易統計を見ると、商品輸出の31.4%が鉄鉱石及び同関連となっており、輸出品の圧倒的な一番手となっている。石炭がそれに続くが、輸出額は半分以下にとどまっており、鉄鉱石輸出が豪州経済に与える影響はかなり大きい。輸出先は中国を中心とした新興国。そのため中国の景気動向が豪ドルなどへ大きな影響を及ぼすことがある。

今週の注目指標

米消費者物価指数(CPI・4月)
5月17日21:30
☆☆
米FRBに課せられた二つの命題は「雇用の最大化」と「物価の安定」。このため、早期の利上げに向けて米国のインフレ動向への注目度が高まっている。米国のインフレターゲットの対象はCPIではなくPCEコアデフレータであるが、CPIの方がやや高めに出るとはいえ、傾向自体はほぼ同じ。そのため発表の早いCPIに注目が集まる傾向がある。食品エネルギー除くコアの前年比は+2.1%と、前回の+2.2%からは低下も、比較的堅調な水準が期待されている。予想通りもしくはそれ以上に強めの数字が出てくると、追加利上げへのハードルをひとつクリアした形になりドル買いが入る可能性も。
日本第1四半期GDP
5月18日08:50
☆☆☆
2015年10-12月期はマイナス成長となった日本の四半期GDPであるが、2016年1-3月期は2四半期ぶりにプラス圏回復が期待されている。個人消費は依然として進行姿勢が目立ち、企業の設備投資も弱目となっているが、うるう年効果や弱かった前期の反動などがプラス圏まで押し上げてくると期待されている。予想を下回り、前期比変わらずもしくはマイナスとなると、6月の追加緩和期待が一気に広がり、円売りが入る可能性も。ドル円は109円台半ばからの売りを試す展開も。
G7(主要7カ国財務相・中央銀行総裁会議)
5月20日
☆☆☆
26・27日に伊勢志摩で行われるG7首脳会談(サミット)を前に、20日から仙台市においてG7(主要7カ国財務相中央銀行総裁会議)が開かれる。基本的にはこのところのG20で示されている「為替について緊密に連携するとの合意を維持し、通貨の競争的な切り下げを回避する」との姿勢を維持すると見られる。もっとも、このところ日本に対する牽制が目立つ米国の姿勢が注目材料。日米財務相会合などで日本の円高対応(介入など)への牽制が目立つようだと、ドル円の売り材料に。状況によっては再び105円を意識するきっかけとなりうる。

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