2016年07月04日号

(2016年06月27日~2016年07月01日)

先週の為替相場

混乱落ち着くも、ドル円の戻り鈍い

27日からの週は英国のEU 離脱(ブレクジット)をうけての混乱から回復を見せる展開となった。週明けにポンドが対米ドルで過去最安値を更新するなど、混乱が継続する動きも見られたが、その後落ち着きを取り戻した。世界的に株安の流れが一服したことで、過剰なリスク警戒感が収まる動きを見せた。

ポンドに関しては、カーニー英中銀総裁が早ければ8月にも追加緩和との姿勢を打ち出すなど、ブレクジットを受けての緩和期待が広がっており、パニック的な売りが収まっても、戻りは鈍い。

株の買戻しなどから円高の動きは収まっており、ドル円は一時103円台を回復する動きに。もっとも、ブレクジット前の水準とその後の安値を比べて約半値戻しの水準である103円近辺を意識する動きが続いており、103円台では売りが入る展開となっている。

一時は利下げ期待まで広がっていた米国の金融政策見通しに関しては、さすがに利下げの期待自体は後退したものの、ブレクジット決定前まで本線と見られていた9月の追加利上げ観測は大きく後退しており、ドル買いの動きを抑制する材料に。年内の利上げについても懐疑的な見方が広がっており、今後の見通しの変化に注目。

今週の見通し

一時的なパニック相場は落ち着いたが、ドル円の戻りは鈍く、下値警戒の動きが広がっている。

ただ、今週末に予定されている米雇用統計(6月分)次第で、年内の利上げ期待が回復するようだと、ドル買い円売りの材料となる。先週末に発表されたISM製造業景気指数が好調な数字となったこともあり、期待感が広がるところ。前回かなり弱い数字となった非農業部門雇用者数(用語説明1)の回復がどこまで見られるかがポイントに。前月比20万人増を超えてくると、103円台をしっかり超えて、ブレクジット前の水準を意識して買戻しが強まるきっかけになる可能性も。ISM非製造業景気指数、ADP雇用者数(用語説明2)などの関連指標にも注意。

安値圏でのもみ合いがつづくポンド情勢にも注目。対米ドルで1.32を再びしっかり割り込むと、下値意識が強まる。この場合ポンド円の売りからドル円などの売りを誘う可能性も。ポンドドルは中長期的には1.20台まで意識されており、頭の重い展開が続きそうなだけに、注意が必要。

豪中銀金融政策理事会は据え置き見通しが大勢も、金利市場の一部で利下げを織り込む動きも。8月の理事会での利下げがほぼ織り込まれつつあるだけに、ブレクジットを受けて先行して下げてくる可能性も。この場合、豪ドルはかなりの売りが広がりそう。75円を意識する展開に。

用語の解説

非農業部門雇用者数世界中から注目を集める米国の雇用統計。その中でももっとも注目度が高いのが、非農業部門雇用者数(NFP)の数字。ニュースなどでは前月比の水準が報じられることが多い。
米FRBの二大命題は「物価の安定」と「雇用の最大化」。ゆえに雇用情勢はFRBによる金融政策動向に直接影響し、雇用統計全般に市場の注目度が高い。失業率などは毎月の変化が小さい上、労働参加率などの状況によるところも多く、反応が難しい面があるため、比較的わかりやすいNFPが注目される面がある。
前月比20万人増がひとつのポイントとして注目されている。
ADP雇用者数米国の給与計算代行大手であるADPのデータをもとに算出される雇用統計。労働省が発表するNFPの民間部門との相関関係が高いとされている(ADPのデータが民間部門に限られるため)。NFPの原則2営業日前に発表されるが、祝日などの関係で例外があり、今回は雇用統計前日の7日木曜日に発表される。
前回、実際の数字と大きく乖離したように、信頼性にブレがあるものの、直前の市場のNFP予想に変化を与えるなど、影響力はそれなりにある。

今週の注目指標

豪中銀(RBA)政策金利発表
7月5日13:30
☆☆☆
このところの消費の低迷やインフレの鈍化などを受けて、豪中銀が早期に利下げに動くという見方は根強い。ただ、今回に関しては専門家予想は基本的に据え置きで一致している。今月末に4-6月期の消費者物価指数が発表されるため、その数字を見極めてからとの見方が広がっている。ただ、ブレクジットを受けて市場の混乱がある程度続くと予想される中で、豪中銀が早めに対応に動く可能性はそれなりにある。金利市場では少数派ながら利下げを織り込む動きも見られる点に注意。利下げを実施した場合、かなりの売り材料に。また、据え置いた場合でも声明などは緩和に前向きな姿勢を示すと考えられている。声明が中立で、緩和期待が後退するようだと、一転して豪ドル買いも。 この場合78円がターゲットに。
米ADP雇用者数
7月7日21:15
☆☆
米雇用統計の前哨戦として注目されるADPであるが、前回は17.3万人増とそこそこの数字を示し、3.8万人増にとどまりかなり弱かった雇用統計本番の状況を予期させるような数字とはならなかった。今回も乖離がひどいようだと、影響力の低下が意識されるところに。
予想は16.0万人増と、前回よりやや弱め。15万人を割り込むと弱さが印象的になるだけに、少しドル売りの動きも。
なお、通常は米雇用統計の2営業日前に発表されるADPであるが、今回は4日月曜日が米国の祝日となっている関係で、前日の発表となっている点にも注意。
米雇用統計
7月8日21:30
☆☆☆
前回5月分の雇用統計は、非農業部門雇用者数がこのところの水準及び予想水準を大きく下回る前月比3.8万人増にとどまり、米国の追加利上げ期待を一気に後退させる結果となった。今回はその反動もあり17.5万人増が見込まれている。予想程度まで戻せば、年内乗り上げ期待は回復する可能性。節目となる20万人を超える可能性もそれなりにあり、この場合はドル買いの勢いが強まりそう。もっとも、前回同様に弱めの数字が出てくると、戻りの重さが意識されるドル円にかなりの売りが入りそう。年内利上げ期待が後退し、ドル円は再び二桁を意識させる可能性も。失業率は4.8%と前回から0.1ポイントの悪化見込み。ただ、労働参加率が回復していれば、特に問題にはならない水準。

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