2016年07月25日号

(2016年07月18日~2016年07月22日)

先週の為替相場

ドルの買い戻しやや優勢

 18日からの週は、前週末のトルコの軍事クーデター勃発を受けたリスク警戒感が一服して始まった。週末のうちに事態が収束に向かったことで、週明けの市場は落ち着きを取り戻した。ドル円は前週末の104円台から105円台に値を戻して始まり、その後一時107円台を付ける動きを見せた。

 ドル円は、28日、29日の日銀金融政策決定会合を前に、神経質な場面も見られた。トルコがらみの警戒感が後退し、ドル円が107円台を回復した場面で飛び出したのが、黒田総裁によるヘリコプターマネー(用語説明1)導入を否定するBBCとのインタビュー。

 これを受けてドル円は一気に105円台に値を落とす展開に。

 インタビュー自体はブレグジット前の6月中旬のものであること、一般的なヘリコプターマネーの定義である国債の日銀による直接引き受けは法律上で禁止されており、総裁の立場では否定以外の発言が難しいことなどから、その後は落ち着きを取り戻したが、戻りは鈍く、発言前の円安ムードが落ち着いた。

 ポンドは神経質な展開。20日の英雇用統計が好結果となり、ポンド買いの流れが一時強まったが、22日の英PMI(購買担当者景気指数)がかなり弱く、ブレグジットを受けての景気見通しの悪化が印象的となったことで売り込まれる場面が見られた。

今週の見通し

 

 週の半ばから重要イベントが目白押しとなっており、週前半は様子見ムードが広がる展開も予想される。

 もっとも注目されているのが、28日、29日の日銀金融政策決定会合。直近の市場ではヘリコプターマネーがらみでの乱高下する場面が見られているが、今会合での採用は期待薄。黒田日銀総裁も指摘している通り、一般的なヘリコプターマネーは財政法(用語説明2)において禁じられている。

 もっとも市場では何らかの緩和策を示してくるとに期待が根強い。

 最初に意識されるのがマイナス金利の拡大。ただ、債券市場動向から考えてハードルは高い。国債買い入れの増額は可能性も含めて十分選択肢であるが、市場は秋の臨時国会での経済対策を打ち出す時期に合わせて行ってくるのではとの見方も強い。ETFの枠拡大程度にとどめるのではとの見方が強そう。ただ、この場合も株価が戻してきた現局面で必要性がやや薄い。貸出支援基金のマイナス金利化も噂されている。こちらはそれなりのインパクトがありそうで、マイナス金利拡大などが見送られた場合の目玉の施策となりそう。

 もっとも、ブレグジット直後の混乱が収まり、円高も一服している中で、無理に緩和を急ぐ必要はない。今回は現状維持にとどめる可能性も十分ある。この場合、市場がどこまで緩和を織り込んでいるか。織り込みが進んでいるようだと、反動での円高も。

 米国はFOMCと第2四半期GDP速報値の注目度が高い。FOMCは現状維持期待でほぼ一致。一時に比べ年内の利上げ期待が回復しつつある中、声明などでの表現に注目が集まる。雇用が一時厳しい状況となった第2四半期だけに、GDP速報値への注目度も高い。予想以上に堅調さを見せると、年内利上げ期待の回復に寄与し、ドル買いとなりそう。

 豪第2四半期CPIについては、この結果次第で8月の豪中銀理事会での利下げ実施が決まりそうなだけに要注意。予想を上回る強めの数字が出てくると、利下げへのハードルが高まる。この場合豪ドル買いでの反応が見られそう。

用語の解説

ヘリコプターマネー ノーベル経済賞学者であり、マネタリズムを代表する学者でもあるミルトン・フリードマンが1969年に発表した論文で発表した金融政策手法。ヘリコプターでお金をばらまくように大量のマネーを中央銀行が市中に供給する政策。具体的な方法としては中央銀行による国債の直接引き受けや政府紙幣の発行などが挙げられている。
 前FRB議長バーナンキ氏はフリードマンの信奉者として知られており、デフレ脱却にはヘリコプターからお金をまけばいいと発言したことなどでヘリコプターベンなどの異名をとった。
財政法 国の財政に関する基本法。予算の種類、作成、執行などについて規定した法律。
 この第5条において、
「すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。」
と規定されており、日銀の国債の直接引き受けは、法改正もしくは議会によって現状が特別事由相当との議決を受けない限り、出来ないこととなっている。

今週の注目指標

豪消費者物価指数(CPI)(第2四半期)
7月27日10:30
☆☆☆
 早期利下げ期待の強い豪中銀であるが、今月の理事会で据え置きを決めた理由として、今回の消費者物価発表を待って、物価動向を確認しておきたいとの思惑が見られた。
 前期比の見通しがマイナスとなっているように、前期からの落ち込みが全般に目立つ模様。予想通りもしくはそれ以下で来月の豪中銀の利下げについての期待が広がり、豪ドル売りの動きも。78円を割り込むともう一段の豪ドル売りが広がる可能性も。
米連邦公開市場委員会
7月28日03:00
☆☆
 26日、27日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。ブレグジット後には早期の利下げ期待まで飛び出したFOMCであるが、その後落ち着きを見せ、年内の利上げ期待も回復してきた。もっとも、今回は据え置きの期待でほぼ一致。今後に向けて声明のトーンなどに注目。9月のFOMCでの利上げを期待させるようだと、ドル買いが広がる可能性も。
日銀金融政策決定会合
7月29日
☆☆☆
 28日、29日に日銀金融政策決定会合が開催される。結果発表は会合終了後、29日のお昼前後と見込まれている。何らかの追加緩和が強いが、マイナス金利などに関してはハードルが高そうで、市場が期待しているほどの緩和は難しい可能性も。
円高進行が落ち着き、株価も戻していることから、今回は見送る可能性も。緩和期待が強いだけに、見送りもしくは大きな緩和なしの場合、反動での円買いも。この場合105円が最初のポイントとなる。
米第2四半期GDP
7月29日21:30
☆☆☆
 前期は設備投資の低迷などで+1.1%(前期比年率・速報時点では+0.5%)にとどまった米国のGDP。好調な個人消費動向や住宅投資状況などに支えられ、今回は+2.6%と急上昇が期待されている。アトランタ連銀による試算(GDPNow)では+2.4%見込みとなっており、こちらも2%をしっかり超える水準。かなりの高水準が期待できそう。この場合ドル買いの動きにつながる。

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