2016年08月01日号

(2016年07月25日~2016年07月29日)

先週の為替相場

日銀会合が大きな波乱材料に

 25日からの週は、日米の金融政策に注目が集まる週となり、結果的にドル売り円買いが目立つ展開となった。

 26日・27日に行われた米FOMC(連邦公開市場委員会)は、事前見込み通りの金利据え置き。結果自体は材料とならなかったが、声明において市場が期待する9月の利上げ示唆がなく、発表後はドル売りが進む展開となった。発表直後は「経済の短期リスクは後退、雇用は今後も力強く推移」などの文言にドル買いが入る場面も見られたが、市場の早期利上げ期待が強まっていた中で、声明内での利上げ示唆が見られなかったことが、結局はもっとも大きな材料となり、買い一服後に売り込まれる展開に。

 28日、29日の日銀金融政策決定会合では、ETFの増額などの追加緩和策を決定。発表直後は円売りが入る場面が見られた。しかし、政策金利のマイナス幅は据え置き、国債買い入れの増額も見送られるなど、市場が期待する積極的な緩和とはならず、その後は円買いが強まった。 

 29日はさらに海外市場で米4-6月期GDPが予想を大きく下回り、ドル売りの動きに。ドル円は一時102円を割り込み、戻りも鈍いまま週の取引を終えている。

 

今週の見通し

 

 神経質な展開が続きそう。日銀会合、米GDPなどを受けてドル安円高の流れが強まって迎えた今週。もっとも、急激な相場変動への警戒感もあり、さらなる下値トライには慎重な姿勢も見られる。金曜日には月次定例材料としては、もっとも相場に影響力があると言われる米雇用統計の発表も控えており、その発表を前にした突っ込んだ売り買いもやりにくいところ。

 今週は雇用統計以外にもISM製造業景気指数(用語説明1)、同非製造業景気指数など重要指標が目白押しとなっている。これら指標が軒並み強めに出てくると、いったんの買戻しも。もっとも、現時点での戻りは相当鈍い。先週末のGDPを受けて米国の年内利上げ期待が後退している影響が中期にわたって出てくると予想される。目先の上値抵抗水準である102円75銭から103円にかけての水準を超えたとしても、104円手前では再び上値を抑えられそう。なお、100円手前には買いが入っていると言われており、下がった場合にいったん値を止める可能性。割り込むとストップが出るだけに、下攻めがあった場合は、100円近辺での値動きに注意したいところ。

 米国以外では、豪、英の金融政策発表が注目材料。豪中銀理事会は利下げの期待が強まっているが、据え置き期待も根強い。豪中銀はディスインフレへの警戒感を強めているが、不透明感も残る現状で無理に下げてくるのかは微妙か。据え置いた場合、いったん豪ドル買いが強まるとみられる。この場合80円がターゲットとなる。

 英中銀金融政策会合は利下げ見通しでほぼ一致。一時据え置き期待が回復しつつあったが、英製造業・非製造業PMIがかなり弱く、一気に利下げへと思惑が触れた。今回は金融政策の変更が起きやすいスーパーサーズデー(用語説明2)でもあり、その面から考えても、今回の利下げ確率は高く、ポンドは対ドル、対円で頭が重くなりそう。135円をしっかり割り込む展開も予想される。逆に据え置かれた場合は相当なインパクトに。一気に140円をトライに行く展開も。

用語の解説

ISM製造業景気指数 米サプライ管理協会(ISM)が製造業約350社の購買担当役員に対するアンケート調査をもとに発表する指標。新規受注、生産、雇用、配送時間、在庫の5項目についてのアンケートを行い、項目ごとにウェイトを設定して総合の数字を計算する。50が好悪判断の境目となる。
 景気に対して先行性があることで知られ、市場の注目を集めている。
スーパーサーズデー 英中銀はかつて金融政策決定会合終了後の発表を基本的に結果のみにとどめ、声明や会見などを実施せず(重要変更などがある場合は除く)、後日発表の議事録と四半期に一度発表されるインフレ報告で状況を説明するという形式を採用してきた。しかし2014年12月に方式の変更を発表。会合結果、議事録を同時に発表し、さらに3か月に一度四半期インフレ報告を併せて同時に発表、同日総裁の会見を行うという形で、市場への情報提供形式を強化した。この3か月に一度のインフレ報告なども併せて行われる日のことをスーパーサーズデーと呼ぶ。総裁会見までセットになっており、状況の変化を市場に説明しやすいため、金融政策の変更が起こりやすいと言われている。

今週の注目指標

豪中銀理事会
8月2日13:30
☆☆☆
 注目された27日の豪消費者物価指数(CPI・4-6月期)は、刈込(トリム)平均が予想を上回る+1.5%と、1-3月期を上回ったものの、総合の数字は予想を下回る+1.0%と、1999年以来最低の水準にとどまった。この結果を受けて市場では利下げ期待が優勢になっている。金利面での利下げ確率はほぼ2/3(66%)といったところ。もっとも、据え置きとみる参加者も残っており、決定した方向に相当動きが出そうな状況。
英中銀金融政策会合(MPC)
8月4日20:00
☆☆☆
 国民投票によるEU離脱(ブレグジット)決定の影響を受けて緩和期待の広がる英国。もっとも、ブレグジット直後の混乱が収まり、メイ新首相が就任すると、行き過ぎた先行き不透明感が収まり、金融緩和についても、そこまで急ぐ必要はないのではとの思惑が一時広まった。19日の英消費者物価指数(CPI・6月)が予想・前回を上回ったこと、20日のILO失業率が予想・前回を下回ったことなど、直近の英指標の強さも、利下げ期待を後退させた。もっとも、22日の英製造業・非製造業PMIがともに大きく下落し、ブレグジットによる景況感の悪化を印象付けたことで、一転して利下げ期待が拡大。金利面での織り込みでは97%と、利下げがほぼ完全に織り込まれる動きに。直近安値の134円台半ばが意識される展開に。
米雇用時計
8月5日21:30
☆☆☆
 米国で最も注目される指標の一つである米雇用統計(7月)が5日に発表される。先週末の米4-6月期GDPの弱さを受けて後退した年内の追加利上げ期待。再び期待が強まるかどうか、カギを握っているのが米国の雇用統計だけに、今回もかなりの注目を集めている。前回は非農業部門雇用者数が予想を大きく上回る強めの数字となり、米景気回復期待を後押しした。今回は好結果だった前回との比較という面もあり、伸びが鈍るとの予想になっているが、それでも前月比+18.0万人が期待されており、予想通りだとするとまずまず強めの数字。予想前後の数字が出てくると、年内利上げ期待の回復がありそう。予想を超えて20万人超えの好結果が出てくると、9月の利上げ期待まで回復し、大きなドル買い材料となる。一気には難しくても中期的に105円超えのきっかけになる可能性も。

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