2016年09月26日号

(2016年09月19日~2016年09月23日)

先週の為替相場

日銀会合、FOMCを経てドル安円高に

 19日からの週は、20日、21日の日程で開催された日銀金融政策決定会合と米連邦公開市場委員会(FOMC)に注目が集まった。両イベントまでは基本的に様子見ムードも、ドル安円高が優勢に。米国の事前の利上げ期待が盛り上がらなかったこともあり、ポジション調整の意識が強く見られた。ドル円は14日に付けた103円台から101円台半ばまで値を落として、両会合結果待ちに。

 会合終了後に結果発表となる日銀金融政策決定会合は、ほとんどの会合で終了する12時台を過ぎても終了せず、追加緩和への期待感からじりじりと円安が進行。13時半を過ぎて発表された結果は、期待されたマイナス金利の深堀がなく瞬間的に円高が進行したものの、新たに導入された「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」への好感もあり、円高一服後は一転して円安が進行。ドル円は101円ちょうど近くまで売り込まれた後、102円台後半まで急上昇する展開となった。上昇一服後も102円台半ばの高値圏でFOMCまでもみ合った。クロス円も基本的に同じような動きに。

 つづいて、21日夜(日本時間22日)に発表されたFOMCは、事前見込み通り金利の据え置きを発表。声明では利上げについて根拠は強まったものの、しばらく景気状況を見送る旨を示した。もっとも3名の地区連銀総裁が利上げを主張するなど、FOMC内での意見の相違が目立った。注目されたドットチャートでは、年内の利上げ見送りを見込む動きが3名出てきた。市場はこの結果を見てドル売りで反応。ドル円は日銀会合直後の安値を割り込み、100円台前半まで売り込まれる展開に。

 翌日のアジア時間では、東京が祝日で参加者が少ない中で100円をトライも、100円の大台手前の買いを崩せず、100円10銭近辺まで。その後は少し持ち直してもみ合う展開となっている。

 

 その他目立ったのは資源国通貨の動き。28日に開かれるOPEC非公式会合(用語説明1)において、減産もしくは増産凍結が合意されるとの期待が強まり、NY原油先物が上昇。豪ドルやカナダドルの買いを誘った。対円では日銀会合やFOMCを前に円買いが進んだため、資源国通貨買いと円買いが相殺され、レンジ取引となったが、対米ドルなどでは資源国通貨高に。両会合後の円高進行も、資源国通貨買いで相殺され、豪ドル円が76円から77円台半ばでの振幅となるなど、下値しっかり感が出ていた。

 

今週の見通し

 イベントをクリアし、円高リスクが意識されている。FOMC後の声明などを確認する限り、元々大方が予想していた通り12月利上げ(次回11月のFOMCは大統領選直前ということで、利上げは難しいという意見が大半)という見通しに変化が出る情勢ではない。ただ、早期利上げに期待しすぎていた面があったことや、これまで少なくとも年内での利上げ見通しでは意見が一致していた状況から、3名のメンバーが据え置き見通しに転換したことなどが警戒されている。

 ドル円は100円をトライする可能性が十分にある。100円手前の買い意欲はまだ残っており、大きく円買いが進むようには見えないが、戻りは相当に鈍い。今週数多く予定されているFRB関係者の講演などで年内の利上げ期待が後退するような場面があると、一気にドル売り円買いが進む可能性も。100円をあっさり割り込む可能性を意識しておきたい。

 先週は買い戻しが目立った資源国通貨も、売りのリスクが強まっている。28日のOPEC非公式会合での増産凍結見込みが、先週のNY原油先物を支える結果となったが、先週金曜日にサウジアラビアが増産凍結に否定的との報道が流れ、一気に原油安が進む場面が見られた。米国の石油稼働リグ(用語説明2)の増加傾向も続いており、今回の会合での凍結見送りの可能性は十分にある。この場合豪ドルなど資源国通貨にはかなりの売り材料となる。豪ドル円は76円近辺のサポート水準を割り込むと、ストップロス注文もかなり入っているとみられ、売りが加速する可能性。75円割れまで意識したいところ。

用語の解説

OPEC非公式会合 OPEC(石油輸出国機構)は6月と12月(11月になる場合も)に開かれる定例総会の他に、重要な議題があれば非公式会合を随時開催する。今回はアルジェリアの首都アルジェにおいて26日から開かれている国際エネルギーフォーラムに合わせ、28日に同地で会合が開かれる。原油安傾向を受けての増産凍結もしくは減産の協議が主要議題。経済制裁明けのイランが、制裁時に低下した原油生産の拡大を図っており、凍結に反対の姿勢を示している他、サウジアラビアもこのところの米国でのシェール生産の増産傾向などに警戒感を示しており、協議は難航が予想されている。なお、今回の非公式会合には石油生産量世界第2位でOPECには非加盟のロシアも参加する。
石油稼働リグ リグとは油田において石油を掘削するための装置。米国でのシェールブームにおいて、日本も含め世界中から投資資金が集まり、多くのリグが設置されたが、シェール油田での石油生産は、中東の油田での生産に比べてコストが高いといわれており、その後の原油安の進行で採算が取れない施設が続出した。そのため一時リグの稼働数が大きく減少する傾向が見られた。ここにきて原油安に一服傾向が見えたこともあり、稼働数は回復傾向を示している。

今週の注目指標

米大統領選第一回TV討論会
9月27日10:00
☆☆☆
 11月に行われる大統領選挙に向けて、現地時間26日に第一回のTV討論会が開催される。直近では2000年のTV討論会で、民主党候補であった当時のゴア副大領の振る舞いが有権者に嫌気され、それまでやや劣勢といわれていた共和党候補のブッシュテキサス州知事が逆転したといわれるなど、有権者の投票行動に与える影響はかなり大きいといわれている。
 今回はいつも以上に米国市民の大きな関心を呼んでおり、視聴者数は1億人に上るのではとの観測もある。基本的にはクリントン勝利でドル買い。トランプ勝利でドル売り。下馬評で劣勢のトランプ氏の逆転が意識されると、ドル円は100円割れも。
OPEC非公式会合
9月28日
☆☆☆
 OPEC(石油輸出国機構)は28日、非加盟国であるロシアなども交えて、アルジェリアで増産凍結もしくは減産に関する非公式会合を行う。開催国アルジェリアは増産凍結に積極的な姿勢で知られており、今会合での増産凍結合意が期待されている。なお、ロシアはすでに生産余力が乏しいという見通しもあり、増産凍結には前向きといわれている。サウジアラビアは米国のシェールオイル生産の回復傾向もあり、石油市場全体でのシェア低下を警戒し、慎重な姿勢も。ただ、8月のOPECの石油生産が過去最高水準となったと見られる中、価格低下への警戒感も強く、サウジも増産凍結に応じる可能性は十分にある。ただ、経済制裁明けからの生産量回復の途上にあるイランなどは反対の姿勢を示しており、合意が見送られる可能性も。合意に至った場合、ドル円にとっては買い材料。豪ドル円、カナダ円なども上昇すると期待されている。豪ドル円のターゲットは今月の高値である79円近辺。
イエレン議長議会証言や講演など
9月28日・29日
☆☆☆
 FOMCの参加メンバーは、FOMC前週の火曜日からFOMC終了までの期間、金融政策に関する発言が禁止されていた。その拘束が外れたこともあり、今週はFRBメンバーの講演や発言機会が数多く予定されている。
 イエレン議長は28日に下院金融サービス委員会で議会証言を行う。テーマは金融システムの安定性についてとなっているが、質疑応答などにより今後の金融政策動向のヒントとなる言葉が出てくる可能性は十分にある。また、翌29日には議長による講演会が予定されている。
 それ以外にも、多くの地区連銀総裁やFRB理事の発言が予定されている。
 地区連銀総裁は比較的利上げに積極的な姿勢が目立つといわれているだけに、市場の年内利上げ期待がうまく盛り上げれば、103円を試しに行く可能性も。

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