2017年03月06日号

(2017年02月27日~2017年03月03日)

先週の為替相場

3月の利上げ期待拡大

 27日からの週は当初ドル売り円買いが優勢な展開となったが、週の後半にかけて急速にドル買い円売りが強まる展開となった。

 28日(日本時間1日午前11時)から行われたトランプ大統領の議会演説(就任1年目の大統領が一般教書演説の代わりに行うもの)を前に、いったんは調整の動きが広がり、ドル円は111円台まで値を落とす展開に。

 インフラ投資や減税について具体的な話は出てこないという思惑が広がり、ドル売りを誘った格好。

 しかし、28日のNY市場でダドリーNY連銀総裁が3月の利上げについて強く示唆。米国の金融政策の実務を取り仕切るということで、FOMC参加メンバーの中でも重要なメンバーとして注目を集めている上に、元来慎重派(ハト派・用語説明1)として知られるダドリー氏の利上げ示唆は市場にインパクトを与え、金利市場動向から見た3月の利上げ確率が一気に上昇。ドル買いが進む展開に。

 トランプ大統領の議会演説を無難にクリアした後、1日に、こちらも慎重派で知られるブレイナードFRB理事による3月の利上げ示唆があり、ドル買いが強まる展開に。

 さらに3日にはイエレン議長が3月の利上げにかなり前向きな発言を行い、利上げ期待が一層拡大という流れに。

 翌日物金利スワップ市場動向から計算された3月の利上げ確率は95%に達し、利上げをほぼ織り込む動きとなった。

 もっとも、イエレン議長の講演前から利上げ自体は織り込みが進んでおり、講演開始直後こそドル買いの動きが強まったものの、講演中から一転してドル売りに。いったん織り込みが落ち着き、ポジション調整が入るきっかけとなった格好。

 ユーロドルはドル高の流れを受けて1.05を割り込む場面まで見られたが、その後値を戻す展開に。週末のドル全面安の流れがユーロ買いドル売りにつながっている。

今週の見通し

 3月のFOMCでの利上げ自体はほぼ織り込み済み。イエレン議長は「雇用とインフレが我々の予想に沿う形で推移し続けていることが確認できれば、3月の利上げは適切」と発言。インフレについては目標(PCEデフレータ前年比2%)にこそ届いていないものの、順調に上昇傾向。雇用については1月の講演で失業率を中長期的に安定させるために必要な雇用増は7.5万人~12.5万人と発言しており、前回1月分の22.7万人増、今週金曜日の予想19.0万人増は十分すぎる水準で、利上げへのハードルは相当低くなっているとみられる。

 すでに織り込みが進んでいる分、ごく短期的には利益確定売りが入りやすい展開であるが、利上げは中長期的にかなり大きな買い材料となるだけに、突っ込んだ売りもやりにくい。

 調整売りが一服すると、再びドル買いが強まる可能性も。113円程度までのドル売り円買いは十分ありそうだが、中期的には115円を試す流れか。

 もう一つの懸念材料であるフランスの大統領選に関しては、夫人への不正給与問題で支持率を落とし、決選投票へ残る可能性がかなり低くなっているフィヨン元首相に代わって、ジュペ元首相(用語説明2)を中道右派候補として推す動きが強まってきた。直近の世論調査ではジュペ氏が立候補した場合、マクロン氏を抑えて決選投票に残ると見られており、ルペン氏との決戦投票でも圧勝すると期待されていることから、ユーロにとっては買い材料となっている。

 ユーロ円に関しては、ドル円などでの目先の円高進行に上値を抑えられる可能性があるが、調整が一服すると、対ドルでのユーロ買いも加わってドル円以上に反発する期待も。1月以来の123円台ぐらいまでの上昇は十分期待できるとみている。

用語の解説

ハト派 景気を重視し、金融引き締め(利上げや量的緩和縮小)に慎重な姿勢を示す金融政策メンバーのこと。逆に、インフレ上昇を警戒し、利上げなどに積極的な姿勢を示すメンバーをタカ派と呼ぶ。
 現在のFOMCのメンバーでは、常任メンバーのうち、イエレンFRB議長、タルーロ理事、ブレイナード理事、ダドリーNY連銀総裁がハト派。今年投票権を持つ地区連銀総裁の中ではエバンス・シカゴ連銀総裁、カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁がハト派といわれている。
ジュペ元首相 シラク大統領時代に1995年5月から1997年6月まで首相を務めたフランスの政治家。現在中道右派の代表候補となっているフィヨン元首相の下でも、2007年の第一次フィヨン内閣で環境・開発・エネルギー・運輸相として入閣。同年の下院選で落選し、いったん引退も、その後返り咲き、2010年の第3次フィヨン内閣で国防相、その後外相として入閣している。今回の大統領選に関しては、当初最有力候補と見られていたが、党内選挙でフィヨン氏に敗れている。

今週の注目指標

豪中銀金融政策理事会
3月7日
☆☆☆
 政策金利は現行の1.50%で据え置きの見込み。注目は声明の内容。先週発表された第4四半期GDPが予想を上回る好結果となり、リセッションも回避されたことから、今後の利上げを見越した経済見通しの改善が期待されている。最大の輸出品である鉄鉱石の価格が上昇傾向を維持していることから、豪経済はかなり楽観的な見通しが広がっており、声明でどこまで強気な姿勢を示してくるのかが注目材料に。当面は金利維持が見込まれているが、将来的な利上げを意識させるような内容になると、豪ドル買いの動きに。豪ドル円は87円台半ばがターゲットに。
ECB理事会
3月9日21:45
☆☆☆
 欧州の指標は比較的好調となっているが、インフレ率はまだまだ低く、ECBとしては現行の緩和策を現時点で変更する意味は小さく、年内の資産買い入れプログラムの維持など、金融政策の現状維持が発表されるとみられる。今月15日に行われるオランダの総選挙、4月・5月のフランス大統領選など、主要国の重要な選挙を前に、ドラギ総裁は慎重姿勢を維持する見込み。材料的にはユーロ売りも、すでに織り込みが進んでおり、影響は限定的か。ユーロドルは1.05割れをどこまで試せるのかがポイントに。
米雇用統計(2月)
3月10日22:30
☆☆☆
 3月14日・15日のFOMC(米連邦公開市場委員会)直前となる今回の雇用統計。これまでの雇用統計の力強い結果から、今回よほどひどい数字が出てこない限り、利上げの見通しに変化はないとみられる。非農業部門雇用者数の事前見通しは前月比19万人増。イエレン議長が1月に言及した12.5万人が一つの目途で、予想を大きく下回って、12.5万人をも下回ると、利上げ見送りの警戒感につながり、一気にドル売りが入る可能性も。この場合ドル円は111円台もしくはそれ以上に値を落とす可能性も。

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