2017年03月21日号

(2017年03月13日~2017年03月17日)

先週の為替相場

ドル売り欧州通貨買い

 13日からの週は、FOMCをはじめ、英国、トルコ、スイス、日本などの金融政策発表、オランダの下院選など、イベントが目白押しの週となった。

 もっとも注目された14日、15日の米FOMC(連邦公開市場委員会)では事前見込み通り0.25%の利上げが決定された。この決定自体は完全に織り込まれており、市場の注目は同時に発表されたFOMCメンバーによる経済見通し(プロジェクション)に向いていた。

 プロジェクションの中でも、もっとも注目を集めていた年末時点での政策金利見通し(ドットチャート)では、前回12月の発表と同じく今年3回の利上げ見通しが中央値となった。前回の発表からこれまでの力強い米経済指標動向を受けて、市場の一部では年4回以上の利上げを見込むメンバーが増えるのではとの期待があった。しかし、実際には4回以上の利上げを見込むメンバーの数は前回と同じ5名にとどまった。これを受けて金利市場で25%程度織り込んでいた年4回の利上げ期待が後退。ドル売りが広がる展開となった。

 現地時間15日に投票が行われ、日本時間で16日に開票結果見通しが報じられたオランダの下院選挙では、市場が懸念した極右自由党の票が思ったほど伸びず、ルッテ首相率いる与党自由民主党(用語説明1)が議席自体は減らしたものの第一党を維持する穏当な結果に。

 これを受けてユーロは上昇。ユーロドルでのユーロ買いドル売りを受けて、FOMC後のドル安基調がさらに強まる結果となった。

 さらに、16日に発表された英中銀金融政策会合(用語説明2)がサプライズに。政策金利の据え置き自体は予想通りも、投票結果が8対1となり、利上げ主張のメンバーが出たことで、ポンド買いの動きが広がった。

 英国の景気動向、特にインフレ圧力の拡大自体は利上げを実施してもおかしくない水準にあるが、ブレグジットの動きが今後本格化する中での利上げに慎重な姿勢が続くとの見通しが後退し、ポンド買いを誘った。

今週の見通し

 次の流れを探る展開となっている。

 FOMCでの利上げは織り込み済み。参加メンバーによる経済見通しにおいて、前回12月で示された年内3回の利上げからの変更が見られず、市場の失望感を誘っている。政策金利見通し以外でも、すでにインフレターゲットに近い物価見通しがほぼ変わらずとなるなど、直近の強めの数字の影響が限定的なものにとどまっている。

 FOMCメンバーの慎重な姿勢が示された格好で、FOMC前までのドル買いムードが一服している。

 もっとも、今年3回とはいえ、順調に利上げペースを続ける米国と、他の主要国・地域との状況の差は大きく、ドル売りにも慎重姿勢。

 頭の重さを意識しながらも、レンジ取引が基本となりそう。

 欧州情勢はリスク警戒感後退方向に流れており、円安要因に。

 ユーロは先週のオランダ総選挙を受けて、極右勢力の台頭懸念が後退している。与党自由民主党がそれまでよりも議席を減らしたとはいえ、事前予想を超える議席数を獲得。極右自由党は思ったほど議席を伸ばすことが出来なかった。フランスの大統領選に関しても、極右国民戦線のルペン党首とマクロン前経済相の支持率が拮抗してきており、第一回投票でのトップ獲得が微妙な状況。決選投票での勝利はまずありえない状況となってきており、極右政権という事態は避けられる見込み。

 英国はメイ首相が29日にブレグジットの通告をEU議会へ行うことが報じられた。ブレグジットは本来ポンド売り材料とされていたが、最新世論調査でメイ首相の対応に関して賛意が広がっており、ブレグジットの順調な進展が基本的な流れとして認識されている。今回の通告決定は進展を巡る混乱が回避されるという認識につながっている。

 これらのリスク要因の後退は円売りの材料として作用しそう。

 ドル円はごく短期的には頭が重く、112円を意識する展開となる可能性があるが、112円台を中心としたレンジが続いたあと、113円台半ば超えへの反転の可能性が高そう。

 

用語の解説

オランダ自由民主党 ルッテ首相が党首を務めるオランダの政党。オランダ語でVolkspartij voor Vrijheid en Democratieと表記され、VVDの略称で知られる。上院にあたる第一院、下院にあたる第二院ともに第一党。先週行われた総選挙(第二院)では、それまでの41議席から33議席に大きく数を減らしたが、第2党となった極右政党自由党が20議席にとどまったこともあり、第1党にとどまっている。ただ、連立与党を形成していた労働党が38議席から9議席まで議席数を減らしたことで、合わせても過半数である76議席に届いておらず、新しい連立に向けた調整が行われている。
英中銀金融政策会合 Monetary Policy Committee(MPC)。英中銀が毎月行っている英国の金融政策を決定する会合。総裁、副総裁を含む5名の内部委員と4名の外部委員の計9名による多数決で政策が決められる。総裁や議長の提案が基本的に通る日本、米国、ユーロ圏(ECB)などと違い、議長提案が否決されるケースが見られることが特徴的。カーニー総裁がカナダ国籍、今年6月での辞任を表明しているフォーブス委員が米国国籍であるなど、英国外からも委員を集めていることも特徴的。

今週の注目指標

イエレン議長講演
3月23日
☆☆☆
 利上げを決めた先週のFOMC後の記者会見では、年3回の利上げをしっかりと示唆した議長。今年に入っての米経済の力強さへの言及は目立たず、12月時点での見通しと大きな変化を見せなかった。そうした議長の姿勢が今回の講演で再確認できるのかがポイントに。先週トランプ政権が示した予算方針への言及なども注目材料。議長の慎重姿勢が目立つようだと、ドル円にはやや重石。111円台を試すきっかけになる可能性も。
米地区連銀総裁講演
3月23日
☆☆
 FOMC明けということもあり、今週はイエレン議長だけでなくFRB関係者の講演が多数予定されている。中でも注目はイエレン議長の講演と同じ23日に行われるカプラン・ダラス連銀総裁とカシュカリ・ミネアポリス総裁の講演。両総裁とも今年のFOMCで投票権を有している。
 カプラン総裁は中立派として知られているため、講演において、タカ派・ハト派どちらのバイアスにも偏らない、FOMCの現状のムードを見極めることができるのではと期待されている。
 カシュカリ総裁は今月のFOMCでの利上げに唯一反対票を投じた総裁。今年これからの利上げに関してどの程度慎重な姿勢を示すのかが注目される。
 講演により今後の利上げについて比較的堅調な流れが意識されると、ドル買いが広がる可能性。ドル円は113円台半ばを超える動きも期待される。
米耐久財受注(2月)(速報値)
3月24日 21:30
☆☆
 米国の経済成長率を予想するうえで重要な材料となる米耐久財受注。前回1月分は輸送関連の受注が大きく記録されたこともあり、全体の数字は前月比+2.0%とかなりの好結果となったが、輸送を除くコアは前月比変わらず(速報時点では前月比-0.2%)と厳しい数字となった。GDP算出に利用される航空機を除く非国防資本財(コア資本財)の出荷も、12月の+1.6%からマイナス圏に落ち込むなど、やや警戒感を誘う結果となった。
 今回は輸送部門が落ち込むため、全体の数字は前回よりも弱めも、コアは+1.6%と回復する予想になっている。予想前後の数字が出てくると2017年第1四半期GDPへの期待感につながり、113円台半ばに向けたドル買いを誘うと期待される。

auじぶん銀行外貨預金口座をお持ちのお客さま

ログイン後、外貨預金メニューからお取引いただけます

免責事項

本レポートは株式会社時事通信社が提供しています。また本レポートの内容は、株式会社時事通信社が提供する情報をもとに、株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイドが執筆しています。本レポートは、情報提供のみを目的にしたもので、売買の勧誘を目的としたものではありません。投資決定に当たっては、投資家ご自身のご判断でなされますようお願いいたします。株式会社時事通信社、株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイドおよび情報提供元は、本レポートに記載されているいずれの情報についても、その信頼性、正確性または完全性について保証するものではありません。また本レポートに基づいて被った損害・損失についても何ら責任を負いません。本レポートに掲載されている情報の著作権は、株式会社時事通信社および株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイドに帰属します。本レポートに掲載されている情報を株式会社時事通信社の許諾なしに転用、複製、複写等することはできません。

Copyright(C) JIJI Press Ltd. All rights reserved.

auじぶん銀行からのご注意

  • 本画面に掲載されている情報は、auじぶん銀行の見解を代弁したものではなく、auじぶん銀行がその正確性、完全性を保証するものではありません。

以上の点をご了承のうえ、ご利用ください。