2017年04月03日号

(2017年03月27日~2017年03月31日)

先週の為替相場

ドルは安値から持ち直しも、戻り鈍い展開

 27日からの週は、序盤にドル安円高が進行も、週の半ばからいったん値を戻す展開。もっとも週末にかけて再びドル売り円買いが優勢になるなど、一方向の動きにはならず。

 週の前半は21日の米下院でのヘルスケア法案採決中止を受けたドル売りの流れが継続した。トランプ政権の政策実行力への懸念が広がり、今後の税制改革や金融規制改革(用語説明1)の不透明感が増したとの認識がドル売りを誘った。

 もっともこの時のドル売りでは110円の大台手前の買いを崩しきれず、大台を維持するなかで、短期筋を中心にいったん利益確定の買い戻しが入り111円台を回復。

 さらに米第4四半期GDP確報値が、改定値から上方に修正されたことや、PCEデフレータが強めに出たことで、今後の追加利上げペース拡大の期待が広がり、ドルの買い戻しとなった。ドル円は112円台を回復する動きに。

 もっとも週末にかけては再びドル安が進行。

 ダドリーNY連銀総裁が利上げを急がない姿勢を示したことで、ドル売りが一気に広がった。111円台前半まで値を落とす展開となったが、111円台は維持して週の取引を終えている。

 ユーロはブレグジットがらみで売りが優勢に。29日に英国のメイ首相がEU議会のトゥスク大統領にEU離脱を正式に通知。今後の不透明感が広がる展開となった。昨年6月の国民投票以降織り込みが進んでいる英国に対し、今後の影響を織り込みきれていない印象のユーロに売りが入る展開に。

 ユーロドルは1.09台から1.06台まで値を落とす展開となった。

 その他目立ったのは南アランド。

 ズマ大統領は27日訪英中のゴーダン財務相らを急きょ呼び戻した。市場の信認が厚いゴーダン氏の解任懸念が広がり、一気にランド売りに。

 大統領は結局30日夜になって財務相を含む9閣僚を解任し、内閣改造を行うことを発表。財務相に金融やビジネス関連のキャリアに乏しいギガバ内務相が起用されたことで、市場の警戒感を誘い、ランド売りがさらに加速した。

 同国の格付けがジャンク級(用語説明2)に落ちるのではとの懸念も、ランドへの警戒感につながっている。

今週の見通し

 米中首脳会談、雇用統計など、注目度の高いイベントが週の後半に控えており、週前半は神経質な展開が予想される。

 米国の金融政策の実務を担うNY連銀の総裁ということで市場の注目度が高いダドリー氏が利上げを急がない姿勢を示したことで、ドル買いに慎重な姿勢が見られる。

 先月のFOMCで参加メンバーによる今年年末時点での政策金利見通しの引き上げがなく、市場の追加利上げペース加速の期待はかなりしぼんでいた。しかし、ここにきて米指標が強めに出ていたことで、再び期待感が膨らみそうになったところに、ダドリー総裁の発言が出た格好に。

 ドル円は111円台を中心にしたレンジ取引が基本となりそう。

 米中首脳会談と米雇用統計次第では上下ともに可能性が出てくる。

 首脳会談で通商問題に関して歩み寄りが見られると、リスク懸念後退でドル円は上昇へ。112円台に乗せて上を試す展開も。

 豪ドル円やNZドル円などのクロス円も買われると期待される。

 豪ドル円は86円がターゲット、NZドル円は80円を意識。

 逆に通商問題での対立が印象付けられると、ドル円は売りが優勢に。ドル円の110円割れが意識される。

 米雇用統計は予想前後の数字が出てくると、動きは限定的か。失業率の悪化や平均時給の前月比マイナスなど、予想外の弱めの数字が出てきた場合、ドル円は110円トライも。

用語の解説

金融規制改革 トランプ大統領は選挙期間中の公約として、現行の金融規制に関するドット・フランク法(ウォール街改革及び消費者保護に関する法律)を廃止することを掲げている。2月3日に同法の見直しに向けた大統領令に署名しており、現在財務長官を中心に調査が行われている。
 ドット・フランク法に関しては金融機関の収益を抑制するものとして批判がある一方、リーマンショックを受けて金融危機再発防止のために制定された経緯から、今後の金融機関の監視の面から廃止に慎重な姿勢も見られる。
ジャンク級 格付けが低く、債務不履行になる可能性が高いために、投資不適格級とされている債券をジャンク債と呼び、その格付けをジャンク級と呼ぶ。具体的には格付けがBB+(ムーディーズ・インベスターズ・サービスの表記ではBa1)以下の格付けのこと。
 南アの信用格付けは、格付け大手3社のうちS&Pとフィッチがジャンク級の一つ上のBBB-。ムーディーズが2つ上のBaa2。見通しはいずれもネガティブで今後のジャンク級への転落が懸念されている。4月7日にムーディーズが南アの信用力に関する調査結果を公表する予定になっており、結果次第では大きなランド売りに。

今週の注目指標

豪中銀金融政策理事会
4月4日13:30
☆☆☆
 豪中銀の金融政策理事会が4日開かれ、日本時間13時半に結果が発表される。政策金利は現行の1.50%で維持される見込み。豪州としては史上最低水準である現在の政策金利であるが、これまで景気動向などへの懸念から利下げ圧力が残っていた。ここにきて景気や物価の見通しが改善しており、声明において利下げ観測が後退してくるのかが注目される。声明次第では豪ドル買い圧力が高まりそう。先週上値を抑えた86円を超えてくる期待も。
米中首脳会合
4月6日、7日
☆☆☆
 中国の習近平国家主席が訪米し、トランプ米大統領と6日、7日にフロリダ州パームビーチで米中首脳会談を行う。
 トランプ大統領は中国に対して北朝鮮への圧力強化を求めると見られ、通商問題と合わせ米中関係の対立が広がる可能性も。
 この場合、リスク回避からのドル円でのドル売り円買いに加え、対中輸出が盛んな豪ドル、NZドルなどにも売り圧力。
 豪ドルは先月末の安値83円台後半をトライする展開に。
米雇用統計(3月)
4月7日21:30
☆☆☆
 米国の今後の利上げペースが意識される中で、今週金曜日に3月の米雇用統計が発表される。雇用の最大化と物価上昇率を中期的に2%で安定させることが米FRBの二大命題であり、雇用情勢は米国の金融政策に大きく影響を与えるだけに要注意。
 非農業部門雇用者数はここ二回連続で節目の前月比20万人増を超える強いものとなった。今回はその反動もあって17.5万人増に鈍化しているが、3か月平均で考えると十分に強めの数字。予想前後の数字が出てくると、ドルのサポート材料に。
 予想を超えて直近2回と同様に20万人を超えてくると大きなドル買い材料。平均時給や失業率など、同時に出る雇用統計関連指標にもよるが、113円台超えを試す可能性も。

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