2017年07月31日号

(2017年07月24日~2017年07月28日)

先週の為替相場

いったんは値を戻すも、週末にかけドル安進行

 24日からの市場は、それまでの流れを受けて週初に110円台を付けた後、いったんドル安が収まったものの、週末にかけて再びドル安円高の動きが強まるという展開が見られた。

 26日のFOMC結果発表を前に112円台を回復したドル円は、FOMC声明で物価の現状認識が下方修正されたことなどに反応して、再び110円台を付ける動きに。

 イエレン議長の議会証言などを受けて物価の鈍化傾向に市場が神経質になっており、物価関連の表現の変更に大きく反応した格好。声明では6月FOMC時点で「2%を幾分(somewhat)下回る」となっていた部分が「2%を下回って推移」に変わっており、幾分という表現がなくなった。もっとも見通しの中では幾分という表現が利用されており、全体を通してみると変更自体は小さいもので、物価関連の材料に対する市場の関心の高さを印象付けた。

 民進党の蓮舫代表の辞任や、稲田防衛大臣の辞任などをうけた日本の政治リスクはそれほど話題にならなかったが、発表直後は円安に振れる場面も。

 その後金曜日の米第2四半期GDP発表を前にして、ポジション調整からドル円が少し買い戻される場面も見られたが、ムニューシン米財務長官発言で再びのドル安円高に。

 長官は下院での公聴会において、通商問題に絡んだ答弁で、為替操作国(用語説明1)に対して実際の介入を行う可能性に言及。ドル売りにつながった。

 注目された米第2四半期GDPは、予想を0.1ポイント下回る弱めの結果に。前期分の数字も下方修正され、再び一気にドル売りが強まった。

 直近安値を割り込んで、短期筋の調整売りを誘ったこともあり、ドル円は110円55銭近辺まで値を落とし、少しだけ戻して終了と、週末にかけてドル安円高の流れが強まった。

 その他通貨でやや目立ったのが豪ドル。

 26日に発表された第2四半期の豪消費者物価指数(CPI)が予想を下回ったことで、早期の利上げ期待が後退し、豪ドル売りの展開に。

今週の見通し

 ドル安の勢いが継続しそう。

 ロシアゲート疑惑などの政治リスクがドルの重石となる中、ドルを支えてきた米景気回復への信頼感が、先週末の第2四半期GDPを受けて後退しており、ドル売りが入りやすい展開に。

 今週は金曜日に米雇用統計の発表を控えており、週の後半にかけて行き過ぎた動きに対する警戒感が広がる可能性があるが、市場はドル売りの材料にかなり神経質になっており、戻りは鈍いと予想される。

 特に物価関連に関しては要注意。先週のFOMC声明では物価認識の下方修正が行われたが、今後の見通しについては表現が変わっておらず、市場の反応はやや過剰という印象も。

 1日に発表される米国のインフレターゲットの対象である物価指標、PCEデフレータにも要注意。前年比+1.3%、同コア前年比+1.4%が見込まれている。傾向が似ている消費者物価指数(CPI)が7月14日にすでに発表さており、総合の数字が前回を下回るなどの状況は織り込み済み。予想前後の数字が見込まれているが、予想を下回るとさらにドル売りが強まる可能性も。

 ドル円は110円割れを視野に入れる展開に。ターゲットは108円台か。

 

 その他通貨で注目は1日に中銀金融政策理事会の結果が発表される豪ドル。

 先週発表された第2四半期の消費者物価指数(CPI)が予想を下回ったことで、早期の利上げ期待が後退していることもあり、今回の理事会では慎重な姿勢が示されるとみられる。

 ただ、前回の理事会の議事録で示された中立金利(3.5%・用語説明2)を巡って、市場では来年以降の利上げ開始を期待する向きも強い。

 理事会で前向き姿勢が印象的になると、豪ドル買いの動きも、対ドルで頭を抑える0.80台にしっかり乗せ、0.81を目指す展開が期待される。

用語の解説

為替操作国 米財務省が提出する為替政策報告書(年2回)に基づいて、議会が対米貿易を有利にするために為替相場を不当に操作していると認定した国のこと。1988年から報告書の議会提出が始まっており、1990年代前半にかけて中国などが認定を受けたことがあるが、1994年以降は認定を受けた国はない。昨年4月に米財務省は今後の操作国認定につながる為替監視リストを発表。中国、台湾、韓国、ドイツ、日本の5か国が対象とされた。
中立金利 景気を刺激も抑制もしない、景気に対して中立的な金利水準のこと。自然利子率と同義。基本的には潜在成長率と同水準になるといわれているが、計測方法が難しい。豪中銀の現在の政策金利は+1.5%。前回の理事会で中立金利とされた約3.5%とは、約2%の開きがあるため、今後、そのギャップを埋める利上げが行われるとの期待が広がった。

今週の注目指標

PCEデフレータ(6月)
8月1日 21:30
☆☆☆
 米国のインフレターゲット(前年比+2.0%)の対象である同指標。傾向が似ている消費者物価指数(CPI)は、7月14日にすでに6月分が発表されており、前年比+1.6%と5月から鈍化。食品とエネルギーを除いたコア部分が、+1.7%と5月と変わらずとなっている。PCEデフレータは+1.3%と5月の+1.4%から鈍化。コアは5月と同じ+1.4%の見込みに。
 予想程度の水準は織り込み済みであるが、ターゲットの2.0%からは遠ざかったという印象が強い。予想をさらに下回ってくると、インフレ鈍化懸念がさらに強まり、ドル売りが加速する可能性も。ターゲットは108円。
英中銀金融政策委員会(MPC)
8月3日 20:00
☆☆☆
 前回は5対3での政策金利据え置きとなった英中銀。早くから利上げを主張してきたフォーブス委員が6月で退任しており、新しく就任したテンレイロ委員は中立が見込まれているため、前回よりも利上げ主張が減ると予想されている。
 ただ、今回は四半期インフレ報告などが同時に発表され、カーニー総裁の会見なども行われるスーパーサーズデーにあたっており、政策の変更が起こりやすい回にあたっている。今回の委員会での利上げの決定などは難しいと思われるが、今後の出口戦略への動きなどが会見などでよりはっきりと示されるとポンド買いにつながる可能性も。ポンド円のターゲットは147円50銭。
 
米雇用統計・非農業部門雇用者数(7月)
8月4日 21:30
☆☆☆
 前回6月分の非農業部門雇用者数(NFP)は、事前予想の前月比+18.0人を大きく上回る+22.2万人を記録した。4月分、5月分の数字も上方修正されており、米労働市場の好調さを印象付けた。失業率は4.4%と5月分の4.3%から0.1ポイントの悪化も、これは5月分が約16年ぶりの低水準となった反動。今回の予想はNFPが+18.0万人と、前回からは伸びが鈍化も、まずまずの数字が期待されている。予想前後もしくはそれ以上の数字が出てくると、米国の利上げ基調が継続との思惑が強まり、ドルの買い戻しが強まる可能性も。特に前回の数字を上回るようだと、かなり強いという印象に。結果次第でドル円は112円台へ向かう可能性も。

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