2017年08月14日号

(2017年08月07日~2017年08月11日)

先週の為替相場

閑散な取引の中、ドル円は軟調

 8月7日からの市場で、ドル円は108円台に値を落とす場面が見られた。

 日本がお盆休み、海外勢もサマーバケーションシーズンが本格化しており、取引が閑散となる中、ドル安円高基調が継続した。

 米朝の対立姿勢が地政学的リスクからのドル売り円買いを誘った面も。トランプ大統領が北朝鮮への強い姿勢を示す中で、北朝鮮は米グアムに近い海上への中距離弾道ミサイル(用語説明1)の実験を行う見通しを発表し、両国の対立姿勢が強まった。

 週の初めは、サマーバケーションシーズンで取引量が少なくなる中、111円近辺が重くなる形で、110円台でのレンジ取引が中心に。

 トランプ大統領の対北朝鮮発言などで109円台に値を落とすと、北朝鮮によるミサイル実験見込み報道で、ドル安円高の基調が強まり、109円台前半に。

 一服していた物価への懸念が再び強まったこともドル売りになった。今週最大の注目材料となった米消費者物価指数(7月)は、前月比、前年比ともに予想を下回る弱めの数字となった。

 指標結果を受けてドル円は108円台まで値を落とす展開に。安値からは買いが入ったものの、戻りは鈍く、ドル安円高基調は継続。

 その他通貨で目立ったのはNZドル。マクダーモットNZ中銀総裁補が、「NZドルは下向きの調整が必要」と発言。6月末に同国のジョイス財務相がNZドル高は強いNZの景気動向を表していると発言して以降の、市場のNZドル高容認ムードが後退した。

今週の見通し

 ドル安の流れを意識。

 米朝関係の緊張が続く中、ドル買いが入りにくい面がある。 

 同問題に関しては、短期間での大きな改善が見込みにくいだけに、じりじりと頭を押さえてくる可能性。

 サマーバケーションシーズンで市場の取引が少なく、突っ込んだ売りにも慎重な姿勢が予想されるものの、リスクは下方向か。

 108円を割り込むと、次の大きなターゲットである105円が見えてくる。ただ、一気の売りに対する警戒感もあり、108円手前でいったん下値トライを止められる可能性はそれなりに高い。109円近辺を中心にした安値圏でのレンジ取引の中、下方向への動きを模索する展開に。

 取引量が本格的に回復する8月下旬に予定されている今月最大のイベント、ジャクソンホールシンポジウム(用語説明2)までは、こうした流れが継続か。

 注目は米小売売上高と7月の米FOMC議事録。特に議事録は物価判断を下方修正させてきた流れを議事録できちんと確認しておきたいところ。

 その他注目は高値からの調整が小さいものに終わり、対ドルで1.18台を回復してきたユーロドル。前回の高値1.19台前半を再びトライするようだと、いったん調整が入った分、止めきれない可能性が高い。節目の1.20を意識。

用語の解説

中距離弾道ミサイル IRBM(intermediate-range ballistic missile)、大気圏の内外を弾道軌道を描いて飛ぶ弾道ミサイル(ballistic missile) のうち、戦域内で使用される短距離弾よりは射程が長く、米ソ冷戦時代に双方を射程圏とした大陸弾道弾(ICBM)よりは射程が短いものを指す。3000キロから5500キロ程度が射程圏となっている。北朝鮮は火星12号と呼ばれる中距離弾道ミサイルをグアムの近くをターゲットに発射する計画を発表した。
ジャクソンホールシンポジウム カンザスシティ連銀が主催で毎年8月下旬にワイオミング州ジャクソンホールで行われる経済フォーラム。各国の中央銀行総裁などが多数招かれている。今年は8月24日から26日までの開催。イエレンFRB議長やドラギECB総裁などが参加を表明している。具体的なシンポジウムのプログラムについては、開催開始日の24日現地時間午後6時に発表される。

今週の注目指標

英消費者物価指数(CPI)(7月) 
8月15日 17:30
☆☆
 今月の英中銀金融政策会合(MPC)において、利上げ派が一人減り、6対2での据え置きを決めたことで、早期の利上げ期待がやや後退している英国。今後の利上げについて、大きなカギを握る消費者物価指数が15日に発表される。前々回前年比2.9%まで上昇し、英中銀の許容上限である3.0%に迫ったことで利上げ期待が高まる場面が見られたが、前回は予想の2.9%に対して、2.6%と一気に鈍化し、利上げ期待が大きく後退した経緯がある。今回は2.7%と再びの上昇傾向。予想を超えて5月並みまで上昇してくるとポンド買いに。ポンド円は143円台半ばが目先のターゲット。
米小売売上高(7月) 
8月15日 21:30
☆☆☆
 米国のGDPの約7割を占める個人消費の動向を表すことで注目される同指標。前回は見込みに反して前月比がマイナスとなり、ドル売りを誘った。今回は、その反動もあって全体が+0.5%、自動車を除くコアが+0.4%と、ともにプラス圏回復が期待されている。新車販売台数が7か月連続で前年比マイナスを記録するなど、厳しい状況が続いているが、今月の米雇用統計が好結果となるなど、個人消費拡大の大きな理由となる雇用市場の堅調さが印象的なだけに、予想程度の力強い数字は十分に期待できる。ドル円が110円台を回復するきっかけになる可能性。
米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録
8月17日 03:00 
☆☆☆
 7月25日、26日開催の米FOMCの議事録が公表される。7月のFOMCでは事前見通し通り金融政策の現状維持が決定された。声明では物価の現状認識について、6月のFOMC時点での「2%を幾分下回る」という表現が、「2%を下回って推移」に変更され、幾分(somewhat)という文字が削除された。この下方修正を受けて、市場は年内の利上げは難しいのではとの思惑を強め、ドル売りにつながった。こうした文言の削除に至るFRB内の物価状況の判断や見通しについて、議事録で確認したいところ。当面の利上げが難しいとの思惑が強まるとドル売りに。108円を割り込む可能性も。

auじぶん銀行外貨預金口座をお持ちのお客さま

ログイン後、外貨預金メニューからお取引いただけます

免責事項

本レポートは株式会社時事通信社が提供しています。また本レポートの内容は、株式会社時事通信社が提供する情報をもとに、株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイドが執筆しています。本レポートは、情報提供のみを目的にしたもので、売買の勧誘を目的としたものではありません。投資決定に当たっては、投資家ご自身のご判断でなされますようお願いいたします。株式会社時事通信社、株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイドおよび情報提供元は、本レポートに記載されているいずれの情報についても、その信頼性、正確性または完全性について保証するものではありません。また本レポートに基づいて被った損害・損失についても何ら責任を負いません。本レポートに掲載されている情報の著作権は、株式会社時事通信社および株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイドに帰属します。本レポートに掲載されている情報を株式会社時事通信社の許諾なしに転用、複製、複写等することはできません。

Copyright(C) JIJI Press Ltd. All rights reserved.

auじぶん銀行からのご注意

  • 本画面に掲載されている情報は、auじぶん銀行の見解を代弁したものではなく、auじぶん銀行がその正確性、完全性を保証するものではありません。

以上の点をご了承のうえ、ご利用ください。