2017年08月28日号

(2017年08月21日~2017年08月25日)

先週の為替相場

ジャクソンホールをにらむ展開

 21日からの市場、ドル円は109円台を中心に、一方向の動きにはならず、振幅が目立つ展開となった。

 24日木曜日から(24日は晩餐会のみで実質は25日から)開催されたカンザスシティ連銀主催の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)を前に、行き過ぎた動きへの警戒感が入る展開に。

 週初はドル安円高がやや優勢。21日から始まった米韓合同軍事演習(ウルチ・フリーダム・ガーディアン)を受けて、北朝鮮リスクが高まるとの警戒感が、ドル円の頭を抑える格好となり、109円割れをトライする展開となった。

 もっとも、突っ込んだ動きへの警戒感から108円台では買い戻しが入る展開に。

 109円台前半でもみ合った後、22日の海外市場では一転してドル買いが優勢に。トランプ政権が進める税制改革に関して、個人と企業の税負担軽減の財源について、政権側と共和党議員が共通見解に達するとの報道が流れ、ドル円が109円台後半まで押し上げられる展開が見られた。

 しかし、同日(日本時間では23日の12時前後)に行われた米国アリゾナ州フェニックスでのトランプ大統領と支持者との集会において、国境の壁建設に関する予算動向次第では政府機関の閉鎖(用語説明1)も、などの発言が見られ、一気にドル売りに。再び108円台を付ける動きとなった。

 108円台では週初同様に買いが入り、ジャクソンホール会議でのイエレン議長講演への期待感もあり、109円台後半へ上昇。講演直前には、議長が講演でかなり前向きな姿勢を示すという噂が流れたとの話もあり、週の高値を更新して109円80銭台を付ける動きに。

 講演ではテーマ通り金融の安定性についての話に終始し、政策金利・バランスシートの正常化についての言及は見送られた。市場は失望感からドル売りが強まり109円台前半へ。

 ジャクソンホール会議でのもう一つの注目、ドラギ総裁の講演では、市場が期待したユーロ高への牽制が見られず、こちらはユーロ高に。ユーロドルは欧州で続いたテロの影響もあって1.18を割り込んでジャクソンホール会議を迎え、イエレン議長講演でのドル安で1.18台後半へ。さらにドラギ総裁講演で直近頭を抑えていた1.19近辺の売りをこなして1.19台にしっかりと乗せる動きとなった。

今週の見通し

 週末の雇用統計への期待感から、下値では買い意欲も、米政治リスクから下値トライの可能性が残る展開に。

 秋の米国の予算編成時期を前に、予算関連への注目度が強まってきている。トランプ大統領は公約などで企業や一部個人層への減税を主張しており、先週はそうした減税の財源についてホワイトハウスと共和党議員で共通見解との報道で、ドルが買われる場面も見られた。

 トランプ大統領は今週から税制改革の支持を訴える遊説を各州で行うとの報道があり、まず30日にミズーリ州で演説を行うと、コーン米国家経済会議(NEC)議長(用語説明2)が表明している。

 米議会の休暇が明ける9月初旬から税制改革と債務上限引き上げについての議会との調整が始まるが、債務上限引き上げについて共和党議会は反対姿勢を示しており、当面は不透明感が広がりそう。トランプ氏の遊説で議会との溝が強調されるようだと、ドル売りが強まる可能性も。

 新年度予算については、9月中に少なくとも暫定予算での合意が得られなければ、政府閉鎖の問題が生じる。債務上限引き上げについても、少なくとも10月の半ば頃までには可決されないと、国債のデフォルト危機が生じるだけに、今後の状況次第では大きなドル売り材料に。

 ドル円は108円台半ばを割り込むと、一気に売りが進む可能性。政治リスクから頭が重くなり、同水準を割り込むと要注意。中期的なターゲットは106円。

 ユーロドルは1.20をしっかり超えることが出来るのかが焦点に。重くなっていた1.19を超えてきたことで、上値期待が強まっており、超えてくる可能性は十分にありそう。ターゲットは1.2250。

用語の解説

政府機関閉鎖 米政府は不足金請求禁止条項の下、予算が不足した場合に緊急性の高いものを除いて業務を停止しなければならないと定められている。米国の会計年度は10月から9月までとなっており、現在の予算は2017年9月30日が期限となっている。そのため、同日までに少なくとも暫定予算での合意がなければ政府機関が閉鎖される。トランプ大統領は国境の壁建設に絡んだ予算を含む予算案を求めているが、米国では予算は議会の策定事項のため、大統領の意に沿わない予算案が議会を通る可能性がある。ただし、その場合大統領は拒否権を発動し、議会に差し戻すことが出来る。差し戻された場合に再び予算を通すためには、上下両院でともに三分の二の賛成が必要となり、叶わなかった場合、新規予算を編成する必要がある。こうしたプロセスを繰り返すと期日が過ぎて政府機関が閉鎖される可能性が強まる。
国家経済会議(NEC) 英名はNational Economic Council。1993年に当時のクリントン政権が設立。大統領、副大統領、国務長官、財務長官をはじめ政権の閣僚級スタッフが会議のメンバーとなり、政権の経済政策立案を支えている。初代議長のルービンはその後財務長官に、逆に2009年には元財務長官のサマーズが議長になるなど、財務関連の重要なメンバーが議長となっている。現議長のコーンは、ゴールドマンサックスの元社長兼共同COO。

今週の注目指標

トランプ大統領ミズーリ州で遊説
8月30日
☆☆
 9月末の予算年度末を控え、トランプ大統領は税制改革の必要性を訴えるための遊説を30日のミズーリ州からスタートする見込み。税制改革での企業や個人の税負担軽減のための財源について議会側と合意との報道も流れているが、オバマケア関連、国境の壁関連など、議会と意見が対立する材料も多く、予算審議は難航する見込み。大統領が遊説で議会との対立姿勢を強めてくるようだと、政治リスク拡大の思惑からドル売りとなりそう。ターゲットは108円台半ば割れ。なお、ハリケーン被害の現地視察などが急遽予定されており、財政改革関連での遊説日程は変更される可能性が高い。
米PCEデフレータ(7月)
8月31日 21:30
☆☆☆
 米国はインフレターゲットの対象として日本や欧州をはじめほとんどの国が採用する消費者物価指数(CPI)ではなく、PCEデフレータを採用している。CPIに比べてカバーしている対象が広い、データがCPIで用いられる消費者調査ではなく企業データからなっており、数字の信頼性が高い、低価格代替品へのシフトなどの消費者行動のシフトを調整する式が採用されているなどの違いがあり、CPI以上に包括的であるとみなされている。その分、調査が煩雑で発表まで時間がかかるため、傾向が似通っている上に発表が早いCPIに注目が集まる傾向がある。ただ、あくまで米政府のインフレターゲット対象はこちら。予想は前年比+1.4%と6月分と同水準。同コアの前年比の予想も+1.4%で、こちらは6月分の+1.5%から0.1ポイントの低下見込み。いずれもターゲットの2.0%を大きく下回っており、予想をさらに下回るようなことがあると、年内の利上げ期待が大きく後退する可能性。ドル円は108円台半ばを割り込む可能性。
米雇用統計(8月)
9月1日 21:30
☆☆☆
 ジャクソンホール会議でのイエレン議長講演ではバランスシートの正常化についての言及はなかったが、9月のFOMCで正常化が決定される可能性は十分にある。そのカギを握る材料の一つが雇用情勢であり、1日に発表される8月の雇用統計への注目度が高まっている。
 非農業部門雇用者数(NFP)の予想は+18.0万人。前回、前々回ともに20万の大台を超えていることから、若干の鈍化ではあるが高水準を維持の見込み。失業率は前回と同じ4.3%の見込み。予想前後の数字が出てくると、雇用市場の堅調さが意識され、9月のバランスシートの正常化決定に追い風。ドル買い材料となりそう。インフレへの影響からも注目度が高い平均時給は前月比が+0.2%と前回から0.1ポイントの鈍化も、前年比が+2.6%と前回から0.1ポイントの上昇が期待されている。非農業部門雇用者数の数字などと合わせ、平均時給も強めに出ると、ドル買いに拍車がかかりそう。110円の大台回復に向けたきっかけとなる可能性も。

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