2017年12月25日号

(2017年12月18日~2017年12月22日)

先週の為替相場

ユーロ高が優勢な展開

 18日からのドル円相場は、円安の流れが強まり、ドル円は112円台前半から113円60銭台まで一時上値を試す展開となった。

 クリスマスを前に、米債券市場でこれまで見られた利回りのフラットニング(用語説明1)に対する調整の動きが強まり、米10年債を中心に長期金利が上昇する中でドル高円安の動きとなった。

 もっとも、対円を除くとドルはさえない動き。特にユーロドルでのユーロ買いドル売りが目立ち、ドル円も12日の高値を更新できないなど、頭を抑えられる格好となった。

 ユーロは対ドル、対円でかなりしっかりとした動きに。ユーロドルは1.17台半ばから1.19を付けるところまで、ユーロ円に至っては円安の流れもあって132円ちょうど近くから135円手前までの大きな動きを見せた。

 21日に行われたスペイン・カタルーニャ州の州議会選挙で、独立派が過半数を占めたことで、政治リスクへの警戒感が強まり、高値からは少し調整が入ったものの、1.18台前半までの調整にとどまっており、堅調地合いは維持している。

 ポンドはユーロ買いにつられて上昇する場面が見られたものの、政治リスクが頭を抑えた。メイ内閣のNo.2であるグリーン筆頭国務相が、下院事務所で使用していたPCから多数の性的画像が見つかった問題を受けて辞任。同大臣に関しては女性記者へのセクハラ疑惑も持ち上がっており、同疑惑を調査する中での発見となった。第二期メイ政権での閣僚の辞任は3人目。特に今回は盟友といわれた重要閣僚のスキャンダルで、今後のメイ首相の政権運営に対する懸念が広がった。

今週の見通し

 クリスマス明けはドル買い基調継続へ。

 25日はクリスマスで日本や中国など一部を除いて世界的に市場が休場。26日には米国市場が開くものの、欧州、オセアニア、アジアの多くなどの市場が休場となっており、本格的な取引の復活は週の半ば以降とみられる。

 クリスマス期間中は閑散で動意の薄い展開が予想される。その後はドル買い基調が継続か。

 22日に米税制改革法案が正式に成立。約30年ぶりの抜本的な税制改革であり、今後の設備投資の活発化などによる米景気拡大の加速などが期待されており、中期的にドル買い材料に。

 先週時点では、短期的にはすでに織り込み済みとなったことや、クリスマス期間で市場の反応がそもそも鈍かったことで、反応は一服となったが、クリスマス明け、ドルのサポート材料として意識される可能性も。

 ドル円は先々週、先週と上値進行を抑えた113円台後半をトライし、114円台を意識する展開を期待している。

 ユーロは堅調地合いが維持される見込み。カタルーニャ州の州議会選挙(用語説明2)の結果を受けても押し目がかなり限定的なものにとどまるなど、堅調地合いが印象的。

 ユーロ圏の経済状況の好調さと物価動向を受けて、来年後半以降の利上げへの期待感が強まっており、ユーロを支える展開となりそう。

 1.20の大台前には売り注文が残っていると見られるが、下がったところでは買いが出る流れか。

 オセアニア通貨は基本しっかりの期待も、クリスマス明けの国際商品市場動向などを警戒したいところ。豪ドル円は基本的に上昇基調が継続で88円超えを意識も、ある程度調整を交えた形となるか。

用語の解説

フラットニング 国債の利回りは将来的な不確実性などを加味して、一般的には長期になるほど高くなる。そのため、残存期間ごとの利回りを示したイールドカーブは、短期ほど低く、長期ほど高い、右肩上がりの曲線(カーブ)を描く。長短の金利差が縮小して、このカーブが平たん(フラット)に近づくことを、フラット化もしくはフラットニングと呼ぶ。将来的な金利の先安観が強まる局面で起きることが多い。
カタルーニャ州の州議会選挙 10月1日に行われたカタルーニャ州での住民投票で、スペインからの同州の独立を求める票が圧倒的多数を占めたことを受けて、州議会は10月27日に独立を宣言。スペイン政府は違憲として宣言を認めず、州議会を解散させ、直接の統治を開始。改めて12月21日にカタルーニャ州の州議会選挙を実施した。同選挙で独立派3党は計70議席と、全135議席中過半数を獲得。もっとも、独立に反対する市民党が37議席を獲得して第一党となるなど、住民の意見も分かれている。なお、中央政府のラホイ首相が率いる国政与党の人民党はわずか3議席と、それまでの11議席から議席を減らす敗北を喫している。

今週の注目指標

クリスマスによる休場
12月25日、26日
☆☆☆
 25日はクリスマスのため、世界のほとんどの市場が休場となる。日本、中国、中東など開いている市場はごく一部となる。特に日本と中国の市場がクローズした後は世界的にほとんど取引の無い時間帯となる。翌26日には米国市場が開くものの、オセアニア、欧州、カナダなどの市場は休場が続く。
 こうした期間は取引を手控える動きが目立ち、主要通貨は基本的に膠着すると予想される。ただし、まれなケースとして大口の売り買いが入ると、動きを支える指値注文などがほとんどないこともあり、荒っぽい動きを見せるケースがある点には要注意。
日本消費者物価指数(11月)
12月26日 08:30
☆☆
 今月の日銀金融政策決定会合で現状のYCCを堅持する姿勢を強調した黒田日銀総裁。片岡委員がより積極的な緩和を求めて3会合連続で反対に回るなど、物価鈍化を警戒する向きが一部でみられる中、ターゲットである消費者物価指数の動向が注目される。予想は前年比+0.5%と、生鮮品などの上昇もあって前回の+0.2%から上昇も、生鮮食料品及びエネルギーを除くコアは前年比+0.8%と10月分と同水準にとどまっている。予想前後の結果が出ると、影響は限定的も、予想よりも低めの水準となった場合、追加緩和期待が強まる形で円売りとなりそう。ドル円が114円台に乗せるきっかけとなる可能性も。
米卸売在庫(11月)
12月28日 22:30
 米国の四半期GDPにも大きな影響を与える卸売在庫(11月)の速報値が12月28日発表される。前回は-0.5%と弱めの数字となり、GDPの構成項目である在庫投資が、米第4四半期GDPを押し上げる材料にはならないという見通しが強まった。もっとも、売り上げが伸びる中での在庫減は、景気拡大期によくみられる状況だけに、今回の数字での好結果が期待されている。今のところこの予想は前回の反動もあって+0.3%と比較的好結果が期待されている。この指標だけでドルを押し上げるのは難しいが、112円台か半ばから113円にかけてのサポート材料となりそう。

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