2018年01月09日号

(2018年01月01日~2018年01月05日)

先週の為替相場

世界的な株高が円安誘う

 年明けのドル円相場は世界的な株高がリスク選好の円売りを誘う形で、ドル高円安の動きが強まった。

 年末にかけてはドル安の動きがやや優勢に。目立った材料が出たというよりは、ポジション調整の動きが主体とみられ、ドルはほぼ全面安に。税制改革法案が先月成立し、ドル買い材料が一巡したことで利益確定の動きが強まった。

 年始も最初はドル売りの動きが目立ち、ドル円は112円ちょうど近辺を付ける動きに。もっとも、大台を何とか維持すると、短期筋の利益確定の動きを誘い、少し買い戻され、その後は株高の動きが支えとなって一転してドル買い円売りに。

 米ダウ平均株価、英FT指数などが史上最高値を更新。4日から始まった東京株式市場も、日経平均が4日に700円超、5日も200円超と、連日の大幅高を記録。世界的にリスク選好の動きが強まる展開となった。

 先月半ばから強まった原油高の動きが年明けも継続し、カナダや豪ドルを中心に資源国通貨買いの動きも。ドルカナダは19日の高値から550ポイント以上のドル安カナダ高となるなど、大きな動きを見せている。世界的な原油の需給ひっ迫感が強く、在庫減が目立っていることが原油高を誘っている。NY原油は4日に2015年5月以来の高値を付ける展開に。

 欧州通貨も基本的にしっかり。ユーロドルは1.20台後半をトライする動き。ドル円を除いてドル安傾向がやや優勢となっており、ユーロドルを支える格好に。難航しているドイツの連立交渉(用語説明1)に関して、メルケル首相らが楽観的な見通しを示したことなども、ユーロを支える格好に。

 5日の米雇用統計は、非農業部門雇用者数(NFP)が事前予想を大きく下回るなど弱めの結果となり、ドル売りを誘った。しかし、ドル円、ユーロドルともに指標発表直後のドル売りが一服すると、指標発表前の水準にいったん戻すなど、影響は限定的に。

今週の見通し

 レンジ取引が中心の展開に。

 年明けから世界的な株高傾向が続く中で、ドル円は比較的しっかりの動きが期待される。5日の米雇用統計がかなり弱めに出たものの、影響が限定的なものにとどまるなど、下がったところでのドル買い円売り意欲が健在。

 もっとも、上値でのドル買いにも慎重姿勢。先月までの税制改革期待からのドル買いが収まり、株高以外でのドル買い材料に乏しい。米債利回りの上昇も続いておらず、上昇の勢いに欠ける展開。

 112円台半ばから113円台半ばにかけてのレンジ取引が中心となりそう。

 12日の米消費者物価指数(CPI)(用語説明2)の結果次第では上値期待。市場の今年中の利上げ見通しは2回が大勢となっている。だが、物価情勢次第ではFOMCメンバーの見通しの中央値である3回に押し上げられる可能性があり、ドル買いにつながりそう。結果次第では114円をトライする流れとなる可能性も。

 CPIの結果前に買い上げるのは難しいが、下がったところでは買いが出る流れか。112円台前半では買いが入りそう。

 豪ドルやカナダドルなど資源国通貨は堅調地合いが継続しそう。先週末に調整が入ったNY原油先物だが、流れはまだ上方向。国際商品市場が資源国通貨をしっかりと支える展開が続きそう。豪ドル円は5日につけた89円台を再びトライする可能性も。

用語の解説

ドイツの連立交渉 昨年秋の総選挙で、メルケル首相率いるCDU/CSUは、第一党を確保したものの、過半数には届かず、安定政権樹立のための連立交渉に入った。総選挙前まで連立を組んでいた第2党SPDは、選挙前から新政権での連立入りを拒否していたこともあり、当初はFDPと緑の党との連立を模索していた。しかし、中立右派のFDPと左派的な姿勢が強い緑の党との調整に難航し破談。その後SPDとの大連立を軸に連立交渉が行われているが、CDU/ CSUとの政策的な隔たりがそれなりに大きく、交渉が続いている。政治的な空白はすでに100日を越えたが、CSUのゼーホーファー党首はイースターごろまでにはと、さらなる長期化を見込んだ発言を行っている。
米消費者物価指数(CPI) 米労働省労働統計局が発表する消費者が購入する財・サービスの価格の動き(物価動向)を示した指数。日本やユーロ圏などではCPIのうち変動の激しい項目を除外したコアの数字が物価目標などの対象とされているが、米国の場合は、CPIではなく、商務省経済分析局が発表するPCE(個人消費支出)デフレータが対象とされいる。ただ、ともに消費者段階での物価統計であるため、変化の傾向は似通る。水準に関しては、低価格の新商品の販売や、期中の価格変動による消費行動の変化の織り込みに差があることもあり、PCEに比べてCPIの方が高く出る。もっとも集計がより簡素であるためCPIの方がPCEよりも早く発表されるため、市場ではCPIをより重視する傾向がある。

今週の注目指標

ダドリーNY連銀総裁 講演
1月12日 05:30
☆☆☆
 米国の金融政策の実務を担当し、FOMCでは副委員長を務める重職であるNY連銀総裁のダドリー氏が11日(日本時間12日)にNY市内で講演を行う。米国の経済見通しがテーマで、質疑応答の時間も設けられており、今年のFRBの金融政策動向を探るための材料となる内容が含まれる可能性が十分にあり、注目を集めている。従来はハト派的な姿勢が目立った同総裁であるが、段階的な利上げには前向きな姿勢を示しており、年3回の利上げ見通しをしっかりと示す可能性も。この場合はドル買い材料となりそうで、113円台半ばへ向けた動きも期待される。
米消費者物価指数(CPI)(12月)
1月12日 22:30
☆☆☆
 前回のCPIは全体の水準が前年比2.2%と前々回の2.0%から上昇も、食品とエネルギーを除いたコア部分は前年比+1.7%と10月及び事前見込み値である+1.8%から鈍化した。今回はガソリン価格が11月から全米全種平均で3%超も低下していることもあり、全体の数字は2.1%に鈍化も、コアは1.7%と横ばい見込み。もっとも、同水準ではCPIよりも低く出るPCE(11月は総合が+1.8%、コアが+1.5%)の上昇期待にはつながらず、今年の利上げ期待押上げは厳しそう。ドルの頭を抑える材料となり、112円ちょうどを試す可能性も。
米小売売上高(12月)
1月12日 22:30
☆☆☆
 米国の個人消費動向を示す米小売売上高が発表される。11月と12月は米国の個人消費が最も活発化する年末商戦の動向を示すだけに、いつも以上に注目される傾向がある。今回は全体の数字が前月比+0.5%と、11月分の+0.8%から伸びが鈍化する見込み。自動車を除くコアは同+0.3%と11月分の+1.0%から大きく鈍化の見込みとなっている。12月の新車販売台数は前年同月比でマイナスと鈍かったものの、不振であった11月よりは増加しており全体を支える見込み。もっとも、年末商戦が比較的前倒しで11月中に売り上げが伸びたとの見通しもあって、その他部門はさえない状況に。予想前後の数字は想定済みも、予想以上の鈍化が目立つとドル売りを誘う可能性。112円台前半の買いを崩して下を試すきっかけとなる可能性も。

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