2018年01月22日号

(2018年01月15日~2018年01月19日)

先週の為替相場

振幅も、ドル安円高優勢

 15日からのドル円相場は、ドル全面安基調に対する調整が入る場面も見られたが、戻りは限定的で、週末にかけて再びドル売りと、頭の重い展開が続いた。

 週明けはドル安円高が優勢に。前々週までの流れが継続する展開に。

 出口戦略への期待が強まっているユーロドルが、直近の高値を超えて上昇し、ストップを巻き込んでユーロ高ドル安が加速したことが、ドル全面安の流れを誘った。

 日経平均がザラ場でのバブル後の最高値を更新する動きを見せたが、株高によるリスク選好での円売りは限定的で、ドル円は一時110円台前半まで。

 その後、ユーロドルの上昇に調整が入り、ドル全面安の流れが一服。コンスタンシオECB副総裁がユーロ高に対する懸念を示したことなどが、調整のきっかけとなった。ドイツの連立協議において、SPDのベルリン支部が党大会を前に連立協議に反対を表明との報道も、ユーロ売りを誘った。

 ドル円はドルの買い戻しに111円台半ばまで値を戻す場面が見られたが、週末には再び110円台に。

 12月に成立した米暫定予算の期限が19日に迫る中、新たな暫定予算案の合意に難航し、米連邦政府機関の3年超ぶりの閉鎖が現実味を帯びたことがドルの重石となった。

 18日(日本時間19日)には米下院で暫定予算案が可決し、上院に送られたものの、上院では19日までに賛成必要数が確保できず、可決出来なかった。

 上院での採決を前に110円台半ばまで値を落としたドル円は、引け前に少し値を戻し110円80銭近辺で週の取引を終えている。

今週の見通し

 米暫定予算案の協議を睨む展開に。

 2013年10月以来の連邦政府機関の一部閉鎖となった米国。当初期待されていた日本時間22日午後3時までの再採決に成功すると、20日、21日は、殆どの政府機関が土日で元々休みであったこともあり、影響は最低限に抑えることが出来た。しかし、移民問題に関する共和党と民主党の対立が激しく、再採決は日本時間23日午前2時に延期。週明けの米国時間22日月曜日の午前中の政府機関閉鎖は確定的となった。

 DACA(用語説明1)の存続を暫定予算合意の条件としたい民主党と、移民問題と予算問題を分けたい共和党の姿勢の違いが鮮明になっており、どちらも譲歩姿勢が見られない。

 今年は中間選挙(用語説明2)が予定されており、党勢の確保に向けて両党とも中途半端な妥協を見せにくい面があり、政府機関閉鎖が長期化する可能性も。この場合、ドル売りが強まる可能性がある。

 ドル円の下値を支える110円の大台を割り込む可能性も。

 もっとも、その他材料はドルの買い戻しに向いている面も。22日、23日の日銀金融政策決定会合では、現状の長短金利操作付量的質的緩和の維持と、今後の緩和姿勢継続が示される見込み。今月の買いオペ減額などを受けて、海外勢の一部で緩和姿勢の後退が期待されており、事前見込み通り従来姿勢維持でドル買い円売りが入る可能性も。ドル円は111円台半ば超えを試す期待も。

 25日のECB理事会も現状政策の維持が見込まれている。前回の理事会の議事録を受けて、出口戦略に向けたコンセンサスの変更が一部で期待されているが、コンセンサスの変更があるとしても3月という見方が一般的で、今週の理事会での動きは時期尚早か。声明などに目立った変化がない場合、一旦ユーロ売りドル買いに。ユーロドルは1.21台前半へ値を落とす可能性も。

用語の解説

DACA Deferred Action for Childhood Arrivalsの略。幼少期に親に連れられて米国へ到着した不法移民について、2年間は強制送還の対象としないという措置。オバマ政権下の2012年6月に同制度が出来た。2年間が過ぎて更新することも可能。同制度を利用している若者をドリーマーと呼び、同制度の下で就労や通学が可能になっていた。
中間選挙 米国では2年毎に下院の全て、上院の三分の一の議員が改選となる。この内、4年に一度の大統領選と被らない回のこと。大統領の任期4年のうちの半分に当たる2年が経過する時点での選挙ということで、中間選挙と呼ばれる。大統領選と同じく11月の第1月曜日が属する週の火曜日に実施される。同時に任期が満了する知事や、欠員を生じている非改選の上院議席についても、同時に選挙が行われる。

今週の注目指標

米暫定予算決議
1月23日 02:00
☆☆☆
 12月に合意した暫定予算については、19日に期限切れとなった。2018年度本予算の成立は、調整項目が多くまだ難しい為、2月まで3週間もしくは4週間程度の暫定予算について協議が行われている。18日に下院が合意した暫定予算案については上院で可決できなかったため、新たな予算案について協議中。早ければ日本時間23日午前2時に上院での採決が行われる。下院案との違いがある場合、下院に再度送られ、上院合意案について採決を行うこととなる。移民問題を暫定予算通過の条件としたい民主党と、予算と移民問題を分けたい共和党の溝は大きく、合意まで長期間掛かる可能性もあるが、政府機関の閉鎖が長期化した場合、民主党側も強く批判される可能性が高く、早期の合意に向かう可能性も。現地時間22日中の合意に成功すると、リスク要因後退でドル買いが入りそう。ドル円は111円台回復へ。
日銀金融政策決定会合
1月22日・23日 
☆☆☆
 日銀金融政策決定会合が22日、23日に行われる。現行の長短金利操作付き量的質的緩和の維持が確定的。今月に入って買いオペでの超長期債の買い入れ額が減少したことで、出口戦略への動きが一部で期待されているが、可能性は低いとみられる。また、今回の会合では経済・物価情勢の展望(日銀展望レポート)が公表される回にあたっている。レポートでは経済成長見通しの引き上げが期待されており、内容次第では出口戦略期待を押し上げる可能性も。この場合はドル安円高となりそう。もっとも、物価見通しについては慎重な姿勢が維持されると見られ、出口戦略への流れは期待薄。事前見通し通り慎重姿勢維持で円売りとなりそう。この場合は111円台半ば超えを意識するドル買い円売りも。
ECB理事会
1月25日 21:45
☆☆☆
 昨年10月の理事会で、量的緩和については減額の上で今年1月から9月までの延長が決められており、波乱要素は少ない。政策金利も現状維持の見込み。注目は声明や会見での市場とのコンセンサス。前回12月理事会の議事録でコンセンサスの早期変更が示唆され、市場の出口戦略への期待感を誘った。もっとも、コンセンサスの変更があるとしても3月以降という見方が一般的で、今回は特に変更がない可能性が高い。期待感の分、変更なしでユーロ売りも。ユーロドルは1.21台半ばがターゲット。

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