2018年04月02日号

(2018年03月26日~2018年03月30日)

先週の為替相場

ドルの買い戻し優勢に

 26日からのドル円相場は、リスク警戒感の後退などを背景に、ドルの買い戻しが優勢となった。米中の通商問題に関して、ムニューシン財務長官が26日に通商問題に関して「中国と生産的な協議を行った」と発言。米中両国が貿易戦争の回避に向けて協議している状況が報じられ、リスク警戒の動きがやや後退した。

 一方、米株式市場は不安定な展開が続いた。ダウ平均株価などは買い戻しがやや目立つ展開となったが、ハイテク関連株に売りが続いた。データ流出問題を受けたフェイスブック、提携するウーバーの自動運転中の死亡事故が懸念されたエヌビディアなど、その前から懸念されていた銘柄に加え、反トラスト法(独占禁止法に相当・用語説明1)の適用をトランプ政権が検討と報じられたアマゾンなどが大きく売り込まれ、全体の重石となった。

 前週に米中の通商問題への懸念から104円台まで値を落として迎えた週明け。落ち着いた展開から、NY市場に入ってダウ平均を中心とした米株の買い戻しにリスク警戒の動きが後退し、ドル高円安が進行。年度末を前にした実需がらみのドル買い需要が対欧州通貨を中心に入り、ドル全面安ムードが後退した。

 しかし、フェイスブックのデータ流出問題に端を発したIT規制強化懸念が、ハイテク株の重石となり、米株安がリスク警戒のドル安円高を誘うなど、一本調子の上昇にはならず。

 もっとも105円台前半がしっかりしてきたことや、米中通商問題に関する新規材料に欠け、懸念が後退してきたことなどを背景に、ドル円は買い戻しが優勢に。年度末を前にしたドル買い需要も支えとなり、ドル円は一時107円台を回復するところまで買い戻された。

 高値を付けた後はイースター休暇を前にした調整が主体となり、106円台での推移が続いた。

 その他通貨では南ア中銀が事前見通しのとおり0.25%の利下げを実施。声明では利下げサイクルに入ったわけではなく、今後はあくまでデータ次第など、中立姿勢の強調が目立った。利下げ発表直後の反応はランド安も、動きは続かず、すぐに元の水準に。

今週の見通し

 週末の雇用統計などをにらむ展開に。

 新年度に入り、機関投資家などからの新規投資意欲が期待されるところ。もっとも、年度明けすぐに積極的に動くことは少なく、市場は次の材料探し。

 米中通商問題への懸念は根強いが、両国間で貿易戦争の回避に向けた交渉が続いているとみられ、目先の売り買いの材料という見方は弱まっている。要人からの発言を含めた新規材料待ち。

 経済指標では6日金曜日の米雇用統計に対する注目度が高い。前回は非農業部門雇用者数(NFP)が、予想を大きく超える前月比31.3万人を記録した。失業率は予想のように下がらなかったが、労働参加率(用語説明2)が0.3ポイントも上昇しており、全体としては強めの数字という印象を与えた。今回のNFPは、その反動もあって+18.7万の予想と、少し落ち着いた数字が見込まれている。もっとも3か月平均などでは十分に強めの数字という印象。

 関連指標も含めしっかりとした数字が出てくると、ドル円は上方向をトライする可能性が高そう。

 107円超えが最初のターゲットとなる。106円台でのレンジ取引から上値トライのタイミングを伺う展開か。

 107円をしっかり超えるとより大きなポイントである108円超えが見えてくる。

 クロス円は対円での買いと、対ドルでの売りに挟まれる形で、少しやりにくい面も。

 ユーロドルはレンジ取引が続くが、1.25手前の重さが確認された後だけに、下方向を意識。1.22を割り込むと、大きく値を崩す可能性も。

 

用語の解説

反トラスト法 米国における独占禁止法。単一の法律ではなく、自由競争を阻害する独占を禁止する複数の法律の総称。主に、シャーマン法、クレイトン法、連邦取引委員会法の3つの法律(および修正案)をもとに構成されている。同業複数社によるカルテル、株式の持ち合いなどにより企業を一体化させるトラスト、財閥やホールディングスなどによる企業グループなどによる市場の独占を禁止する法律。
労働参加率 生産年齢(米国の場合、一般的には16歳から65歳)人口のうち、労働力人口の割合を示したもの。労働力人口とは、就業者と完全失業者といわれる仕事はしていないが仕事につく意思があり、求職活動を行っている者の数。主婦・早期引退者をはじめ、積極的に仕事につく意思がなく、求職活動自体を行っていない場合は労働力人口から除外される。雇用市場の環境が良くなると、これまで仕事につくことをあきらめていた層が、仕事を探し始めるため、一時的に失業率が上昇することが多い。

今週の注目指標

ISM製造業景気指数(3月)
4月02日23:00 
☆☆☆
 前回のISM製造業景気指数は、予想を大きく上回り2004年5月以来の高水準となる60.8を記録した。このところ好調な新規受注や生産が、前々回から若干鈍化も60超えの高水準を維持したことに加え、雇用部門が59.7と1月から一気に5.5ポイントも上昇し、全体を押し上げた。
 今回は60.0と、前回から若干の鈍化も高水準が期待されている。好悪判断の境目である50を大きく上回る数字となっており、予想前後の数字が出てくると、市場の米経済への安心感が広がり、ドル買いの動きも。ドル円が107円台を目指すきっかけとなる可能性。
豪中銀政策金利
4月3日 13:30
☆☆
 豪中銀の政策金利が3日に発表される。現状の1.50%の維持が見込まれている。先月利上げした米国と短期金利の上でも金利差が逆転(長期金利はすでに逆転)。豪州は当面の金利据え置きが見込まれており、今後は金利差が広がると見込まれている。金利発表時の声明などで、今後の緩和姿勢維持が強調されるようだと、豪ドルの売りにつながる可能性も。豪ドル円は先月後半に下値を支えた80円台半ばが意識される展開に。
米雇用統計(3月)
4月6日 21:30
☆☆☆
 前回の雇用統計は、非農業部門雇用者数が予想を大きく超えて強く、発表後はドル買いが優勢となった。一方で、インフレとの関連で注目される平均時給は弱めとなっており、年内の利上げ期待は従来通り3回(3月に利上げを実施したため、あと2回)にとどまった。今回は前月比+0.3%(前回+0.1%)、前年比+2.7%(前回+2.6%)と、強めの数字が期待されている。予想通りもしくはそれ以上の数字が出てくると、今後のインフレ見通しの上昇につながり、ドル買いにつながる可能性も。ドル円は107円超えを期待する動きに。

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