2018年04月23日号

(2018年04月16日~2018年04月20日)

先週の為替相場

ドル高傾向強まる

 16日からのドル円相場は、週の前半は注目の日米首脳会談をにらんだ動きに。リスク材料が後退した週の後半はドル全面高を意識した動きとなった。

 週明けは、イベントを前にしたポジション調整意欲もあり、ドル円は一時107円割れを付ける動きとなった。

 もっともすぐに107円台を回復すると、その後はいったんもみ合いに。

 注目された日米首脳会談では、自由で公正な貿易を目指す新たな協議を発足するなど、日米の協力体制が印象付けられる無難な結果に。通商問題の対立から円安けん制の可能性まで懸念していた市場は、円売りで反応した。

 同会談で近日中の米朝首脳会談に向けた動きが示され、南北首脳会談(用語説明1)と合わせて北朝鮮リスクの後退が示されたことで、シリア情勢一服と合わせて、有事リスクへの警戒感を後退させ、円売りを誘った面も。

 週の後半はドル全面高の流れもあり、ドル円はしっかり。108円手前の売りが意識されて、高値での買いには慎重も、107円台後半を付けて週の取引を終えるなど、堅調地合いが目立った。

 ドルインデックスが今月6日の米雇用統計での弱めの結果を受けてドル売りが出る前の水準まで上昇するなど、ドル高が週末にかけて目立つ展開となった。

 その背景には、欧州通貨の対ドルでの売りが見られた。

 ユーロドルは週前半に1.24台を付けたものの、高値圏での売り意欲にポジション調整が強まる展開に。金曜日には1.23台半ばがすでに重くなっており、頭が重い展開に。

 ポンドは18日の英消費者物価指数(用語説明2)の弱さが利上げ期待の後退を誘い、ポンド売りが広がった。カーニー総裁が市場の期待する5月利上げ見通しに冷や水を浴びせる形で「当局は5月以外にも会合があることを認識している」と発言し、ポンド売りが加速した面も。

今週の見通し

 ドル高への期待強まる。

 リスク要因が後退する展開となり、米景気の力強さが再びクローズアップされている。

 先週発表された米小売売上高、米住宅着工件数はともに予想を上回る強さを示した。通商問題への警戒感はあるものの、減税効果などで企業業績が好調、株価上昇もあって、米景気への期待感が強まる展開に。

 今年の米FOMCでの追加利上げについては、金利市場での織り込みは、依然としてあと2回が最も多いものの、3回以上の見通しも46%台まで強まり、ほぼ互角という状況。こうした利上げ期待の拡大が、米長期債利回りの上昇につながる形でドル買いの流れが強まっている。

 ドル円に関しては本邦勢とみられる108円手前の売りが健在、実需の売り意欲もあり、高値でのドル買い円売りには慎重姿勢も見られる。ただ、ドル全面高の流れの中で、日本側の材料だけで勢いを止めることは難しく、上値を超える期待が強い。

 108円をしっかり超えると、ターゲットは109円台半ばへ。

 その他通貨ではポンドの売りがどこまで続くのかがポイントに。ほぼ織り込みが済んでいた5月の利上げについて、直近の英指標とカーニー総裁発言で一気に期待がしぼみ、50%以下にまでなった影響がまだ続きそう。

 ポンドドルは1.40をしっかり割り込んで1.39台前半を試す流れに。対円ではドル円などでの円安と相殺も、ポンド安の勢い次第で150円割れを警戒。

 

用語の解説

南北首脳会談 北朝鮮の金朝鮮労働党委員長と韓国の文大統領による首脳会談が27日に軍事境界線のある板門店で開催される。南北の首脳会談は、これまで2000年、2007年に行われており、今回が3回目。朝鮮半島の非核化、朝鮮戦争以来の休戦状態の終結による恒久的な平和の締結になどが主要テーマ。共同宣言の中に非核化に関する表現が盛り込まれるかどうかなどが焦点となっている。
英消費者物価指数 英国の消費者が実際に購入する段階での財・サービスの価格の変動を示した指数。英国は1992年10月と比較的早い段階からインフレターゲットを採用。当初は小売売上高のモーゲージ金利支払いを除いたコア指数(RPIX)が対象となっていたが、その後、この消費者物価指数(CPI)に変更された。現在は消費者物価指数の前年比+2.0%がターゲットとなっている。このターゲットから上下1%以上ずれた場合、英中銀は議会への書簡などでの説明責任を負うとしている。ただし、多くの国で見られるターゲット自体が+2.0%から上下1%のゾーンに収まる形(カナダなどがこの方式)となっているのではなく、あくまでターゲットは+2.0%である。

今週の注目指標

ECB理事会結果発表
4月26日20:45 
☆☆☆
 ECB理事会の結果発表が26日に行われる。現行の量的緩和政策(債券購入プログラム)を少なくとも9月まで継続すると明示されており、現状維持が確定的。注目は声明や総裁会見での姿勢。今月に入ってノボトニー・オーストリア中銀総裁がマイナス金利となっている中銀預金金利の引き上げ(-0.4%から-0.2%へ)の可能性を指摘するなど、今年後半に向けての動きが強まってきており、期待感が広がるところ。もっとも、ここにきてユーロ圏経済指標はやや弱め。ビルロワドガロー仏中銀総裁などは、保護主義の台頭などで成長見通しに下方リスクがあり金融政策に軌道修正を迫られる可能性に言及するなど、逆によりハト派な見通しが出ている状況だけに、声明なども現状維持見込みで、無風での通過が見込まれる。声明に予想外に前向き姿勢が見られた場合はユーロ買いの動きに。ユーロ円が133円台にしっかりと乗せる材料となりそう。
日銀金融政策決定会合結果発表
4月27日時刻未定
☆☆
 4月26日、27日に日銀金融政策決定会合が開催される。現状の長短金利操作付量的質的緩和の継続が確定的。注目は今回の会合から加わった2名の新副総裁による投票結果など。雨宮副総裁に関しては、企画担当理事として現状の長短金利操作付量的質的緩和の立案を行った立役者であり、反対する理由は何もないが、焦点はもう一人の若田部副総裁。これまでメディアなどで積極的な緩和を主張してきたリフレ派であり、片岡委員同様により積極的な緩和を求めてくる可能性がある。この場合、日銀の将来的な出口戦略への動きに対する期待感が後退し、円売りが強まる可能性。ドル円は108円台にしっかり乗せる材料となりそう。
米第一四半期GDP
4月27日21:30
☆☆☆
 17年第2四半期が+3.1%、第3四半期が+3.2%、第4四半期が+2.9%と直近3期連続で相当強い伸びを記録した米GDP。前期は+4.0%とかなり好調な個人消費が全体を支える結果となった。さすがに反動もあって、今回は+2.0%見込みと、成長鈍化が予想されている。個人消費が+1.2%まで鈍化する見込み。1月、2月の小売売上高が前月比マイナスとなるなど、個人消費の鈍化傾向が目立つこと、住宅関連の指標が鈍く、住宅投資の鈍化が懸念されること、1月の貿易収支が9年超ぶりの赤字を記録するなど、貿易赤字がGDPを押し下げることなどが懸念されている。もっとも、先週発表された3月の小売売上高は予想を超えて好調な数字に。GDPが思ったほど弱めに出てこなかった場合、ドル買いにつながる可能性も。ドル円は109円を目指す動きを強めると期待される。

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