2018年07月23日号

(2018年07月16日~2018年07月20日)

先週の為替相場

ドル円一時113円台も週末にかけてドル売りが強まる

 16日からのドル円相場は、週明けの月曜日が日本の休日(海の日)となったこともあり、比較的落ち着いた動きから、週の半ばにかけてドル高が加速する展開となり、一時約半年ぶりに113円台をつける動きが見られた。

 注目された17日・18日のパウエル米FRB議長による議会証言が、漸進的な利上げの継続を示す前向きなものとなり、ドル買いに安心感が広がった。このところの通商摩擦問題の深刻化を受けて、慎重な姿勢がみられるのではとの事前観測なども、証言後のドル買いに寄与した。

 もっとも、113円台からの買いには慎重な姿勢が見られた。高値警戒感が利益確定売りを誘った格好。

 18日に付けた113円台では中国商務省が米国に対して関税賦課はWTO(用語説明1)のルールに反すると強く批判したことなどをきっかけに112円70銭近辺まで調整。

 翌19日にも113円台を付けたが、利益確定の売りに少し売られたところに、トランプ大統領が「金利上昇は好ましくない」「利上げは米国を弱くする」などと発言し、一気にドル売りが進行。112円06銭を付けるなどの動きが見られた。

 その後ホワイトハウスがFRBの独立性を損なうつもりはなく、圧力はかけていないなどと火消しに回り、少し値を戻す格好に。

 しかし、20日に中国人民銀行が対ドル基準値を一気に元安方向に設定し、警戒感からの円高が進行。ドル円は112円台前半を付けた後、いったんは落ち着いたものの、海外市場で再び懸念が強まり、ドル安円高が優勢に。

 ホワイトハウス高官からトランプ大統領が「年内あと2回の利上げを懸念する」などの発言が出たこともドル売りに寄与し、結局111円40銭近辺まで大きくドル安が進行して週末を迎えている。

 その他通貨も不安定な動きを見せる局面があった。

 豪ドルは、6月の雇用者数が予想を大きく超える5万人超の増加を見せ、豪ドルが急騰する場面が見られた。わずか2400万人ほどの人口の同国での5万人超の雇用増はかなりのインパクト。内訳も正規雇用が中心の強いものであった。

 しかし上昇一服後は調整が強まり、発表前よりも下げるなど、豪ドル買いが続かず。

 ポンドは来月の英中銀金融政策会合(MPC)での利上げ期待が広がる中で注目された物価統計が弱め。インフレターゲットの対象である消費者物価指数前年比は予想の+2.6%に対して+2.4%と前回と同水準にとどまり、同コアの前年比は+1.9%と大台を割り込む結果となって、ポンド売りに。翌日の小売売上高の予想外の前月比マイナスなどもあり、ポンドドルは昨年9月以来の1.30割れを付けるなどの動きとなった。

 

  

今週の見通し

 基調はドル買い円売り。

 FRBの独立性にも関わるようなトランプ大統領による衝撃的な発言など、ドル高が一服する場面が見られたが、基調はまだドル買い円売り。

 FRBの利上げ期待が強まり、ドル買いの圧力が強まる一方で、ドイツの景況感悪化、英国の指標の弱さを受けての利上げ期待の後退などが続き、消去法的にもドル買いに。

 ある程度の調整が入りながらも世界的な株高の流れも継続で、円安の動きも見られ、ドル円はドル高円安両面から上値を試す展開に。

 2016年12月に118円台を付け、17年1月に115円を割り込んでから、何度も114円台までは上昇も、115円手前の売りに頭を押さえられており、114円-115円の水準がかなり大きな上値抵抗水準として意識されている。

 一気にそうした水準を超えるような勢いは感じさせないが、ターゲットして意識される同水準を試しに行く可能性は十分にありそう。

 リスクは政治情勢。

 先週土曜日からFOMC前のブラックアウト期間(用語説明2)に入ることもあり、FRB関係者発言は入ってこないが、市場の注目はトランプ大統領および政府関係者発言に移っており、トランプ発言への警戒感は強い。

 通商問題でのやや過激な発言にはある程度慣れてきた感もあるが、先週木曜日の金利に踏み込んだ発言のインパクトもあって、かなり注意が必要。

 もっとも、流れを大きく変えるものになるとは考えにくく、ドル高基調は継続しそう。

用語の解説

WTO 世界貿易機関(World Trade Organization)。スイスのジュネーブに本部を置く世界の貿易の促進を目的とした国際機関。トップはブラジル人であるロベルト・アゼベド事務局長。それまであったGATT(関税・貿易に関する一般協定)を発展解消する形で1995年に設立された。関税の低減や貿易数量制限の原則的な禁止などを基本原則とし、多角的自由貿易体制を安定的に進めるための機関となっている。加盟国・地域は164。加盟申請中の22か国及びオブザーバー参加のバチカンを除くと、国連加盟国もしくは日本が承認している国の中で非加盟国は14か国のみと、世界のほとんどの国が参加している。
ブラックアウト期間 市場の混乱を避けるため、中央銀行の政策決定会合に参加するメンバーに対して、会合前の一定期間金融政策に関する発言を禁じているもの。多くの国で採用されているが、特にその期間が長いのが米国で、FOMCが開催される前々週の土曜日からが同期間となる。次回FOMCは7月31日・8月2日に開催されるため、7月21日からとなる。日本銀行の場合は、会合開始日の2営業日前から、終了当日に行われる総裁会合が終了するまでが同期間となる(国会での発言を除く)。

今週の注目指標

ECB理事会 7月26日
20:45
☆☆
 年内での量的緩和終了を前回の理事会で示したECB。今回は大きな争点が少ないだけに、比較的落ち着いた市場の反応が見込まれる。注目は来年夏以降と示された利上げの時期についての示唆。来年10月に任期を迎えるドラギ総裁がその前に利上げに踏み切るのではとの思惑が広がる中で、夏ごろの利上げを示唆する姿勢がみられると、ユーロドルの買い戻しも。もっともフォワードガイダンスの変更で利上げをしっかりと示唆してくるのは来年以降ではとの思惑が広がっており、慎重な発言に終始する可能性が高い。利上げ示唆があった場合はユーロ買いで反応。ユーロドルは1.18をターゲットに大きく上昇する可能性も。
米第2四半期GDP
7月27日21:30
☆☆☆
 米景気の堅調さが印象的なものとなる中、米国の第2四半期GDPが27日に発表される。第1四半期にいまひとつ冴えなかった個人消費について、これまでの個人消費支出動向などからかなり強めに伸びるとの見方が広がっており、GDP自体も前期比年率+4.3%と第1四半期の+2.0%から一気に上昇の見込み。建設支出の強さなどから、民間設備投資なども伸びると期待されており、予想通りもしくはそれ以上の強いGDPが出てくる可能性は十分にありそう。この場合ドル買いに対する安心感が広がり、ドル円は114円を試しに行く可能性も。

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