2018年07月30日号

(2018年07月23日~2018年07月27日)

先週の為替相場

ドル円は110円台を付けるなど、ドル安円高圧力

 23日からのドル円相場は、110円台を何度も試すなど、頭の重い展開となった。

 19日のトランプ大統領による米連邦準備理事会(FRB)の利上げやドル高推移についての牽制を受けたドル売りの流れが継続した形。

 30日、31日の日銀金融政策決定会合でのETFの購入配分(用語説明1)を見直す見通しなどが、金融政策の柔軟化につながり、円金利の上昇を誘うのではとの思惑などが、円買いにつながった面も。

 ドル円は何度も110円台を試す動き。26日には110円60銭近辺まで値を落とす場面も見られた。もっとも、その後111円台を回復するなど、下がったところでは断続的に買い意欲が見られた。

 注目されたトランプ大統領とユンケル欧州委員会委員長(用語説明2)との米欧首脳会談は、事前の両者の姿勢が強気だったこともあり、あまり期待感が強まらない中で、自動車以外の工業製品の関税撤廃姿勢で合意、協議中の新たな関税付与見送りなど、一定の合意が見られ、ユーロ買いの動きが強まる場面が見られた。

 もっとも、その後26日のECB理事会において、ドラギ総裁が「早ければ来年7月の理事会での実施の可能性も」という市場の早期利上げ期待を牽制したこともあって、ユーロは一転して売りが強まる展開となっている。

 27日の米第2四半期GDP速報値は、成長率が予想に届かず、ドル売りを誘う結果となった。もっとも、水準的には4%を超えるかなり強めのもの。内訳も個人消費が予想を超えて拡大、輸出の拡大なども見られるしっかりしたものとなった。

 

  

今週の見通し

 イベント目白押し。

 今週は30日、31日に日銀金融政策決定会合、31日、1日に米連邦公開市場委員会(FOMC)、2日に英中銀金融政策会合など、主要国の金融政策発表に加え、1日に米ISM製造業、3日に米貿易収支、米雇用統計など、重要経済指標の発表も並んでおり、イベントが目白押しの週となっている。

 こうしたイベントの中で、市場はやや神経質な動きを見せるか。

 日銀会合に関しては、若干期待先行のところもあり、結果次第だが円売りが広がる可能性もありそう。

 また、米国の指標は基本的にしっかりしているとみられる。

 上下ともに値動きの可能性がありそうだが、事前の状況からは、ドル高円安方向への進行への期待感がやや高いという印象。

 ただ、積極的に買いを入れる局面ではなく、押し目買いの流れとみられる。

 また、イベント結果だけでなく、トランプ大統領発言などにも市場は神経質。

 積極的な取引に慎重な姿勢がみられることもあり、レンジ取引を基本に、上値トライのタイミングを計る展開となりそう。

 最大の注目である米雇用統計は、非農業部門雇用者数だけでなく、前回0.2ポイント悪化した失業率にも注目。今回は0.1%低下して再び3%台となる3.9%が見込まれている。米雇用市場の堅調さが確認されると、9月の米FOMCでの利上げ期待につながって、ドル高円安の動きが支えられるという期待も。

 111円ばさみのレンジ取引が中心も、113円トライの可能性を意識する展開が見込まれる。

 ユーロは戻りが鈍くなっており、クロス円での上昇は一息か。ポンドが木曜日のスーパーサーズデー(英中銀の金利及び議事録発表と、英中銀四半期インフレ報告が同時に発表され、総裁が会見を行う日)に当たっており、週の半ばまでは動きにくくなっていることも、欧州通貨の様子見ムードを誘いそう。

用語の解説

ETF購入配分 日本銀行は長く続く金融緩和の副作用を考慮し、金融政策の柔軟化を検討しているとの観測が広がっている。その中の一つが、年間6兆円規模で購入しているETF(上場投資信託)の購入配分を調整するというもの。特定銘柄への影響が大きくなりすぎることを避けるために、日経平均連動型ETFの購入比率を引き下げ、東証株価指数(TOPIX)連動型のETFの購入比率を増やすのではとの観測が流れている。
ユンケル欧州委員会委員長 ジャン=クロード・ユンケル(Jean-Claude Juncker)、EUの政策執行機関である欧州委員会の委員長。1989年から2013年までルクセンブルクの首相(2009年7月までは財務相兼任)を務め、その間2005年からユーログループ(ユーロ圏財務省会合)の議長を務めている。2014年から欧州委員会の委員長に就任。ルクセンブルク首相当時から、欧州内での政治力の強さで知られ、ミスターユーロとも呼ばれた。来年の任期をもって退任することを表明している。

今週の注目指標

日銀金融政策決定会合
7月31日
☆☆☆
 市場からの注目度が低かった日銀金融政策決定会合であるが、今回の会合はかなり注目を集めている。長期にわたって金融緩和を続けていることで、副作用などへの懸念が広がっており、その緩和を目指して、金融政策の柔軟化を行うのではとの期待が広がっている。ETFの購入配分の見直しに加え、購入額の柔軟化や長期金利目標の柔軟化などが可能性として報じられており、注目を集めている。内容にもよるが、柔軟化の印象が強い変更がみられると、円金利の上昇を誘う形で、ドル円にとっては大きな円買い材料。110円を割り込んで値を落とす可能性が意識される。
英中銀金融政策会合(MPC)
8月2日20:00
☆☆☆
 年に8回開催される英中銀金融政策会合(MPC)は、そのうちの4回で四半期インフレレポートが同時に発表され、カーニー総裁が終了後に会見を行う、スーパーサーズデーとなる。今回はその回にあたっており、利上げに踏み切るのではとの期待が広がっている。前回のMPCでそれまでに2外部委員に加え、ホールデン理事が利上げに投票し、6対3での現状維持となった。ホールデン理事はチーフエコノミストも務める重要なメンバーだけに、今回の会合で利上げ投票がさらに増える可能性は十分にある。ただ、直近の物価上昇が少し鈍いこと、ブレグジットの不透明感が強いことなどから、利上げ見通しは100%とはなっておらず、一部で据え置き期待も見られる。そのため、利上げを実施した場合、事前織り込みが不十分でポンド買いが強まる可能性は十分にある。ポンド円は148円がターゲットとなりそう。
米雇用統計(7月)
8月3日21:30
☆☆☆
 前回の米雇用統計は非農業部門雇用者数が予想を上回ったものの、失業率が予想外に上昇(悪化)し、ドル売りを誘った。もっとも、雇用市場の堅調さへの信頼を揺るがすようなものではなく、今回しっかりした数字を示してくると、9月以降の利上げ期待に結びついてドル買いを誘うと期待される。非農業部門雇用者数(NFP)の予想は+19.3万人と前回よりも鈍く20万の大台も割り込む見込みとなっているが、現状の労働市場動向からみて、水準的には十分に強い。失業率の改善見込みと合わせ、予想通りの数字が出てくると、ドル買いにつながる可能性が高そう。ドル円は112円に向けた動きが期待される。

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