2018年09月25日号

(2018年09月17日~2018年09月21日)

先週の為替相場

株高が円安誘う

 17日からの週のドル円相場は、世界的な株高がリスク選好の動きを誘い、円安及びドル円以外でのドル安が優勢な展開となった。

 日経平均が14日からの6連騰を記録し、約8か月ぶりの高値に。ダウ平均は21日の終値ベースで史上最高値を更新するなど、株高の動きが広がった。

 17日に米政府が通商301条(用語説明1)に基づいた制裁関税の第3弾として、2000億ドル相当の中国製品に対する関税を24日に発動と発表するなど、米中の通商摩擦問題が継続する中で、一部で警戒感も見られたが、すでに織り込み済みで新味に欠けるとして流れを変えるには至らず。

 米長期債利回りの上昇もドル高円安の流れを誘った。通商摩擦問題が米物価に上昇圧力を与えるとの思惑もあり、米長期金利が上昇。10年債利回りが節目の3%をしっかりと超える展開となり、金利差を意識したドル買い円売りに。

 新興国通貨売りが収まったことも、リスク選好の動きを誘った。トルコ政府が中期経済計画(用語説明2)を発表。経済成長見通しが比較的穏当なものとなり、強引な財政支出が避けられるとの思惑がトルコリラ買いを誘った。

 南アランドなどの他の新興国通貨もリラ買いの流れに押されて買い戻しが強まり、警戒感が後退し、円売りを誘う結果となった。

 不安定な動きを見せたのは英ポンド。

 英消費者物価指数(CPI)の好結果がポンド買いを誘う場面が見られたものの、ブレグジット交渉の難航が頭を抑える格好に。

 これまでEUのバルニエ首席交渉官が早期の合意に前向きな姿勢を示すなど、交渉合意に向けた期待感が広がっていたが、19日にメイ英首相がEU提案を拒否と報じられ、警戒感が広がる展開に。

 その後ドル円を除くドル全面安基調にポンドドルが1.33近くまで上昇する場面が見られたが、メイ首相が21日にも「交渉は袋小路、悪い合意ならばしないほうがまし」と発言し、一気にポンド売りが強まるなど、不安定な動きを見せた。

今週の見通し

 イベントにらみ、慎重な動きも、基調はドル高円安方向か。

 今週は25日に日米通商協議、26日に米連邦公開市場委員会(FOMC)、日米首脳会談など、重要なイベントが目白押しとなっている。

 米中の通商摩擦問題では、ある程度の織り込みが進んだことや、中国側からの対抗策が不十分との認識などから、ドル高円安の動きが見られるが、通商摩擦問題の対象が日本となった場合、リスク警戒の円高はある程度意識されるところ。

 もっとも、これまでの米中・米欧に比べて穏やかな協議となり、今後の合意に期待を持てるものとなった場合、ドル買い円売りの基調が継続しそう。

 FOMCに関しては0.25%の利上げはほぼ確定的。注目は声明内容とFOMC参加メンバーによる経済見通しとなる。

 声明内容では、現状についての見通しの引き上げや今後の利上げペースについての言及などが焦点となりそう。

 利上げトレンドが維持されることが前向きに示されるとドル買いが強まる可能性。ドル円は113円台にしっかりと乗せて、大きな節目である114円から115円にかけての水準を意識する展開となりそう。

用語の解説

通商301条 1974年通商法(Trade Act of 1974)によって制定された、貿易相手国による不当な輸出に対する補助金や不当廉売(ダンピング)などの不公正な貿易慣行に対して、大統領権限で強力な制裁措置をかけることを可能とした条項。
トルコ中期経済計画 トルコ政府が20日に発表した2021年までの経済計画。7月にエルドアン大統領の下で組閣された新政権で、財務相となった大統領の娘婿アルバイラク氏が発表。経済成長率について2018年を3.8%(従来は5.5%)、2019年を2.3%(従来は5.5%)とともに大きく引き下げた。これにより景気刺激のための強引な財政支出は避けられるとして、発表後は振幅を経てリラ買いが強まった。もっとも、期待されていたバッドバンク設立などの銀行支援策や国内企業の外貨調達への支援などについては触れられず、一部で失望感も出ていた。

今週の注目指標

日米通商協議
9月25日21:30
☆☆
 日本の茂木経済再生相と米国のライトハイザーUSTR(米通商代表部)代表による通商協議。当初は25日午前6時半ごろ(現地時間24日)に予定されていたが、米国側から日程変更の申し入れがあった。26日の日米首脳会談を前に、自動車や農産物に対する関税などについて閣僚級協議を実施する。米国側から自動車関税の引き上げを突き付けられるかなどが焦点とみられる。関税引き上げの当面見送りが見込まれると、農産品に対する新たな交渉開始などについて日本側が譲歩するとみられ、日米通商摩擦問題への懸念がある程度落ち着くとみて、ドル買い円売りの材料となりそう。もっとも本命は26日の日米首脳会談であり、通商協議の段階では112円台でのドル円の支えとして期待される程度か。
日米首脳会談
9月26日
☆☆☆
 安倍首相とトランプ大統領の首脳会談が26日(日本時間27日)に予定されている。同会談に先駆けて24日には両氏の夕食会が開かれている。北朝鮮拉致問題などについては夕食会の場でかなりの話し合いができたとみられ、本命の通商問題についてどこまで合意できるのかが焦点に。自動車関税について現行水準で当面維持する姿勢を米国側から引き出せると、日本側として譲歩する余地が生まれ、貿易摩擦問題への懸念が後退しそう。この場合、ドル円は114円に向けた動きを強める可能性。
米FOMC(連邦公開市場委員会)
9月27日03:00
☆☆☆
 今回のFOMCでは0.25%の利上げがほぼ確定的となっている。市場は利上げを完全に織り込んでおり、波乱要素は少ない。注目は声明内容と参加メンバーによる経済・物価・金利などの見通し。特に年末時点での政策金利水準見通しをドットであらわしたドットプロットへの注目度が高い。前回は年内あと1回の利上げ見通しが大勢となっていた。今回は前回からメンバーが変わっていることもあり、変化が見られる可能性も。雇用や物価情勢から前回以上に年内あと一回の利上げを見込む動きが強まっている可能性が高い。この場合ドル買いの材料となり、ドル円は114円に向けた動きが期待される。

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