2019年01月21日号

(2019年01月14日~2019年01月18日)

先週の為替相場

ドル買いが優勢な展開 

 1月14日からの週は、それまでのドル安基調が一服し、ドル買いが強まる展開となった。ドル円が109円台を回復、ユーロドルが1.13台へ値を落とす展開に。米中通商交渉の進展期待が広がり、ドル買いを誘った。ドイツの2018年成長率が前年比+1.5%と5年ぶりの鈍化を見せたことも、ユーロ売りドル買いからのドル全面高基調に寄与した。

 先週初めはリスク警戒からのドル売り円買いが入る展開に。14日に12月の中国貿易収支が発表され、輸出・輸入がともに大きく落ち込んだことで、中国の景気鈍化懸念が広がり、ドル安円高の動きにつながった。

 しかし、翌日には中国株の堅調地合いを背景にドル円、クロス円は買い戻しが優勢に。

 注目された15日の英下院でのEU離脱協定採決は、230票差という政府提案の採決としては歴史的な大差で否決された。瞬間ポンド売りも、この結果を受けてメイ首相がEU離脱期限延長に向けた動きを強めるとの期待感がポンドの買い材料となり、買い戻しが広がった。

 リスク警戒感の後退によりドル円は108円台後半に。16日に発表されたドイツの2018年経済成長率が5年ぶりの低水準となる前年比1.5%にとどまったことで、ユーロ売りドル買いが広がったこともドル全面高基調に寄与した。

 採決での否決を受けて英最大野党労働党の提出した内閣不信任案が、翌16日の下院で否決されたことによるポンド円の買いにも支えられてドル円は109円台に。米株の堅調な地合いなどもドル円を支えた。

 ムニューシン財務長官が中国製品に対する関税引き下げを検討との報道が出たことも、ドル買い円売りを誘い、ドル円は109円台でしっかりとした動き。関税の引き下げについては財務省が否定も、押し目は限定的で、地合いの強さが印象的に。

今週の見通し

 ドル高円安基調の継続が期待されている。米中通商摩擦問題に関しては、知的財産権問題での交渉難航が懸念されているものの、中国が米国からの輸入拡大姿勢を示したことがドル買いを支える格好。

 英国のEU離脱問題に関しては、21日に予定されているメイ首相による代替案提出が注目されているが、否定からわずか3日(議会開催日ベース・金、土、日は英議会が休場)での代替案提出では、大きな変更は難しいとの見方が強く、警戒感が残る展開。

 メイ首相はアイルランドとの二国間交渉で、焦点となっているバックストップ条項の解除を目指す方針という報道が出ているが、実際に離脱合意の変更につながる協定を締結するには時間不足。大きな変化のない代替案提出でポンドの失望売りを誘う可能性があるが、EU離脱期限の延長交渉に向かうとの見方が広がるようだとポンド買いに。ポンド円の上昇に支えられてドル円も110円の大台超えをトライする流れもありそう。

 22日、23日の日銀金融政策決定会合では、金融政策の維持が発表される見込み。展望レポート(経済・物価情勢の展望・用語説明1)で物価見通しの下方修正があると、ドル円、クロス円の買い材料に。

 ドル円を押し上げるだけの材料になるかは微妙だが、下値を支える材料となりそう。

 米政府機関閉鎖問題に関しては、大統領と議会の溝がまだ深いとみられており、当面の閉鎖が続くとみられる。民主党の下院トップであるペロシ下院議長(用語説明2)は強硬姿勢を崩していない。しかし、閉鎖の長期化で民主党への支持に陰りが見えるようだと、その他議員からの圧力が強まり、打開の道を探る可能性がある点には要注意。トランプ大統領は19日にドリーマー(幼少期に親に連れられて米国に入国した不法移民の若者)に対する在留許可措置の延長を提案したが、同措置の恒久化など、民主党が歓迎するより踏み込んだ妥協案が出てくるようだと、一転しての解決も。この場合ドル円は一気にドル高が進み、110円超えの期待が強まる。

用語の解説

日銀展望レポート 日本銀行が年4回(通常1月、4月、7月、10月)の金融政策決定会合において、経済や物価の見通し、上振れや下振れの要因などについて発表するレポート。正副総裁を含む9名の政策委員によって「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」と題して発表される。2015年までは年二回(4月と10月)の公表となっていた。
下院議長 米下院の多数党トップ。大統領権限継承順位で副大統領(上院議長を兼任)に次ぐ二位と、上院仮議長や国務大臣よりも上に位置する要職。実際の議事進行を行うことは通常なく、議長の所属する政党のその他議員が代行する。現在の議長(第63代下院議長)は民主党のナンシー・ペロシ氏。同氏はジョージ・ブッシュ大統領時代の2006年に女性として初の下院議長(第60代下院議長)に就任しており、2019年から8年ぶりに議長職に復帰した。

今週の注目指標

メイ首相によるEU離脱協定代替案提出
1月21日
☆☆☆
 15日の英下院で歴史的な大差で否決されたメイ首相によるEU離脱協定。この代替案が21日に議会に提出される。閣外協力しているDUPが離脱協定に対して反対に回った理由となっているアイルランドと英領北アイルランドの国境問題に関するバックストップ条項について、アイルランドとの二国間協定を検討している模様だが、今回の代替案に盛り込むことが出来るような進展はなく、今月末に予定されている採決で議会が納得するような案の提出は難しいとみられる。市場の失望を誘うとポンド売り材料も、EU離脱期限の延長見通しなどにつながるとポンド買いも。微妙なところであるがポンド円は買われる可能性がやや高く、142円台にしっかりと乗せてくる可能性も。
日銀金融政策決定会合
1月23日
☆☆
 日銀金融政策決定会合が22日、23日に行われ、23日の昼前後に結果が発表される見込みとなっている。現行の金融政策の維持が見込まれており、波乱要素は小さい。注目は同時に発表される日銀展望レポートでの物価見通し。前回のレポートでは18年度0.9%、19年度1.4%が示されていたが、原油安などの影響で下方修正される可能性が高い。2%目標の達成が遠くなる印象で、今後の追加緩和に向けた期待感が広がるようだと、円売りの動きも。ドル円は110円台回復に向けた動きも。
ECB理事会
1月24日21:45
☆☆
 ECB理事会の結果が24日に発表される。金融政策の現状維持が濃厚で、市場の注目は声明と22時半からのドラギ総裁の会見となりそう。昨年末で量的緩和を終了したECB。ドラギ総裁はユーロ圏の景気減速傾向を認めており、減速が想定以上に長引く可能性を指摘している。声明や会見でそうした姿勢の維持や、さらなる警戒感の提示が見られた場合、追加緩和への期待感などからユーロ売りが強まる可能性も。ユーロ円は123円台を試す可能性。

auじぶん銀行外貨預金口座をお持ちのお客さま

ログイン後、外貨預金メニューからお取引いただけます

免責事項

本レポートは株式会社時事通信社が提供しています。また本レポートの内容は、株式会社時事通信社が提供する情報をもとに、株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイドが執筆しています。本レポートは、情報提供のみを目的にしたもので、売買の勧誘を目的としたものではありません。投資決定に当たっては、投資家ご自身のご判断でなされますようお願いいたします。株式会社時事通信社、株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイドおよび情報提供元は、本レポートに記載されているいずれの情報についても、その信頼性、正確性または完全性について保証するものではありません。また本レポートに基づいて被った損害・損失についても何ら責任を負いません。本レポートに掲載されている情報の著作権は、株式会社時事通信社および株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイドに帰属します。本レポートに掲載されている情報を株式会社時事通信社の許諾なしに転用、複製、複写等することはできません。

Copyright(C) JIJI Press Ltd. All rights reserved.

auじぶん銀行からのご注意

  • 本画面に掲載されている情報は、auじぶん銀行の見解を代弁したものではなく、auじぶん銀行がその正確性、完全性を保証するものではありません。

以上の点をご了承のうえ、ご利用ください。