2019年02月04日号

(2019年01月28日~2019年02月01日)

先週の為替相場

ドル円は振幅 

 1月28日からの週は、ドル円が振幅を見せる展開となった。

 1月23日、25日と二度の110円トライで大台を超えきれず、週初は若干調整の動きに。米エヌビディアやキャタピラーの決算が弱く、米株売りが広がったことなどもあり、109円10銭台まで調整が進む展開が見られた。

 もっとも、この局面では109円台を維持したこともあり、その後は買い戻しが入る展開に。米ADP雇用者数の好結果もあり、109円70銭台まで一時値を戻して、FOMCの結果発表を迎えた。

 事前の予想通り金融政策の現状維持を決めたFOMCでは、声明で今後の利上げに辛抱強くなれると、追加利上げに慎重な姿勢を示した。2017年から続くバランスシート調整に関しても、今後の修正を示唆するなど、かなり緩和的な姿勢が示されたことで、ドル売りが広がった。

 なお、今回のFOMCからは全ての会合で終了後の議長会見が行われることとなった(昨年までの基準では今回のFOMC後は会見予定がなかった(用語説明1))。

 パウエル議長は会見で利上げの論拠が弱まったと発言するなど、慎重姿勢を強調。ドル売りが強まる展開に。

 ドル円は先々週、先週前半とサポートとなっていた109円手前の買いを崩して、108円台半ばまで値を落とす展開に。その後、少し値を戻したものの、109円近辺がいったん重くなった。

 108円台後半で迎えた米雇用統計は予想をはるかに超える雇用者増を示し、一転してドル買いに。その後出たISM製造業景気指数も予想をしっかりと上回っており、109円台半ばを回復する展開となった。結果的に週全体の相場としては往って来いの展開に。

 FOMC後のドル売りで1.1420近辺から1.15台にしっかりと乗せたユーロドルが1.14台前半に値を落とすなど、ドル円以外も往って来いに。

今週の見通し

 ドル高への期待感が強い展開となりそう。

 先週末の米雇用統計の予想を大きく超える雇用者増や、5年ぶりの高水準となった労働参加率の状況を受けて、FOMC後の悲観的なドル売り見通しが後退した。

 FOMC後のドル売りが108円台半ば近辺までにとどまり、下値しっかり感が出ていたこともあり、ドル円は上方向への動きを意識している。

 110円近辺での売り意欲は継続しているとみられるが、上昇期待はかなり強そう。

 今週は目立った経済指標予定がなく、若干材料に欠ける面も。中国市場が春節(用語説明2)で一週間の休場、香港市場が火水木、シンガポール市場が火水の休場となり、アジア市場の取引がかなり減少することも、動きを抑える材料となる。

 もっとも、こうした新規材料に欠ける状況で、それまでの流れが加速するという展開はよく見られるケースだけに、上方向の動きを意識したいところ。

 111円台半ば程度までの上昇を期待したい。

 円以外の通貨に対してもドル高の動きが期待されるところ。先週1.15台の重さを印象付けたユーロドルは、1.14ちょうど前後のサポートを割り込むと、ユーロ売りドル買いが加速する可能性も。その場合は1.12台後半がターゲットに。

用語の解説

FOMC後の議長会見 年8回行われる米連邦公開市場委員会(FOMC)。昨年まではそのうちの半分、4回のFOMCにおいて、会合終了後の議長会見が予定され、それ以外の4回では会見が見送られるというルール(状況の大きな変化などで急遽会見を行う可能性は示されていた)となっていた。FOMC参加メンバーの経済や金利の見通しが示される3月、6月、9月、12月のFOMCが会見を行う会合となっており、金融政策の大きな変化も基本的にその回に実施されてきた。
 昨年2月に就任したパウエル議長は、市場との対話の拡充や、会見が無い回で金融政策の変更期待が小さくなることにより、実際に変更した場合の市場へのインパクトが大きくなることを嫌気して、就任後に2019年からはすべてのFOMCで会見を行うと発表した。
春節 旧暦(太陰暦)での正月のこと。中国及び中華圏では新暦の正月よりもはるかに盛大に祝賀されている。中国、香港、シンガポール、韓国などで祝日となっている。中国では春節の除夕(じょせき)から7日間が祝日となり、この間に多くの国民が国内外で移動する。2019年の移動人口は延べ30億人近くに上り、うち海外に700万人程度が移動する見込みで、大きな外貨買い元売りの材料となる。

今週の注目指標

豪中銀政策金利
2月5日12:30
☆☆
 豪中銀の金融政策理事会の結果発表が、5日12時半に行われる。豪中銀の政策金利は当面の据え置きが示唆されており、今回も現状の1.50%が維持される見込み。前回12月の理事会議事録では、これまでの理事会同様に、次の金融政策の変更はおそらく利上げと示された。しかし、中国の景気減速懸念、弱い豪経済指標動向などを受けて、こうした見通しに変化が出ている可能性がある。豪北東部クイーンズランド州では100年に一度規模の洪水が起きるなど、天災にも見舞われており、今後の金融政策見通しについて、中立もしくは利下げの可能性を示唆してくると、豪ドル売りが強まる可能性。豪ドル円は78円台半ばがポイントに。
米一般教書演説
2月6日11:00
☆☆☆
 米トランプ大統領による一般教書演説が現地米国東部時間5日午後9時(日本時間6日午前11時)より行われる。1月の最終火曜日に行うことが慣例となっている同演説であるが、連邦政府機関の一部閉鎖の影響で延期されていたもの。議会に参加することが基本出来ない米大統領にとって、下院議長の招待を受ける形で議会に登壇し、演説を行う年に一度の機会となっている。国境の壁をはじめとする国土安全保障の問題について、超党派での連携を呼びかける見込み。民主党側からの反応が鈍ければ、再度の連邦政府機関閉鎖への懸念などにつながりドル売りが強まる可能性も。ドル円は108円台半ばを試す可能性。
ブラジル中銀政策金利
2月6日、7日
☆☆
 ブラジル中銀の金融政策理事会が2月5日、6日に行われる。結果発表は会合終了後のため、日本時間では6日もしくは7日となる。政策金利は現行の6.50%での維持が確定的。今年に入ってブラジルの通貨レアル、代表的な株価指数ボベスパ指数は上昇が著しい。こうした状況に楽観的な見通しが示されると、新興国市場全体の支えに。比較的経済状況などが似ている南アランドなどにも買い材料となりそう。ランド円は8円50銭がターゲット。

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