2019年02月12日号

(2019年02月04日~2019年02月08日)

先週の為替相場

ドル高円安期待もレンジ取引中心に 

 2月4日からの週は、ドル高がやや優勢な展開となった。

 米雇用統計の好結果などを受けて、2月1日に109円台半ばまで持ち上げて週の取引を終え、ほぼ同水準で迎えた週明け。4日朝の109円43銭を週の安値として、その後は109円台後半から110円超えのレンジでの取引となった。

 110円超えでは売りが出る流れで、頭を抑えられたが、下がるとすぐに買いが出る展開で、地合いの強さが印象的に。

 ユーロドルが先週初めの1.14台半ば超えから1.13台前半までほぼ一方向の下げ(ユーロ安ドル高)となり、ドル高基調を支えた。

 ユーロはEUがユーロ圏、イタリア、ドイツの成長見通しを下方修正し、売り基調が強まる展開に。ドイツは先月後半の製造業PMIやIfo景況感指数、今月の鉱工業生産など、主要指標が軒並み弱く、市場に警戒感が出ていた分、ユーロ売りが出やすくなった面も。

 ポンドも対ドルで軟調も、英中銀金融政策理事会(MPC)後に買い戻しが入る場面が見られた。スーパーサーズデーということでMPC結果と同時に公表された四半期インフレ報告において、英国の成長見通し、インフレ見通しが引き下げられ、一時売りが強まったポンドは、売り一巡後にいったん上昇する展開に。対ドルで1.28台半ばから1.30手前まで買い戻しが入った。

 もっとも1.30を付けきれなかったことや、EU離脱交渉の難航などでその後は売りが強まる展開に。

 その他目立ったのは豪ドルの売り。5日の豪中銀金融政策理事会は事前の見通しどおり現状維持を決定。声明では期待されたほど慎重な姿勢が見られず、いったんは豪ドル買いに。豪ドルは対米ドルで0.7260台を付ける動きが見られた。

 しかし、翌6日にロウ豪中銀総裁(用語説明1)が今後について「利上げも利下げもありうる」と、これまでの次の行動は利上げとのスタンスを変化させる発言を行い、一気に豪ドル売りに。金利動向からみた年内の利下げ期待が一気に強まる展開となり、発言直後の豪ドル売りだけでなく、その後も豪ドル売りが続く展開に。

今週の見通し

 ドル高への期待感が強まる展開が期待される。

 ドル高の流れが続いており、ドル円は上を意識する展開に。上値を抑えられた感のある先週の展開でも、押し目では買いがしっかりと入っており、地合いの強さが印象的となっている。

 ドル円は112円をターゲットに上値を期待する展開。

 市場が注目する米中通商交渉の進展などが見られると、ターゲット到達は十分にあり得そう。

 1日の米雇用統計の好結果を受けた米景気に対する安心感などもドル高に作用。FRBの二大責務(用語説明2)の一つである雇用の最大化への流れが続く中で、利下げを実施することは実際には難しいとの思惑がドル買いに。

 欧州通貨売りの流れが続いていることも、ドル全面高の流れを誘い、ドル円の買い材料に。ユーロやポンドの景気鈍化懸念が強く、当面は欧州通貨売りの流れが続きそう。ドル円で高値警戒感が広がったとしても、ドル全面高の展開で流れを止めることは難しい。

 もっとも政治的な駆け引きが多々見られる米中の交渉だけに、悪材料に神経質に反応する場面もありそう。109円台での買い意欲が見られるだけに、下値しっかりの展開が続くと期待されるが、調整局面に対する警戒は必要か。

 109円台後半から110円台でのレンジ取引を中心に、期待は112円をターゲットにした上方向。109円割れまで調整が進むと、これまでの流れが変化という印象。

用語の解説

ロウ豪中銀総裁 フィリップ・ロウ(Philip Lowe)。2016年9月から前任のスティーブンス総裁の後を継いで豪中銀総裁を務めている。高校卒業後に事務員としてRBAに務め、夜間の学生としてニューサウスウェールズ大学へ進学。その後米国MITへ留学し、著名なノーベル賞経済学者であるクルーグマン教授の下で博士号を取得。RBAに戻り、2012年からスティーブンス前総裁の下で副総裁を務めていた。
FRBの二大責務 1946年の雇用法を原点とし、1977年の連邦準備改革法で示された米FRBに課せられた「雇用の最大化」と「物価の安定」という二つの責務(デュアル・マンデート)のこと。現在はこの二つに加え「低い長期金利」がFRBの目標として示されているが、物価が安定した下での経済成長という 二つの責務が達成されると、低い長期金利という目標は達成されると考えられるため、実際にはデュアル・マンデートがFRBの目標となっている。

今週の注目指標

NZ中銀政策金利
2月13日10:00
☆☆
 NZ中銀は当面の金利据え置きを示唆しており、今回の理事会でも現行の+1.75%で政策金利を維持する見込み。注目は声明内容。先週の豪中銀金融政策理事会では、それまでのスタンスを維持も、その後ロウ豪中銀総裁が今後については利上げも利下げもありうると発言。市場の豪ドルに対する利下げ期待が一気に強まり、大きな豪ドル売りを誘った。NZドルも豪ドルの下げに連れて値を落とす展開となった。今週NZ中銀が豪中銀のスタンスの変化に追随してきた場合、NZドル売りが強まる可能性も。NZドル円は74円割れのサポートをしっかりと割り込み、73円台前半を試す可能性も。
米消費者物価指数(CPI・1月)
2月13日22:30
☆☆☆
 米国の追加利上げ期待が後退し、年終盤の利下げの可能性が意識される中で、カギを握る米FRBの二大責務(雇用の最大化と物価の安定)の状況に対する注目度が高まっている。1日に発表された米雇用統計が予想を超える好結果となったこともあり、物価の安定が見られるようだと、利下げ期待が後退する可能性があるが、予想を超える鈍化を見せるとドル売りが加速する可能性も。CPI前年比はガソリン価格の下落もあって前回の+1.9%から+1.5%に大きく低下見込みも、食品・エネルギーを除くコアは前回の+2.2%から+2.1%への小幅な鈍化にとどまる見込み。予想を超えて、コア部分で2%を割り込むような鈍化を見せると、ドル売りが一気に広がり、ドル円は109円台前半トライも。
米暫定予算期限
2月15日
☆☆
 昨年12月から1月にかけて35日間という異例の長期にわたる連邦政府機関の閉鎖を招いた米国の予算問題。政府機関再開のための暫定予算の期限を15日に迎える。同期限までに両院合同協議会で予算の合意が行われ、議会を通過し、大統領が署名して予算が成立しない限り、16日以降再び政府機関の一部閉鎖が行われる可能性がある。国境の壁問題に関する大統領と議会の対立の解消が鍵となる。閉鎖に至った場合はドル売り圧力に。ドル円は109円台前半のサポートを試す展開も。

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