2019年02月25日号

(2019年02月18日~2019年02月22日)

先週の為替相場

ドル円はレンジ取引続く 

 2月18日からの週は、ドル円が110円台後半を中心とした狭いレンジでの取引に収まるなど、主要通貨の動きは限定的なものとなった。

 週明けの18日は110円台半ばでのスタート。19日から次官級協議。21日から閣僚級協議がスタートする米中通商協議が注目される中、交渉進展への期待感が下値を支えたものの、111円手前の売りを崩すだけの勢いも出なかった。

 五十日(ゴトウビ)のドル買い需要に合わせた上値トライや、FOMC議事録の内容をみてのドル買いなどに、上値を試す場面が何度も見られたが、110円90銭台までの動きに。

 注目されたFOMC議事録(1月開催分)は、下振れリスクの強まりなどが示される慎重なものとなった。しかし、市場が期待していた年内の利上げ停止見通しなどを含むより慎重な姿勢は見られず、ドル円は上昇。議事録前にポジション調整などで下げていた分を回復する動きを見せた。

 19日・20日の米中次官級協議で主要構造6項目(知的財産権、サービス、技術移転、農業、為替、非関税障壁)について、覚書を作成中と報じられたことで、円売りが入る場面が見られたが、ドル円に関しては、ドル売り人民元買いを受けてのドル安進行もあり、値動きは限定的に。

 21日からの米中閣僚級協議は当初スケジュールを延長しての実施で、前向きに進展と期待されており、ドル円を支える材料となった。もっとも、為替条項に関してはドル安元高圧力につながるとの思惑もあり、ドル売りが入る展開も。

 ポンドは対ドルで一時1.31台を回復するなどしっかりの動き。

 メイ英首相とEU側の交渉は難航が伝えられたが、まだ少し期限があることもあり、市場は大きな反応を見せていない。

 豪ドルは神経質な値動き。最大の輸出先である中国と米国との通商交渉進展期待が豪ドル買い円売りの動きを誘い、豪ドル円は79円台後半まで。豪雇用統計の好結果も豪ドルを支えた。

 しかし、豪大手銀行が年内2回の政策金利を引き下げる見通しを発表し、一転して豪ドル売りに。さらに中国大連(用語説明1)の港湾当局が豪州産石炭の輸入を停止していると報じられたことで、もう一段売りが出る流れとなった。

 もっとも週末にかけて米中通商協議への期待が強まると、豪ドルも安値から買い戻しが入る展開に。

今週の見通し

 地合いは依然として堅調。

 ドル円は110円台後半でのレンジ取引を中心とした取引となりそう。

 米中通商協議への期待感に支えられて、期待は上方向への動き。もっとも、3月1日までの交渉期限延長がほぼ確実となったことで、最終的に合意が出るのはもう少し先になりそうで、一気の上昇にはつながりにくいか。

 111円ちょうど手前及び111円台前半にドル売り注文が並んでいるとみられており、上値の重い展開が継続か。

 米中通商協議の中での為替条項が人民元高圧力となる可能性が高く、ドル人民元相場でドル安人民元高傾向が強まっていることも、ドル円でのドル買いを抑える格好に。

 とはいえ、下がったところでは買いが出る流れ。110円台後半でのレンジ取引を中心に、期待は上方向。

 米中通商協議の進展期待が買い材料となる豪ドルは、中国大連港での豪州産石炭の輸入の停止報道が重石。豪州にとって石炭は輸出品全体の19%(用語説明2)を占める主要な産品であり、その最大の輸出先である中国向けの輸出に影響が出てくるようだと、今後の景気見通しに大きな悪影響が出る可能性も。

 米中通商協議の進展期待が下支えとなる展開が続いているが、状況次第では大きく崩れるリスクを意識。

用語の解説

大連 中国人民共和国遼寧省の南部、遼東半島の最南端に位置する都市。人口は600万人超。天津さらにはその先の北京に通じる渤海の入り口に位置する中国の重要な海の玄関口。大連港は貨物取扱量で世界8位となる中国北東部最大の国際貿易港となっている。世界有数の商品デリバティブ市場である大連商品交易所があるなど、中国の代表的な鉱産物輸入の窓口。
豪州の輸出品 豪州は世界有数の資源大国とあって輸出品目上位は天然資源が並ぶ。2017年の輸出品目シェアトップは鉄鉱石の19.8%、二位が石炭の19.3%、三位が原油・天然ガス12.0%と、上位3位までの天然資源で全輸出の半分以上を占める。以下は四位の小麦が2.0%、五位の銅鉱が1.7%と一気に割合が減る。国別にみると中国向けが全体の35.0%と二位の日本向けの14.2%の倍以上を占めている。

今週の注目指標

パウエルFRB議長上院議会証言
2月27日00:00
☆☆☆
 パウエルFRB議長は26日に上院銀行委員会で、27日に下院金融サービス委員会で議会証言を行う。旧ハンフリー・ホーキンス法に基づいて半期に一度(通常2月と7月)議会に金融政策報告書を提出し、証言を行うというもの。テキストは両院共通のため、初日の上院での証言に注目が集まる(両院のどちらで先に行うかは、年によって交互となっている)。FRBは前回のFOMCでこれまでの緩やかな利上げ路線から、利上げに辛抱強くなれると路線を変更し、バランスシートの年内停止にも言及するなど、慎重姿勢を強めている。こうした姿勢の変化について議会でどのような説明がなされるのかなどが注目。年内の利下げ期待につながるような慎重姿勢が見られるとドル売りに。ドル円は110円割れをトライする可能性もある。
米第4四半期GDP速報値
2月28日22:30
☆☆☆
 通常は1月末に発表される米第4四半期GDP速報値が、米連邦政府機関の一時閉鎖の影響で、2月28日に発表される。2018年終盤の輸出の落ち込みなどを受けて、第3四半期の+3.4%から+2.4%に伸びが鈍ると見込まれている。予想前後の数字であれば想定済みとの見方で影響は限定的か。地区連銀による予想はNY連銀のNowcastが+2.3%と市場予想とほぼ同水準も、アトランタ連銀のGDPNowでは+1.4%とかなり低めの予想に。アトランタ連銀の予想に近い数字が出ると、景気鈍化懸念が広がり、ドル売りが強まる見込み。ドル円は109円台前半まで意識される展開に。
米中通商協議交渉期限
3月1日
 先週次官級及び閣僚級の協議が行われた米中通商協議。主要構造6項目について前向きな協議が行われたとの報道も、合意には至っていない。もっとも、協議の進展を受けてトランプ大統領は1日の期限を延長する意向をツイッターで示した。そのため、1日の期限が過ぎてすぐに中国産製品に対する関税引き上げにはつながらない見込み。もっとも公式な発表はまだ。1日の期限までの交渉動向などを含めて要注意。期限延長の正式な発表でドル買いも111円を超える勢いが出るかは微妙なところか。

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