2019年04月15日号

(2019年04月08日~2019年04月12日)

先週の為替相場

ドル円は週後半にしっかり

 4月8日からの週は、週の前半に頭の重い展開となったが、週の後半にかけて買い戻しの動きが強まり、直近の高値を超えて3月6日以来の112円台を付ける動きが見られた。

 10日に欧州首脳会合(EUサミット)、ECB理事会、米消費者物価指数、米FOMC議事録などのイベントが重なり、週明けからは調整ムードとなった。

 トランプ大統領によるFRBへの利下げや量的緩和の要求などもドル円の調整を誘う材料となった。

 米消費者物価指数のコア前年比が予想を下回った。これによりトランプ大統領の利下げ圧力の勢いが増すのではとの思惑も、ドル円の重石となり、ドル円は一時110円80銭台まで値を落とす展開になった。

 しかし、一連のイベントを無事通過したあと、ドル円は反転ムードに。

 米FOMC議事録で利下げの可能性への言及がなく、当面の据え置きムードが広がったことで下値トライのムードが後退。

 英国のEU離脱について10月末までの期限延期が決定されたことや、米生産者物価指数の好結果、中国の貿易統計で輸出が前年比+14.2%と大きく伸びたことなどを好感し、ドル買い円売りムードが広がり、週末金曜日の海外市場で112円台を付ける動きに。

 EU離脱期限を12日に控えていたポンドは、1.30台前半から1.31台前半でのレンジ取引に。10日のEUサミットで離脱期限の延長が決定された。合意なき離脱という大きなポンド売り材料の回避はポンド相場を支える要因となった。しかし、離脱延期自体は完全に織り込まれており、相場への影響は限定的なものにとどまった。

 長期の離脱期限延長で、ポンド関連の短期のボラティリティが低下するなど、落ち着きを取り戻す格好に。もっとも、メイ政権の求心力低下などもあり、今後に対する警戒感が見られることから、ポンド買いの動きも限定的。

今週の見通し

 基調はドル高円安。もっとも積極的なドル買いには慎重姿勢も。

 ドル円は112円台を付ける動きとなっており、年初来高値である3月6日の112円13銭超えをうかがう展開に。

 米ISM製造業景気指数や米雇用統計の好結果を受けた堅調な米景気への信頼感、中国の貿易統計や与信拡大(用語説明1)などを受けた景気減速懸念の後退などが、ドル円、クロス円の支えとなりそう。

 もっとも、高値での積極的な買いには慎重な姿勢も。先週後半の110円80銭台からの上昇局面では目立った押し目も見られず、ポジションの偏りも懸念されることで、112円台では高値警戒感が出る可能性がある。

 流れはまだ上方向も、いったん調整が入る可能性は十分にある。

 もっとも、ごく短期的には111円70銭~80銭、その下の111円30銭前後はサポート水準。下がったところでは買いが出る流れが続くとみられ、もう一段の上値トライへの期待も。

 112円台を維持する流れになると、ターゲットは113円20銭に。米中通商協議の進展期待なども下値を支える展開に。

 先週末に中国貿易統計の好結果などに買いが入った豪ドル。18日の豪雇用統計(用語説明2)次第の面はあるが、上値期待が強い。一時減速懸念が強まっていた中国経済の懸念後退が大きな買い材料に。対ドルで0.72をしっかり超えてくると、レンジが切りあがってくる可能性も。0.74が大きなターゲットになりそう。

用語の解説

中国与信 中国人民銀行は毎月前半に、前月の中国全土でのファイナンス規模や新規融資額などを公表している。ファイナンス総額は2月の7030億元から2兆8600億元に一気に拡大。新規融資額も2月の8858億元から1兆6900億元に大きく拡大した。もっとも、1月の総額4兆6353億元、新規融資3兆2300億元から、2月に一気に縮小したものが、3月に入って回復した格好。とはいえ、春節の休暇後の中国経済の鈍化懸念が後退する材料となった。
豪雇用統計 豪統計局が発表する豪州の雇用指標。雇用者数と失業率が注目される。雇用者数は全体の数字だけでなく、正規雇用、非正規雇用それぞれの雇用増減も同時に発表される。雇用者全体が増加していても、正規雇用が減少し、非正規雇用の増加によって全体が伸びていた場合などは、弱い数字とみなされることがあるなど、内訳にも注意が必要。

今週の注目指標

豪雇用統計(3月)
4月18日10:30
☆☆☆
 3月の豪雇用統計が18日に発表される。前回2月の雇用統計は、雇用者数が1月の+3.83万人や事前に予想された+1.50万人に対して、わずか+0.46万人にとどまる弱い結果となった。しかも、内訳をみると1月に+6.56万人と大きく伸びた正規雇用が-0.73万人とかなり弱い数字となっており、内訳の面でも警戒感が広がった。失業率は予想外に低下したが、労働参加率が低下したため、材料視されなかった。今回は+1.50万人と回復が期待される。正規雇用中心の回復が見られると、豪中銀の年内利下げ期待が後退し、豪ドル買いにつながる可能性も。豪ドルは対ドルで0.72超えがポイントになりそう。
米小売売上高(3月)
4月18日21:30
☆☆☆
 3月の米小売売上高が18日に発表される。前回は予想外に総合、自動車除くコア共に前月比マイナスとなった。平年よりも気温が低く、特に2月上旬は1月末からの歴史的な寒波が続いていたことが背景にあるとみられ、今回は回復が期待されている。予想は総合が前月比+0.9%、コアが前月比+0.7%の強い数字となっている。2 月は弱かった米非農業部門雇用者数が3月は改善しており、小売売上高も回復を見せると、米景気の底堅さへの信頼につながりドル買いに。ドル円は112円をしっかりと維持する展開になる可能性も。
グッドフライデー
4月19日
☆☆
 イースター前の聖金曜日(グッドフライデー)で欧米市場は休場となる。祝日でも海外市場での取引参加者はある程度見られることが一般的であるが、クリスマスとイースターは完全にお休みとなることが多い。長めの週末を前に木曜日あたりからポジション調整の動きが強まる可能性がある点に要注意。市場は動かないことがほとんどだが、何らかの材料が出た場合に大口の売り買いをこなすだけの流動性がなく、荒っぽい動きになることがある点には要注意。

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