2019年09月02日号

(2019年08月26日~2019年08月30日)

先週の為替相場

週初のドル安から値を戻し、しっかり

 8月26日からの週は、週初に大きく値を崩した後、一転してしっかりの展開となった。

 週明けの市場で円高が進行。ドル円が節目の105円を割り込み、円高が一時加速。クロス円も値を崩した。流動性の低いトルコリラ円がパニック的な下げになるなどの場面が見られた。

 月曜日午前中に105円台を回復すると、その日の海外市場で106円40銭を付けるなど、一転してしっかりの展開に。

 米中通商問題への懸念がドル安円高を誘ったが、米中通商協議を担当する中国の劉副首相が「落ち着いた対話による貿易摩擦解決の意思がある」などと発言したこともあり、ドル安円高の動きが一服。さらにトランプ米大統領が「中国側から交渉再開の連絡があった」と発言したことで、ドルの買い戻し基調が加速。いったん105円割れの下値を付けたことで一服感が出て短期筋の買い戻しが入りやすかったこともあり、106円台までの回復に。

 その後はいったん105円台後半を中心とした推移に。米中協議についての警戒感が継続する中で、上値追いに慎重姿勢が見られ106円台が重くなったものの、105円台半ばからを売りに行く勢いは見られずという展開に。

 米2年債と10年債の逆イールドが27日から続いたことも、米景気の先行き不透明感につながり、ドルの重石となった。

 週の後半にかけては再びドル高円安に。米中が9月の協議実施について前向きな姿勢を示したことが、ドル高円安を誘った。米株が大きく上昇する場面なども見られ、ドルを支える格好に。

 週末にかけて逆イールドが一時解消するなどの動きが見られたこともドル買い円売りにつながり、ドル円は106円台で週の取引を終えた。

 その他目立ったのは欧州通貨の動き。

 ユーロはイタリアの政局がらみの懸念もあり、頭の重い展開に。

 イタリアのコンテ首相が大統領から新たな組閣を命じられたことで、混乱が一服したものの、ユーロ買いの動きにつながらず。

 9月のECB理事会での利下げ期待も継続しており、頭を抑える格好に。

 ポンドは合意なき離脱懸念が売りを誘った。英国のジョンソン首相が9月半ばから10月半ばまでの議会休会宣言(用語説明1)を女王に要請(用語説明2)との報道がポンド売りを誘った。9月中旬から10月13日まで議会が閉会する方針となり、10月末のブレグジット前ということで注目されるEUサミットを前に英議会がブレグジット関連で動きを見せる余地がほとんどなくなったことで、ポンド売りが広がった。

 ポンドドルは、ジョンソン首相とEUのユンケル欧州委員会委員長の電話会談実施が報じられた27日の1.23台を高値に1.21台まで値を落とした。

今週の見通し

 米中関係の動向に神経質な流れが続きそう。

 9月1日から米国の対中追加関税第4弾の一部が発動。中国からの米国に対する対抗関税も発動する状況となっている。もっとも、すでに規定事項であり、市場の混乱は見られない。

 9月に米国での実施が期待される米中通商協議に向けて、両国関係に注目が集まる状況。トランプ大統領など米中要人の発言次第で一気に相場の雰囲気が変わる可能性があるだけに、上下ともに手を出しにくい面も。

 6日には米雇用統計の発表も控えている。ただし、経済指標動向よりも政治情勢という流れが続いているだけに、影響は限定的か。

 米中関係の改善期待が広がれば、米株高などの動きも加わって、ドル高円安の動きが広がりそう。

 ターゲットは107円ちょうど。106円台後半には売り注文が残っているとみられ、一気の上昇は難しそうだ。けれども、協議再開への動きが本格化すると、ドル買いの動きが広がりそう。

 もっとも、一気に値を崩すリスクは残る。米中両国間の主張の溝は深い。そのため、協議再開が延期もしくは中止されるようだと、一気にドル売り円買いが加速する可能性も。この場合先週初めの安値104円台半ばでは動きが止まらない場合も。

 ポンドは英議会の再開が注目材料。ジョンソン首相の議会閉会という対応への批判が強まっている。だが、法律にのっとった対応であり、実際の対処は難しい。合意なき離脱懸念が広がる中でポンドは頭の重い展開が続きそう。

用語の解説

英議会休会宣言 英議会は9月半ばから10月にかけて、主要政党の党大会などが予定されており、例年3週間ほどの議会閉会期間がある。今回のジョンソン首相の対応は、通常であれば10月8日ごろ新たに始まる英議会について、10月14日の開会としたもの。10月31日がブレグジット交渉の期限として定められる中で、約5週間という長期の議会閉会期間に対して、英野党などから批判の声が上がっている。
英女王 英国の議会の長は、儀礼上エリザベス女王にある。しかし、英憲法で「君臨すれども統治せず」と定められており、女王が政治的な権力を行使することはない。議会で可決された法案や、英議会の開会などについては、女王の承認が必要となっている。ただ、女王が承認を拒否することはない。新年度が始まる10月14日に政府が起草した演説をエリザベス女王が読み上げる女王演説によって議会が開会されることとなる。

今週の注目指標

豪中銀政策金利
9月3日13:30
☆☆☆
 豪中銀の金融政策理事会が行われ3日の13時半に結果が発表される。政策金利は現行の1.00%での据え置き見通しがほとんどを占めている。先月NZ中銀が一気に0.50%の利下げを実施し、豪州とNZの政策金利水準が並んだ。このこともあり、一時は今回の理事会で豪州も利下げに踏み切るのではとの見通しが広がる場面もあった。しかし、第2四半期の豪消費者物価指数の堅調な数字や、豪中銀当局者の発言などから、今回の理事会では利下げを見送り、5月6月と実施した利下げの影響を見極めるとの見通しが一般的に。注目は次回以降の理事会での利下げに向けて、声明がどこまで緩和的になるか。10月の理事会での利下げ見通しが強まるようだと豪ドル売りも。豪ドル円は70円ちょうど近辺がターゲットに。
米ISM製造業景気指数(8月)
9月3日23:00
☆☆☆
 前回7月のISM製造業景気指数は、2016年6月以来約3年ぶりの低水準である51.2を記録した。景気の拡大・縮小の判断基準となる50.0は上回っているものの、米中通商摩擦問題などを受けて、米企業の景況感が悪化しているとの印象を与えるものとなった。今回も前回と同じ51.2が見込まれている。予想を下回り、50も下回ってくると、一気のドル売りもありそう。この場合ドル円は105円割れを目指す可能性も。
米雇用統計(8月)
9月6日21:30
☆☆☆
 利下げが濃厚な9月のFOMC前のため、利下げのカギを握る指標の一つである米雇用統計に注目が集まる。前回7月分は非農業部門雇用者数がほぼ予想通りの+16.4万人。5月分、6月分の数字が下方修正されたこともあり、若干弱めといってもいい数字であった。しかし、平均時給が予想を上回ったこともあり、総じてみるとまずまずという印象を与えた。今回は非農業部門雇用者数が+15.8万人と前回よりもやや弱めの数字が見込まれている。もっとも9月のFOMCに影響するほどの数字とはみられておらず、相場への影響は限定的か。15万人をしっかり割り込むと、一部で見られる据え置き予想が後退し、ドル売りが強まる可能性も。ドル円は105円ちょうど近辺がターゲットに。

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