2019年09月17日号

(2019年09月09日~2019年09月13日)

先週の為替相場

米中協議再開への期待感が支えとなり、ドル円はしっかり

 9月9日からの週は、10月に再開が決まった米中閣僚級通商協議への期待感が継続する格好で、ドル高円安の動きが優勢となった。

 週明けは106円台でスタートしたドル円は、週末108円台まで上値を伸ばして週の取引を終える展開に。

 週初はアップルとフォックスコンの中国工場が中国の労働基準法違反と中国労働権利団体が報告書を提出したことなどを懸念。106円70銭台まで値を落とす場面も見られた。しかし、その後107円台を回復するなど、下値でのドル売りには慎重姿勢が見られた。

 10日(現地時間9日)にトランプ大統領が「中国は協議を望んでいる」と発言。香港英字紙が「中国は米国との協議で米国産農産物の輸入拡大で合意の見込み」と報じたことなども支えとなり、107円台半ばに。

 独5大経済研究所(用語説明1)のうち2つの研究所が示したドイツ景気見通しの悪化や、12日のECB理事会での追加緩和を見込んだ前日までのユーロ売りドル買いの流れも、ドル高基調を支えた。

 中国政府が米国産品16品目について追加報復関税対象からの除外を発表。米国政府は10月1日から予定されていた3000億ドル相当の中国製品に対する関税率引き上げを10月15日まで延期と発表した。こうした両国の来月の協議に向けた地ならしともいえる対応を好感。ドル高円安基調が継続した。

 ドル円は8月1日以来の108円台に乗せる展開に。13日に108円20銭台まで上値をトライするなど、堅調地合いを維持して週の取引を終えている。

 ユーロは12日のECB理事会を控えての神経質な動き。10月末に任期満了を迎えるドラギ総裁が、任期中に大規模な緩和を実施し、景気支援姿勢を示した上でラガルド次期総裁に引き継ぐ意向を示している。これにより、積極的な緩和期待が強く、理事会前から頭の重い展開。前日に1.10割れを付ける場面が見られるなどの動きに。

 注目の理事会では中銀預金金利の引き下げに加え、実施について見方が分かれていた量的緩和(QE)について、月額200億ユーロ規模での債券買い入れを期限を決めずに決定。TLTROの期間延長、金利の階層化(用語説明2)、フォワードガイダンスの変更などの追加緩和が決まり、発表直後は大きなユーロ安に。

 しかし、すぐに反転すると、逆に買いが強まる展開に。ユーロドルは1.10台で発表を迎え、1.0920台まで値を落とした後、1.1080台まで大きく買い進まれた。さらに少しの調整を経て、週末には1.11台を付けるなどユーロ買いの動きに。量的緩和の額が当初の500億ユーロに届かなかったことなどが買い戻しを誘った。

 

今週の見通し

 17日、18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)をにらむ展開に。7月のFOMCに続いて、0.25%の追加利下げが見込まれている。一時見られた0.50%の大幅利下げ期待は直近指標の強さに加え、利下げの要因とされている米中通商摩擦問題への懸念が、10月の協議再開で少し後退していることもあり、ほとんど払拭されている。

 一方で、ごく一部での期待となっていた据え置きの見通しは、少数派ながら少し強まっている。

 直近の指標の強さに加え、ここにきての米中関係の改善期待が、いったんここで据え置きに回っての様子見となるのではとの期待につながっている見込み。

 CMEFF金利先物から計算されたCMEFedWatchでの政策金利見通しでは、1週間ほど前にわずか7.7%程度であった据え置き見通しが37.7%まで強まってきている。とはいえ、短期金利市場動向からみた利下げ確率は100%となっており、0.25%の利下げ見通しが期待の中心。

 据え置きとなった場合は一気のドル高も。ドル円は109円台超えの動きが期待されるところ。

 0.25%の利下げの場合、市場の反応は限定的となりそう。この場合の注目は次回以降に向けての声明内容やパウエルFRB議長の会見内容となりそう。

 10月29日、30日のFOMCで3連続利下げに踏み切るとの見通しは、短期金利市場動向から計算された割合では46.4%となっている。一方CMEFedWatchでは30.9%も、二会合連続での据え置き見通しが18.1%残っている状況。

 声明内で前々回及び前回のFOMC声明で見られた「適切に行動する」との文言が残るようだと、今後の追加利下げへの期待感が強まる形でドル売りとなりそう。議長会見内容にもよるが、106円台に向けた動きも期待されるところに。同表現が外れると、いったんの様子見ムードが広がり、3連続もしくは年内3回の利下げ見通しが後退。ドル円は109円台トライも。

用語の解説

ドイツ5大経済研究所 ドイツを代表する5つの経済研究所、Ifo経済研究所、RWI経済研究所、ドイツ経済研究所(DIW)、ハレ経済研究所(IWH)、キール世界経済研究所(IfW)のこと。それぞれがドイツや欧州の経済動向の調査・見通しの発表などを行うほか、春季と秋季に合同経済報告を発表する。今回、2019年ドイツ経済成長見通しについて、DIWが従来の+0.9%から+0.5%、IfWが従来の+0.6%から+0.4%にそれぞれ引き下げた。
金利の階層化 12日のECB理事会で導入された中銀預金金利に対する階層化のこと。金融機関は中央銀行に対して顧客からの引き出しなどに備えた預金準備を預ける必要がある。法定上定められた中銀への準備金についてはゼロ金利であるが、その分を超えた余剰資金についても、中銀に預け入れを行う(超過準備)場合、この中銀預金金利が適用される。金融機関は顧客の預金金利をマイナスにすることは難しいため、超過準備でのマイナス金利は金融機関の負担となる。このマイナス分を今回深堀したことで、金融機関の負担が大きくなりすぎる懸念があったため、ECBはこうした部分を必要性などに合わせて階層化し、マイナス金利適用分を減らすことを狙っている。

今週の注目指標

米FOMC政策金利 9月19日03:00
☆☆☆
 17日、18日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。政策金利の0.25%引き下げ(現行の2.00%-2.25%から1.75%-2.00%へ)はほぼ織り込み済み。米中関係が悪化した8月中は0.50%の大幅利下げ見通しが見られたが、来月の米中閣僚級通商協議再開決定からの関係改善期待もあり、大幅利下げ期待はほぼなくなっている。一方で据え置き見通しは直前に強まっており、サプライズがあるとするとこちらか。前回のFOMCでも2名の据え置き主張メンバーがいるだけに、可能性はゼロではない。トランプ大統領がFRBへの利下げ圧力を強める中、中銀の独立性を意識するFOMCメンバーが逆に据え置き主張に回る可能性も。もっとも、もし据え置いた場合はかなりのサプライズでいったんドル買いとなりそう。また、トランプ政権からの圧力は一層強まるとみられ、不安定な状況が広がると、ドル高一巡後はドル売りも。109円台トライの後、107円台へ進むなど、派手な動きが出る可能性も。
日銀金融政策決定会合
9月19日
☆☆☆
 18日、19日に日銀金融政策決定会合が開催される。結果発表は19日のお昼前後。今月ECBが追加緩和を実施、FOMCでの利下げ期待も織り込まれる中で、日銀に対する追加緩和圧力が強まる状況に。もっとも、一部で期待されるマイナス金利の深堀については、今回は見送りが濃厚。長期金利の変動幅拡大やフォワードガイダンスでの緩和姿勢の強化などについては、可能性を残す状況か。大勢の見通しは現状維持。ここで追加緩和に動いて、市場への影響が限定的となった場合、次の手が打ちにくくなることもあり、逆に先行きの緩和期待を後退させて円高につながる可能性もある。現状維持の場合、影響は限定的。追加緩和に踏み切った場合は、いったん109円トライなどの円安の動きも、その後107円台などへ値を落とす可能性も。
米中次官級通商協議
9月19日
☆☆☆
 来月の米中閣僚級通商協議を前に、事務レベルでの地ならしとして19日から米ワシントンで両国の次官級協議が開催される。中国側は財政省の廖次官を代表に、米国側はUSTRのゲリッシュ次席代表を初め財務省、商務省などからの次官級高官が出席の見込み。知的財産権の問題や、中国の産業補助金の削減を軸とした構造改革の問題で両国間の溝が深く残る中で、どこまで合意に向けた動きを示すことが出来るのかがポイントに。10月の閣僚級通商協議に向けた前向きなコメントなどが出てくるとドル買い円売りにつながりそう。ドル円は109円台に向けた動きに。

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