2019年09月24日号

(2019年09月16日~2019年09月20日)

先週の為替相場

FOMC後にいったんドル高も続かず

 9月16日からの週は、来月に予定されている米中通商協議を意識しながら、17日、18日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)をにらむ展開となった。

 週の初めはドル安円高でスタート。14日にサウジアラビアの石油施設がドローンによる攻撃を受けて、同国の生産能力の約半分に影響と報じられたことで、NY原油が急騰。リスク警戒からの円高の動きも一気に強まった。

 ドル円は107円50銭を割り込む場面が見られるなど、週明けいきなりの安値圏でのスタート。ユーロ円が119円を割り込むなど、クロス円でも軒並みの円高進行となった。

 もっとも、同日海外市場でドル円が108円台を回復するなど、円買いの動きは限定的。トランプ大統領が戦略石油備蓄(SPR)(用語説明1)の放出を認可したことで懸念が一服し、ドル円に買い戻し。一方で欧州産自動車の関税問題でユーロ売りドル買いが入ったこともあり、ドルが全面高基調に。

 その後、独ZEW景況感指数の好結果などにユーロドルでのユーロ売りの動きが収まるなどの動きも、ドル円は108円台を維持してしっかりの展開のままFOMCを迎えた。

 注目のFOMCは事前予想通り0.25%の利下げを実施。注目されたFOMC参加メンバーによる年末時点での金利見通し(ドットプロット)では、この後年内は据え置きとの見通しが中央値となった。これにより、追加利下げを期待している市場との乖離が生じたことで、ドル高の動きとなった。

 ドル円は一時108円50銭手前まで上昇。FOMC前に1.10台後半まで買い戻しが入っていたユーロドルが1.1010台を付けるなど、いったんはドル高の動きとなった。

 もっとも翌日の東京市場でドル高分を解消してドル売りが進む展開に。

 ドル円は19日の日銀金融政策決定会合でマイナス金利の深堀などの追加措置が取られなかった。これを嫌気した円買いも入り、ドル円の頭を押さえた。

 週末にかけてはドル売り円買いの動きに。トランプ大統領が米中通商協議について、中国の農産物輸入の拡大などでは不十分で、完全合意を目指すという姿勢を示した。このことで、ドル売りの動きが強まり、FOMC前の調整局面で下値を支えた108円ちょうど近辺を割り込み、107円台後半で週の取引を終えた。

 ユーロドルは週前半に1.10割れも続かず、その後1.1070台が重くなるという展開に。対円ではドル円の動きにつられたこともあり、119円80銭台まで上値を伸ばし、週末にかけて118円台半ばへ。

今週の見通し

 米中通商協議をにらむ展開が続く。

 基調は同協議での前向きな進展を期待してのドル買い円売りが優勢。実際の閣僚級協議実施までは、両国による駆け引きの影響を受ける展開に。前向きな進展期待でドル買い、両国の溝を感じさせる動きでドル売りに。

 米国の年内追加利下げについては、FOMCメンバーによる年末時点での金利見通し(ドットプロット)で据え置きが示された。しかし、短期金利市場動向からの利下げ見通しでは依然として年内追加利下げが見込まれており、大きな影響は出ていない。今後この見通しが大きく変化した場合、相場に対する大きな変動要因となるが、今週は目立った指標予定がなく、そこまで大きな変動が起きる可能性は高くない。

 ドル円は基本的に107円台を中心としたレンジ取引か。107円をしっかりと割り込むと、下方向のリスクが一気に強まるが、107円手前には買い意欲もありそう。上値は108円台半ばが大きなポイント。その手前108円ちょうど近辺も上値抵抗水準に。

 ユーロドルは1.10前後での推移。ポイントであった1.10を先月末に割り込み、その後いったん戻したものの1.11ちょうど近辺が重くなっている。1.10を中心としたレンジ取引が続きそう。ここにきて欧州の景況感悪化が目立つだけにリスクは下方向。1.09割れで一気に値を落とす可能性も。

 欧州、特にユーロ圏最大の経済大国であるドイツの景気減速感がリスク材料に。24日に発表されるIfo景況感指数(用語説明2)などが材料となりそう。

 ポンドは28日から始まる英与党保守党の党大会などをにらむ展開で、若干様子見ムードか。ユーロの動き次第の面があるが、1.24台でのレンジを中心にした動きが見込まれる。

用語の解説

戦略石油備蓄 1973年の第4次中東戦争(第1次オイルショック)によるアラブ諸国による対米石油禁輸措置を受けて、1975年に制定されたエネルギー政策・節約法に基づいた米国の石油備蓄のこと。現在計画量で7億2700万バレル相当の備蓄を有しており、世界最大の国家備蓄となっている。実際の供給懸念に加え、原油価格の高騰など経済に大きな影響を与えると考えられる事態に際して、放出される。放出の決定は大統領に委任されている。
Ifo景況感指数 ドイツ5大経済研究所の一つでミュンヘンにあるIfo経済研究所が、ドイツ企業約7000社に対するアンケート調査をもとに計測している景況感指数。企業の現在の業況および6カ月先の見通しを「良い」「満足・変わらない」「悪い」の3段階評価で調査し、指数化したもの。景気に対する速報性が高いこと、集計対象が多数にわたること、公的研究機関による調査であり信頼性が高いことなどから、ドイツの経済指標の中でも特に注目度の高い指標となっている。

今週の注目指標

独Ifo景況感指数 9月24日17:00
☆☆☆
 米欧、米中の貿易摩擦問題を背景にドイツ企業の景況感悪化が目立っている。ユーロ圏最大の経済大国として、ユーロ加盟各国の経済を支えていく立場のドイツ。だが、第2四半期GDPが前期比マイナスに沈み、今期もさえない数字が続いていることで、リセッションの懸念も広がっている。こうした中、ドイツで最も重要視される指標の一つIfo景況感指数に注目が集まるところ。同指標は直近5カ月連続で悪化しており、前回は2012年11月以来約7年ぶりの低水準となった。今回の事前予想は94.5と、小幅ながら前回94.3から回復の見込み。予想に反して6カ月連続での悪化を記録すると、ユーロ売りの動きがもう一段強まる可能性も。ユーロドルは1.0900がターゲットに。
NZ中銀政策金利
9月25日11:00
☆☆☆
 前回サプライズの0.50%利下げを実施したNZ中銀。今回はその効果を計る期間ということもあり、据え置きが見込まれている。5月の利下げの後も、6月に一回据え置きを挟んで8月に利下げしており、今回下げてくる可能性は低い。注目は11月以降の追加利下げをにらんで、声明や会見の内容となりそう。早期の追加利下げを意識させるような内容が出てくると、NZドル売り。打ち止め感が強まるとNZドル買いの材料に。0.62台半ばがポイントとなっており、割り込むと大きく崩れる可能性も。
日米首脳会談
9月25日
☆☆☆
 NYの国連本部で行われる総会に出席するために安倍首相が訪米する機会を利用して、日米首脳会談が開催される予定となっている。日米貿易協定の署名が期待されているが、署名自体は見送られる可能性も。もっとも、すでに大筋の部分で合意形成が出来ているとみられており、署名が見送られた場合でも、共同声明などで早期合意に向けた前向きな姿勢が盛り込まれる可能性がある。両国の前向きな姿勢が強調されるとドル円にとっては買い材料。ドル円は109円に向けた動きも。

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