2019年10月07日号

(2019年09月30日~2019年10月04日)

先週の為替相場

米経済指標の弱さがドル売り誘う

 9月30日からの週は、米中通商協議への期待感などから序盤にドル買いの動きが見られた。その後米経済指標の弱さなどにドル売りが広がる展開となった。

 ドル円は107円台後半で週の取引が始まった。27日に米政府が米投資資金の中国への流入阻止を検討との報道が重石となり、108円台を維持できずに週の取引を終えた。週明けも同水準でのスタート。もっとも米財務省が報道を否定したことから、影響は限定的だった。中国高官が米中通商協議について10日に実施と具体的に日付を挙げて明言したことなどもドル買い材料となり、108円台を回復。

 1日の市場では米債利回りの上昇なども支えに108円50銭手前まで上値を伸ばす場面が見られた。

 しかし、同日の米ISM製造業景気指数(用語説明1)が予想を大きく下回る47.8と、前回に続いて2カ月連続で景気判断の境となる50割れの弱い結果を示すと、市場の雰囲気が一変した。

 通商摩擦問題が米企業の景況感悪化を招いている状況がはっきりと示された。先行き不透明感も現状は堅調という米経済に対する見方が揺らぎ、年内の米追加利下げ期待が広がる中で、ドル売りの動きが強まった。

 2日のADP雇用者数、3日の米ISM非製造業景気指数なども予想を下回る弱い結果となり、ドル売りの流れが加速。ドル円は106円台に値を落とす展開に。

 一連の米指標の弱い結果を受けて注目が集まった3日の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が予想をわずかに下回ったものの、前回値の上方修正があり、まずまず。失業率は予想外に低下で50年ぶりの強い数字に。平均時給は予想を下回り、まちまちな結果となった。

 ISMのかなりの弱さから、雇用統計もサプライズな数字が出てくるのではとの予想が一部で見られた。同統計の発表直後にドル買い円売りの動きが出て107円台を回復も、すぐに106円台に値を落として週の取引を終えている。

 ユーロドルも1日の東京午後まではドル買いの流れ。1日の米ISM製造業景気指数が発表されてからは、ドル全面安基調もあってユーロ買いドル売りに。

 1日の豪中銀金融政策理事会(用語説明2)は、大勢の事前見通し通り0.25%の利下げを実施。声明では、必要であれば追加緩和を実施との表現がこれまでよりも弱いとされたことや、経済成長が昨年下期より今年上期のほうが強く、ターニングポイントに達したとの内容があった。発表直後に豪ドル買い。もっとも一部で据え置き期待が見られたことや、今後の雇用市場の鈍化懸念が示されたことなどが重石となり、上昇一服後は豪ドル売りに。

今週の見通し

 10日の米中閣僚級通商協議をにらむ展開に。ここにきて米景気動向への警戒感が強まっており、ドル円は若干頭の重い流れとなりそう。

 中国による米国産農産物の輸入拡大姿勢などを受けて、協議への期待感が広がっていたが、トランプ大統領が望む知的財産権や産業補助金などを含んだ幅広い合意までにはまだ遠いとみられており、協議の行方はまだ不透明。

 合意に至らなくとも、前向き姿勢が強調されるようだとドル買いも、前回の上海での協議後のように、両国間の亀裂が印象付けられるようだと、一気のドル売りも。

 ドル円は107円の節目をいったんしっかりと割り込んだことで、下値リスクが高い展開に。次のポイントは1月の安値である104台後半も、展開次第ではあっさり割り込みそう。中長期的に相当大きなドル安円高になる可能性がある点に要注意。

 1日の米ISM製造業景気指数の弱い結果以降、米景気動向への警戒感が強まり、米経済指標への注目度も高まってきている。政治相場が続き、米経済指標への反応が鈍くなっていたが、雰囲気が変わってきた印象。一時据え置き見通しが強まっていた今月末の米FOMCでの追加利下げ期待が広がっており、今週の米消費者物価指数などに対する反応に注意したいところ。

 二会合連続での利下げを決めた9月17日、18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨にも要注意。慎重な姿勢が目立ち、3連続利下げの可能性が強まるようだと、ドル売りが広がる可能性も。

 ドル円は105円手前が最初のポイント。104円台後半も重要なポイントとなっている。しかし、104円台半ばを割り込むと、相当下まで目立ったポイントがないだけに、大きな動きに注意したいところ。

用語の解説

ISM製造業景気指数 ISM:Institute for Supply Management(全米供給管理協会)が、米国内の300社を超える製造業の、購買担当役員に対するアンケート調査を実施し、そのデータをもとに発表される指標。複数ある景況感調査関連の指標のうち、最も重要度が高いものの一つ。全体の数字だけでなく、内訳のうち、今後の企業行動予想の参考となる生産や新規受注の数字や、雇用統計の先行指標としても注目される雇用の数字などにも注目が集まる。
豪中銀金融政策理事会 豪州の中央銀行であるRBA:Reserve Bank of Australia(豪準備銀行)が開催する豪州の金融政策を決定する会合。米、ユーロ圏、日本など、各国の中央銀行は金融政策会合を6週間毎、年8回の開催とするケースが多いが、豪州は夏休み期間である1月を除いて、毎月第1火曜日に開催している(年11回)。政策金利は銀行間取引の翌日物貸出金利であるオフィシャルキャッシュレート。

今週の注目指標

米FOMC議事録(9月17日、18日開催分)
10月10日03:00
☆☆☆
 2会合連続での利下げを決めた先月の米FOMCの議事要旨が発表される。この時発表されたFOMC参加メンバーによる年末時点での政策金利水準見通しでは、年内の金利据え置きが中央値となった。しかし、その後の米指標の弱さもあって市場では今月末のFOMCでの3会合連続利下げを期待する動きが広がっている。議事要旨の中でデータ次第で追加利下げという印象を強めるような内容が見られると、ドル売りが広がる可能性。ドル円は106円台前半に向けた動きも。
米消費者物価指数(9月)
10月10日21:30
☆☆☆
 米国の追加利下げ期待が広がる中で、カギを握る材料の一つである米国の物価関連指標に対する注目度が高まっている。特に10日に発表される米消費者物価指数は注目度が高い。米国のインフレターゲットの対象であり、FOMCでの物価見通しなどに際しても対象とされているのは、消費者物価指数ではなく、PCEデフレータであるが、水準こそ違えども、発表が早く、変化の傾向が似ているCPIが注目される傾向にある。予想は全体の前年比が+1.8%と前回から0.1%ポイントの上昇、同コア前年比が+2.4%で前回と同水準となっている。予想前後の水準であれば利下げへのハードルにはならない見込みで、利下げ期待が強まってドル売りが入る可能性も。 ドル円は106円台前半が目先のポイントに。
米中閣僚級通商協議
10月10日
☆☆☆
 7月末に上海で開かれた米中閣僚級通商協議。その後、米国による中国に対する追加関税への動きなどから、両国間の対立が深刻となり、一時は再開が危ぶまれた同協議。先月の再開決定発表後、中国は米国産農産物の輸入拡大を示すなど譲歩の姿勢も見られる。もっとも重要項目の一つである知的財産権や産業補助金などの中国の構造に関わる問題に関する両国の溝はまだ深いとみられている。トランプ大統領は輸入拡大などでは不十分である姿勢を示しているだけに、再びの交渉決裂で、ドル売りが広がる可能性も。内容次第であるがドル円は105円割れを試す可能性も。

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