2019年12月02日号
先週の為替相場
ドル高円安基調継続
11月25日からの週は、ドル高円安の動きが優勢となり、週末には5月末以来となる109円67銭を付ける動きが見られた。
米中協議の進展期待が継続。11月24日の香港区議会選挙で改革派が圧勝したことも、週明けのドル高円安を誘った。
トランプ大統領が香港人権法案に署名し、中国側が報復姿勢を示したことが警戒感を誘った。しかし、押し目は限定的なものにとどまり、逆に地合いの強さを印象付ける格好に。
11月27日に発表された米第3四半期GDP改定値が、前期比年率+2.1%と速報値の+1.9%から上方修正されたことも、ドル買いを誘う結果に。
ユーロ円が先週初めの119円80銭台から120円76銭まで上昇するなど、クロス円も上昇が目立つ展開に。リスク選好での円売りが優勢となった。ポンド円も139円50銭台から141円80銭台まで上昇。
ユーロドルはドル高基調の中、頭の重い展開となったが、ユーロ円の上昇もあって、対ドルでの下げは限定的。週半ばまで1.10ちょうど近辺がサポートとなり、その後1.10割れも続かず。週末にドル全面高基調が広がる中で1.0980台まで下落も、NY市場午後に1.10台に戻すなど、突っ込んだ動きには慎重。
ポンドドルは今月12日の下院選挙を前に世論調査動向などに注目が集まる展開に。世論調査で与党保守党と最大野党労働党の支持率差が縮まったとの報道で週の前半にポンド売りが入る場面が見られた。しかし、市場が注目していた英調査会社YouGov(用語説明1)によるMRP方式(用語説明2 )での議席数予想で保守党の圧勝が見込まれ、週の後半にかけてはポンド高が優勢に。ポンドドルは27日に1.2820台を付けた後、翌日には1.2950を付ける動きを見せた。
今週の見通し
ドル高基調継続へ。
感謝祭ウィーク明けでNY勢が本格復帰することで、ドル高の勢いが強まるのではと期待されている。
ドル円は110円手前の売りが意識されており、取引が閑散とする中で売りをこなして上昇することは難しいとみられていた。
米中協議の進展期待や今月の米FOMCでの金利据え置き期待、さらには米ISM製造業景気指数や米雇用統計と言った重要指標の好結果期待などがドルを支える展開となっている。
110円をしっかり超えることができるかどうかがポイントに。オプションがらみの売りなども控えていると見られ、地合いは上方向とはいえ、簡単に抜ける水準ではない。109円台でのレンジ取引を中心に、110円超えのタイミングを計る展開か。
上値での売りに頭を抑えられると、週末の米雇用統計発表などを前にいったん調整が入る局面も。
110円をしっかり超えると、今年春からの下げ局面で5月に110円を割り込んでから、いったん戻した際の高値110円67銭が意識されるところに。
ユーロやポンドは対ドルで頭の重い展開も、対円では買いが入りそうで、動きは限定的か。ポンドはトランプ大統領が月曜日から水曜日まで訪英し、ジョンソン首相などと会う予定(本来の訪英目的はNATO会合出席)。結果的にジョンソン氏の支持率を下げるような発言が出てきた場合は、ポンド売りも。1.2820近辺が大きなサポートとなっているだけに、ここを抜けてくるようだと要注意。
3日に政策金利発表を控える豪中銀は、据え置きが見込まれており、波乱要素は少ないか。声明などに注目が集まるところ。米中協議の進展期待が継続する中で対円での下値はしっかりとなりそう。豪ドル円は75円を意識する展開に。
用語の解説
YouGov | 英国に本社を置くインターネットベースでの市場調査会社。ロンドン証券取引所に上場。米国・欧州・中東・アジアなどでも活動。英総選挙や米大統領・連邦議会選挙などでは、各種メディアと共に世論調査を実施している。 |
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MRP方式 | 英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(USL:ロンドン大学群の一つ)のベン・ローダデール教授による統計手法を基にした議席予測手法。2017年の英選挙において、多くの世論調査結果が保守党の過半数超えを予想していたのに対して、過半数割れによるハングパーラメントを正確に予想していたことで知られている。 |
今週の注目指標
ISM製造業景気指数(11月) 12月03日00:00 ☆☆☆ | 前々回9月分が約10年ぶりの低水準である47.8となった同指標。前回は48.3と改善を見せたが、予想の48.9に届かず、また好悪判断の境となる50を3カ月連続で下回る結果となった。今回は49.2が見込まれており、2カ月連続での改善見込み。もっとも4カ月連続での50割れが見込まれており、反応が難しいところ。予想を超えて50も超えるような強めの数字が出てくるとドル買い材料に。ドル円は110円を試しに行く動きも期待されるところ。 |
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豪中銀政策金利発表 12月03日12:30 ☆☆☆ | 今年に入って6月、7月、10月と3度の利下げを実施した豪中銀。前回11月の理事会では据え置きとなったが、その後発表された議事要旨で利下げが検討されたことが示され、今後の追加利下げ期待が広がっている。今回は据え置き見通しでほぼ一致しているが、市場は来年の早い段階での追加利下げを期待しており、声明などで利下げ示唆がみられるかがポイントに。追加利下げ期待が広がると豪ドル売りの材料に。豪ドル円は73円台半ばがターゲット。 |
米雇用統計(11月) 12月6日22:30 ☆☆☆ | 前回10月分の雇用統計は、非農業部門雇用者数が予想を超える+12.8万人となった。水準的にはやや低いが、自動車大手GMの大規模ストライキが影響し、自動車を含む製造業が-3.6万人と2009年以降で最も大きな減少となったことが背景。今回はその反動もあって+18.8万人と強めの数字が見込まれている。前回の雇用統計では景気が比較的いい場合に上昇しやすいレジャー&ホスピタリティ部門が大きく伸びるなど、米景気の底堅さが示されている。今回の雇用統計で予想もしくはそれ以上の好結果が出ると、米雇用市場への信頼感が高まり、当面の金利据え置き期待につながる形でドル買いを誘いそう。ドル円は110円台半ば超えの動きも期待されるところに。 |
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