2019年12月23日号

(2019年12月16日~2019年12月20日)

先週の為替相場

クリスマスを前に様子見ムード

 16日からの週は主要通貨が軒並みレンジ取引となり、模様眺めムードが広がる展開となった。

 クリスマスを控え、取引参加者も減ってきており、積極的な取引を手控える動きが広がった。

 ドル円は109円台での推移が続いた。米中通商協議の第一弾合意を好感し、下がったところではドル買い円売りが出る流れで、109円台半ばを超える場面が見られた。しかし、前週末の高値109円70銭前後が重くなっており、16日、19日の2度の上値トライも109円70銭手前まで。

 上値の重さもあって、19日のNY市場で米中古住宅販売件数などの弱い数字をきっかけにドル売りが出る場面も見られた。だが、109円20銭割れまでの下げにとどまるなど、下値も限定的に。

 その後週末を前に109円台半ばを回復するなど、上下ともに方向性に欠ける展開が続いた。

 12日の英下院選挙で与党保守党が圧勝し、英国のEU離脱の動きが進展するとの期待感から、13日の市場で急騰を見せたポンドは、週明けからポンド売りが強まる展開に。

 ポジション調整の売りに頭を抑えられた後、ジョンソン英首相が来年末までとなっているEU離脱の移行期間(用語説明1)について期限の延長を回避する立法(用語説明2)を計画との報道が重石となった。合意期限である1月末までにEUからの離脱が成立したとして、EUとの貿易協議の期間が11カ月ほどしかないのではあまりに短く、協議がまとまらない形での合意なき離脱に陥るのではとの懸念がポンド売りにつながった。

 選挙を受けて1.30台から1.35台まで上昇したポンドは、1.33台で先週の週明けを迎えた。一時1.34台回復も、その後は売りが優勢となり、週末を前に1.2990近辺と、選挙前の水準を割り込むところまで値を落とした。

 ポンド円も同様で143円前後から選挙を受け、13日東京市場午前に148円手前まで上昇。その後、146円近辺で週明けを迎え、146円80銭前後まで上昇する場面も、週末を前に142円割れまで。

今週の見通し

 クリスマスウィークで動意に乏しい。

 今週はクリスマスウィークということで、欧米を中心に取引参加者が極端に少ない週となっている。

 主要経済指標もいくつかの例外を除いて先週までに前倒しで発表されており、材料に欠けることも、市場の様子見ムードを高めている。

 ドル円は109円台を中心にしたレンジ取引が見込まれる。25日は日本や中国など一部の国・地域を除いて世界の多くの国が休場。26日も休場のところが多く、取引参加者の中には週の初めから休暇を取っているものも多い。積極的な取引を手控える動きが続くと予想される。

 先週、12日の英下院選挙後の上昇分を解消するなど、ここにきて売りが優勢となっているポンドは、今週は安値圏でのもみ合いが中心となりそう。ポンドドルは1.30ちょうど前後を中心とした推移か。1.3100手前あたりで売りが入りそう。

 ポンド円も同様でレンジ取引が期待されるところに。142円ちょうど近辺のサポートをしっかり割り込むといったん売りが出る可能性も、値幅は限定的なものにとどまりそう。

 先週後半にかけて売りがやや優勢となったユーロは対ドルで1.10台後半を中心にした動きか。1.1150近辺が目先の上値抵抗水準として意識されるところに。ユーロ円は121円台を中心とした値動きを期待。122円をしっかり超えると流れが変わる可能性も。

用語の解説

EU離脱移行期間 英国のEU離脱に際し、急激な環境の変化による企業活動や市民生活の混乱を回避するための期間。離脱日をもって英EU加盟国ではなくなるが、移行期間中はEU法が適用され、EU加盟時と同じ環境が保たれる。この間に英国とEUの間で通商交渉を成立させ、移行期間終了とともに発効させる必要がある。
移行期限延長回避 EUの離脱移行期間は、2020年末が期限となっているが、当初の取り決めで、1回に限り最長2年の移行期間延期が可能となっている。しかし、ジョンソン英首相は早期の完全離脱を実現するため、20日に可決したEU離脱の基本方針に関する審議の関連法案として、移行期間の延長を禁止する条項を関連法案として提出した。年明けの最終審議を経て可決された場合、来年末の移行期限が確定し、それまでにEUと自由貿易協定(FTA)を締結ができなかった場合は、WTO規則に沿って両者間の貿易に関税が発生する形となる。

今週の注目指標

米耐久財受注(11月)
12月23日22:30
☆☆
 20日に発表された米第3四半期GDP確報値は、前期比年率+2.1%とまずまずの水準も、トランプ大統領が目標とする3.0%からはかなり低い水準にとどまった。設備投資が-2.3%と全体の足を引っ張っており、企業景況感の悪化などが経済成長の重石となっている印象を与えていた。こうした中、設備投資との関連が高い耐久財受注の数字に注目が集まっている。前回10月分は総合・変動の激しい輸送部門を除いたコアともに+0.5%(確報値・速報時点では共に+0.6%)と、ともに予想を大きく超える好結果。耐久財受注は9月分が予想を下回りともにマイナス圏(総合-1.4%、コア-0.4%)と厳しい数字だっただけに、第4四半期の設備投資の回復を期待させる数字となった。内訳のうち、特にGDPとの関係が深いといわれる航空機を除く非国防資本財(コア資本財)の受注は予想の-0.2%に対して+1.1%と今年1月以来の好結果となっている。今回の予想は耐久財受注が+1.5%、輸送部門を除いたコアが+0.2%、コア資本財が+0.2%と、可もなく不可もなくという数字で反応が難しい。コア資本財の数字が前回同様に予想を大きく超えて伸びてくると、米第4四半期GDPへの期待感が強まり、ドル買いの材料となりそう。ドル円は109円台後半をトライする流れが期待される。
米新築住宅販売件数(11月)
12月24日00:00
☆☆
 11月の米新築住宅販売件数が23日夜に発表される。先週発表された中古住宅販売件数は予想を下回る535万件(年率換算)と2カ月ぶりに前月比で減少となった。米住宅市場には住宅ローンの低下という追い風が吹いているが、中古住宅に続いて新築住宅でも販売件数の伸びが鈍るようだと、楽観的な見方に陰りが生じる可能性も。予想は73.0万件と前回の73.3万件と同程度が見込まれているが、予想を大きく下回るとドル売りにつながりそう。ドル円は109円20銭台トライも。
クリスマス
12月25日
☆☆☆
 クリスマスは日本や中国など一部の国を除いて世界的に祝日となり、市場も休場する。前後も含めて休暇を取る参加者も多く、1年のうちで取引が最も閑散な週となることがほとんど。外国為替市場の場合、市場休場日でもある程度の参加者が残ることが通常であるが、クリスマスなど一部の休日は参加者がほとんどいないことでも知られている。取引がほとんど見られない分、相場は膠着することがほとんどだが、何らかの理由で大口の売り買いが入った場合、市場の値動きが荒っぽいものになることがある点には要注意。

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