2020年02月25日号

(2020年02月17日~2020年02月21日)

先週の為替相場

激しい動きに

 2月17日からの週は、週の半ばから一気にドル買い円売りが進む展開となった。

 今月に入ってのユーロドルを中心としたドル買いの動きが継続する中、ドル円に関しては週の半ばまで110円ちょうど近辺に頭を抑える展開。

 19日の東京市場で110円台に乗せると、同日のロンドン市場で一気にドル買い円売りが進行。17日の日本の第4四半期GDPが前期比年率-6.3%と予想をはるかに超える弱い数字となり、日本経済に対する警戒感が広がっていた。さらに19日の日本の12月機械受注の弱さで警戒感が拡大。20日の中国人民銀行による利下げへの期待感なども加わってドル買いが入ったことなども要因とされるなど、複数の要因が重なり合って19日の海外市場で111円台後半まで買いが入る展開となった。

 その後の高値からの調整局面でも111円台を維持するなどドル高円安の動きが続く中で、20日の海外市場でもドル高円安の動きが継続し、ドル円は112円台に乗せる動きとなった。

 横浜港に接岸するクルーズ船での新型コロナウイルス感染者数の拡大が海外でも報じられ、日本売りになっているのではとの見通しも広がっていた。

 112円23銭まで上値を伸ばした後は調整が入る展開に。21日に発表された2月の米PMI(購買担当者景気指数)が景気判断の境となる50を下回り、1993年以来の低水準である49.6を記録したことで、ドル売りが入った面も。ドル円は111円台半ば近辺まで調整が入る展開に。

 クロス円も同様に上昇。ユーロ円は118円台半ばから121円40銭近辺まで。豪ドル円は73円20銭前後から74円台半ば近くまで上昇。

 今月に入って売りが目立つユーロドルは先週後半まで頭の重い展開に。ユーロドルは1.0780割れまで。もっとも1.07台での売りには慎重で、もみ合いが続く中で週末の米PMIの弱い結果を受けたドル売りに1.0860台に。

今週の見通し

 新型コロナウイルス懸念で非常に不安定な展開に。

 中国経済の鈍化懸念が、世界的な景気の不透明感につながっており、各国での利下げ期待が拡大。今年中は据え置きが濃厚とされていた米FOMCについても、金利市場は年内2回の利下げを織り込むところまで利下げ期待が広がってきている。

 リスク警戒の動きが広がる中で、新興国通貨売りの動きも広がる展開に。緩和余地の小さい日本円の買いが強まるかどうかがポイントとなりそう。

 先週は日本株安円安という日本売りの動きが見られた。有事の円買いに反する形だが、有事のドル買い(用語説明1)は90年代の湾岸戦争以降、米国が当事者となるケースでは効かず、2001年の米同時多発テロなどでもドル売りが広がったように、日本が当事国の一つという認識が世界的に広がる中では円売りが入る可能性は十分にある。

 しかし、イタリアなどで感染者が拡大し、世界的なパンデミック(用語説明2)危機が広がる中では、再び有事の円買いが入る可能性もあり、非常に不安定な状況。

 今後の流れを見極めながらの展開が続くとみられる。

 先週末の米PMIの弱さも気になるところ。今月発表された米ISM製造業景気指数や米雇用統計の堅調な数字を受けて、米国独り勝ちの状況が広がっていた。しかし、景況感の急速な悪化で、そうした状況にも変化が出てくる可能性。この場合ドル売りが広がる局面も。

 ドル円はかなり不安定な展開の中、下方向のリスクをやや警戒する流れか。ポイントは110円ちょうど前後。ここをしっかり割り込むと流れが大きく変わりそう。

用語の解説

有事のドル買い戦争など世界的に大きな不確定要素が生じると、相場の先行きが不安定な状況になる。そうした際に、流動性が高い米ドルに投資資金が集まるという状況。古くからの経験則であったが、1991年の湾岸戦争開戦後にドル売りが広がるなど、米国が当事国となった場合は当てはまらないケースが多い。2001年の同時多発テロ事件の際もドル売りが一気に広がる場面が見られた。
パンデミックパンデミック(pandemic)とは日本語で感染爆発という意味になり、感染症・伝染病が国中もしくは世界中で大流行する状況。14世紀のヨーロッパでのペスト、1918年から19年にかけて世界的に流行したスペイン風邪などが代表的な状況。WHO(世界保健機構)では6つの段階に分けてパンデミックを評価しているが、現状では将来の可能性については認めたものの、宣言には時期尚早としている。

今週の注目指標

米コンファレンスボード消費者信頼感指数(2月)
2月26日00:00
☆☆
 先週末に発表された米購買担当者景気指数(PMI)は、景気の拡大・収縮判断の基準となる50を割り込み、1993年以来の低水準となった。新型コロナウイルスの感染拡大懸念などが米企業の景況感にかなり深刻な影響を与えている状況が意識された。そうした中、家計部門の景況感に対する注目が集まっており、同指標が注目されている。雇用市場が堅調な推移を見せていることもあり、事前予想では前回1月分を上回ると期待されているが、予想外に悪化すると米株安ドル安の動きが広がる可能性も。ドル円は110円割れを意識する展開に。
米第4四半期GDP(改定値)
2月27日22:30
☆☆☆
 速報値ベースでは前期比年率+2.1%と堅調な成長を見せた同指標。第3四半期強めに出た個人消費が鈍化したものの、貿易収支の改善が見られ、第3四半期と同じ伸び率を記録した。先週発表された日本の第4四半期GDPが前期比年率-6.3%と衝撃的な弱さに。ドイツの第4四半期GDPも前期比変わらずとかなり厳しい状況が見られる中で、米景気の堅調さが印象付けられた。予想は速報値と変わらず+2.1%が見込まれているが、速報時点ではかなり弱かった在庫投資が上方修正されるなどの動きが見られると前回の数字が押し上げられる可能性も。この場合ドル買いの安心感が広がる可能性も。ドル円は111円台後半に向けた動きが期待される。
米耐久財受注(1月)
2月27日22:30
☆☆
 第4四半期GDPと同時に発表される1月の米耐久財受注速報値。前回は航空機受注もあり全体の数字が強かったものの、注目度が高い輸送部門を除いたコアは-0.1%と冴えない数字となっていた。今回は+0.2%と改善が見込まれている。GDPとの関連で注目される非国防資本財受注も前回の-0.8%から+0.1%への改善が見込まれている。予想通りもしくはそれ以上の数字が出てくると、個人消費などの堅調さの陰で、やや弱い米国の設備投資の改善期待に繋がりドル買いも。ドル円は111円台にしっかり乗せる動きにつながる期待も。

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