2020年04月13日号

(2020年04月06日~2020年04月10日)

先週の為替相場

一時ドル高円安優勢も続かず

 4月6日からの週は、週の初めにドル高円安が強まる展開となった。もっとも109円台半ばからの買いには慎重で、110円を試すことができず、その後はやや頭の重いもみ合いに。

 金曜日がグッドフライデーで米国、欧州、英国、豪州、NZ、香港など多くの国が休場。イースターマンデーとなる月曜日は米国市場が再開するが、欧州などその他の国では休暇が続く。長期休場を前にしたポジション調整の動きが広がり、週の後半はドル安円高が進行。ドル円は108円台前半まで値を落とした。

 5日のクオモNY州知事(用語説明1)の会見では、州内の死亡者数の増加ペースが鈍化したと報じられた。新型コロナウイルス感染の収束への期待感などからドル円は買いが入る展開に。リスク選好の動きから、週明けの米株式市場が堅調な動きに。ダウ平均株価が一時1700ドル以上上昇するなどの動きを見せ、ドル円の支えとなった。もっとも109円台半ばからの買いには慎重。

 その後は109円台を何度か試すものの上値が若干重くなった。英国のジョンソン首相の容体が一時悪化し、集中治療室に搬送されたと報じられたことなども警戒感を誘った。

 週の半ばまでは若干頭が重いもののもみ合いの展開となったが、週の後半にかけてはドル売り円買いが優勢に。

 ユーロ圏財務相会合(ユーログループ・用語説明2)で新型コロナウイルス対策での合意がなかなかまとまらなかったことなどが警戒感を誘った。

 米FRBが9日に新型コロナウイルス対応の新規支援策として最大2.3兆ドルの供給を発表。ドルひっ迫感の後退を誘うとしてドル売りにつながった面も。

 難航していたユーログループでの景気対策が合意され、OPECプラスも協調減産で暫定合意したことなどが報じられた。しかし、連休前のポジション調整もあってドル円は頭の重い展開が続き、108円台前半に。

 ユーロドルはしっかりの展開。週初はドル高の影響もあって1.0760台を付ける動きが見られたが、その後ユーロ買いの動きが広がった。欧州で新型コロナウイルスの感染の収束への期待が広がり、ユーロ買いの動きに。オーストリアは14日からロックアウトを段階的に解除すると発表。チェコは9日からホームセンターなどの営業再開を許可した。感染被害が深刻なイタリアでも来月からの段階的に解除する方針であることが一部で報じられるなど、状況の改善と、今後の復興に向けた動きが広がる中でユーロ買いの動きに。

 難航していたユーログループ(ユーロ圏財務相会合)での、協調景気対策は、欧州安定メカニズム(ESM)などを活用した5400億ユーロ規模の経済対策で合意。こちらもユーロの支えとなった。

 ポンドも堅調な地合いに。ジョンソン首相の容体が一時悪化し、集中治療室に搬送されたとの報道で急落する場面が見られ、報道があった6日の海外市場で1.2160台まで値を落とす場面も、その後盛り返した。週末に首相は容体が安定して一般病棟に戻るなど、1.24台後半までのポンド買いに寄与した。

今週の見通し

 リスク選好への期待感も、当面は神経質な展開に、

 欧州・米国での新型コロナウイルスの感染拡大の山場を過ぎたという期待が徐々に強まってきている。経済的な復興が本格化するのは早くても第3四半期とみられるが、市場は期待感で動く面が大きく、ロックアウトの段階的解除の動きが広がると、リスク選好の動きに。

 米国、特に米国市場の中心であり、今回の被害が最も深刻な地域の一つであるNYでの段階的解除の動きが広がると、もう一段のリスク選好につながりそう。

 もっとも、状況はまだまだ不透明で収束が確定したわけではない。再び感染が広がると、いったん期待が高まった分、反動も大きくなる可能性。

 ドル円は上方向への動きを期待も、下値リスクがまだ残っていることを意識しながらの動きに。

 107円台半ばから108円台にかけてのレンジを基本に、109円台への回復を期待。もっとも、106円台半ばぐらいまでの調整の可能性も意識という展開。

 ユーロやポンドも買い戻しの動きが期待される。ただ、ユーロに関してはユーロ共同債の発行で合意できなかったことが、今後どこまで影響してくるのかがポイントに。世界中で復興の流れが強まる中で、ユーロ圏の回復が遅れるようだと、大きな売り材料に。

 もっとも目先は米国に先駆けて欧州のピークアウトが進みそうで、ユーロドルは底堅い動きが期待される。1.10台の本格回復を意識。

用語の解説

クオモNY州知事 アンドリュー・クオモ(Andrew Cuomo)。デビッド・パターソン氏の後を受けて第56代ニューヨーク州知事を務める。父親のマリオ・クオモは1983年から95年までNY州知事を務めており、父子2代にわたってNY州知事となっている。93年から米住宅都市開発省(HUD)のメンバーとなり、97年クリントン政権下で同省長官に就任。クリントン政権が存続した2001年まで同職を務めた。NY州司法長官を経て、11年から現職。
ユーロ圏財務相会合 EU加盟国の中で、ユーロに加盟する国の財務相による会合。ユーロに関する案件を議論するにあたってユーロ非加盟国も参加するEU財務相会合では不向きということもあり、当初は非公式会合として始まった。2005年から常任議長を置き、初代議長にユンケル・ルクセンブルグ首相(当時は兼任で財務相)が就いた。09年のリスボン条約により法定化された。現在の議長はセンテーノ・ポルトガル財務相。

今週の注目指標

米新規失業保険申請件数
(4月5日-4月11日)
4月16日21:30
☆☆
 直近3回の新規失業保険申請件数は3月15日から21日の週が330.7万件(速報時328.3万件)、22日から28日の週が686.7万件(速報時664.8万件)、29日から4月4日の週が660.6万件と、3週で1600万件を超えた。わずか3週で全米の就業者の約10人に1人が新規に失業したということになり、状況の深刻さを意識させた。今回の予想は460.6万件となっており、予想通りの数字が出ると、1カ月で2千万を超える失業者が出た形となる。米雇用市場の深刻な状況に対する認識が広がっているだけに、相場への影響は限定的とみられる。ただ、予想をさらに超える数字が出てくると、警戒感からのドル安円高に。ドル円は106円台を意識も。
中国第2四半期GDP
4月17日11:00
☆☆☆
 新型コロナウイルスの感染震源地とされる武漢市の封鎖が今月8日に解除されるなど、復興が続く中国。17日発表の第1四半期GDPは、中国経済がどの程度、感染拡大の影響が経済的に出ているのかを示す重要な指標となる。予想は前年比-6.0%。昨年第4四半期は+6.0%。このところ6%超の成長を続けてきた中国にとって、かなり深刻な数字となる。前期比は-11.2%と前回の+1.5%から大きく低下見込み。予想程度の数字は織り込み済みも、予想を超えるマイナス幅を示すようだと、44年ぶりとなる通年でのマイナス成長の可能性が広がり、リスク警戒の動きに。豪ドルなどに売り圧力が出ると見られ、豪ドル円は67円台への低下も。
中国鉱工業生産・小売売上高
(3月)
4月17日11:00
☆☆
 中国第1四半期GDPと同時に発表されるのが、3月の中国鉱工業生産・小売売上高。3月に入ると武漢市など感染がひどかった地域を除いて復興が進みつつあっただけに、1、2月の状況からどこまで回復が見られるかが注目ポイントに。なお、中国は春節のお休みが旧暦で決まるため1月後半から2月前半の間で年によって違うこともあり、1、2月は月次の数字ではなく、2月までの年初来前年比が示される。今回の予想は鉱工業生産が3月までの年初来前年比で-8.1%と、2月までの-13.5%から改善見込み、3月月次の前年比は-7.0%となっている。小売売上高は3月までの年初来前年比が-12.3%。こちらも2月までの-20.5%から改善見込み、3月月次の前年比は-10.0%となっている。依然厳しい数字ながら前回からの改善が見込まれると、4月以降の復興への期待につながり豪ドル買いも。豪ドル円は70円を意識する動きも。

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