2020年04月20日号

(2020年04月13日~2020年04月17日)

先週の為替相場

週前半はドル安もその後戻す

 4月13日からの週は、週の前半にドル安が優勢となったものの、その後はドルの買い戻しが優勢となった。イースター明けの市場で株安の動きが見られたことで、ドル売りの動きが優勢に。

 米FRBの積極的な緩和姿勢への期待もあり、ドルは一時全面安の動きが見られ、ドル円は107円割れまで下落した。

 もっとも、その後は買い戻しが優勢に。106円台でのドル売りに慎重姿勢が見られ、少し値を戻すと、その後はNY原油の下げや米指標の弱さなどで市場の警戒感が強まる中でドルが買われるという流れに。一時はドル需要のひっ迫感が後退していたが、天然資源価格の下落などを受けた新興国通貨売りドル買いの動きが期待される中で、再びリスク警戒感=ドル買いの反応が優勢となった。

 何度かトライした108円台ではドル買いに慎重な動きが見られ、頭の重い展開に。安値も107円台前半までとなっており、107円台中心の展開となった。

 ユーロドルは週前半のドル安基調の中で1.0980台まで上昇。もっとも1.10手前の売りに頭を抑えられたことでユーロ売りドル買いに。米指標の弱さなどでリスク警戒の動きが広がる中で、ドルひっ迫感への警戒感がユーロ売りドル買いに。

 新型コロナウイルスによる需要減退の思惑から、NY原油が軟調。先進国の中で唯一の純産油国であるカナダの売りを誘った。NY原油先物が20ドルを割り込んだ15日にドル買いカナダ売りの動きが強まり1.38台から1.41台までの大幅なドル高カナダ安に。その後1.4180台まで上値を伸ばした。カナダ円も77円台から76円割れまでカナダ安が進行。

 その他目立ったところでは14日に南ア中銀が緊急利下げを実施。同国にとって最低水準となる4.25%とした。新型コロナウイルスの感染被害が広がる中、ロックダウンの延長を決めたことで、中銀が景気刺激の姿勢を強めたもの。

 南アランドは先月格付け大手ムーディーズ(用語説明1)が同国の格付けをジャンク級まで引き下げたことでランド安が進み、ドルランドが19.30台までのドル高ランド安に。その後18.00割れまで値を落としていたが、今回の利下げもあって再び19.00近くまでドル高ランド安が進む展開となっている。

今週の見通し

 新型コロナウイルスの感染拡大一服への期待感も、不安定な展開続く。

 感染者数が75万人超と世界で最も多い米国。その中でも被害が深刻なNY州(用語説明2)でクオモ知事が最悪期は過ぎたと発言するなど、状況が落ち着くとの見通しが広がっており、世界的なリスク警戒の動きが一服するのではと期待されている。

 もっとも、依然として不安定な状況で、感染被害が再び拡大する可能性を否定できるものではない以上、積極的なリスク選好に動きにくい面も。

 今回の新型コロナウイルスの感染拡大で、世界的に行動制限などが広がる中、経済的な体力のない新興国の状況が特に懸念されている。格付けの引き下げなどを通じて通貨の信用力が低下すると、中長期的なドル買い新興国通貨売りの流れもありそう。

 ドル円に関してはリスク警戒感が高まる局面でドル買いが出るケースと円買いが優勢になるケースがあり、いずれのケースも一方向の動きが進みにくい。107円台から108円台にかけてのレンジを中心に、新型コロナウイルスの動向をにらむ展開に。

 見通しはややドル売り円買い方向。FRBによる積極的な供給姿勢がドルを売りやすい地合いに。107円割れの動きに要注意。

用語の解説

ムーディーズ ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、米国の民間格付け会社。格付け会社は各国に多数あるが、同社とS&P(スタンダード&プアーズ)、フィッチ・インベスターズが3大格付け会社として債券市場などでは重要視されている。なお、S&Pやフィッチさらにはその他多くの格付け会社では最高格付けをAAAで表すが、同社はAaaという表記になるなど、少し違いがある。
NY州 State of New York。米国北東部にある州。経済の中心地であるNY市を有している。NY市自体はNY州の南端にあり、州はそこからカナダ国境まであり、北部には工業都市であるバッファローやロチェスターなどが位置しており、観光名所として名高いナイヤガラの滝などがある。都市としての人口はNY市が米国で最も多いが、州全体の人口では4番目となっている。

今週の注目指標

トルコ中銀政策金利
4月22日20:00
☆☆
 昨年7月の中銀総裁交代以降、会合毎に金利を引き下げているトルコ中銀。新型コロナウイルスの影響を受け、先月は定例会合を前倒しして1.00%の利下げを実施し、現状の金利は9.75%と10%を割り込んできた。昨年7月の利下げ前は24.00%となっており、そこから14.25%の大幅低下。トルコの消費者物価指数は直近(3月分)で前年比11.86%の上昇となっており、すでに実質金利(名目金利-インフレ率)はマイナスとなっている。もっとも同国でも新型コロナウイルスによる感染者数が8万人を超え、行動制限などが続く中で、中銀のテコ入れが必要で、今回も利下げが見込まれている。予想は0.5%の利下げで9.25%へ。それ以上の利下げを見込む専門家も多く、注目されるところに。実質金利のマイナス幅拡大への警戒感もあり、利下げ幅が予想を超えてくるようだと、トルコリラ売りも。リラ円は直近サポートとなっている15円45銭割れも意識。
独製造業・非製造業PMI(4月)
4月23日16:30
☆☆☆
 ユーロ圏及び主要加盟国の購買担当者景気指数(PMI)が23日に発表される。特に注目は16時半のドイツと17時のユーロ圏全体の数字。3月時点で行動制限などの影響をより厳しく受けるサービス業(非製造業)のPMIを中心にかなりの落ち込みとなった。今回も厳しい数字が続くと見込まれている。ドイツの製造業PMIは前回45.4(速報時45.7)と前々回の48.0から悪化した。今回は39.0とさらに落ち込みが見込まれている。非製造業に比べると落ち込みは抑えられているが厳しい状況が続く。非製造業は前回31.7(速報時34.5)と過去最低水準を更新した。今回はさらに落ち込み28.1が見込まれている。ユーロ圏の非製造業PMIが前回26.4、今回の見込みが23.0と、ドイツ以上に落ち込んでいるなど、欧州全体で非製造業の景況感がかなり深刻な状況に。予想をさらに超えて落ち込みが目立つとユーロ買いに慎重な姿勢も。ユーロドルは今月の安値1.0760台を意識する展開に。
米新規失業保険申請件数
(4月12日-18日分)
4月23日21:30
☆☆
 ここ4週間で新規失業保険申請件数の合計は2200万件に迫っている。それだけの新規失業者が出たということで、米国全体の雇用者数(農業部門除く)が約1.5億人ということを考えると、全体の約15%が失業した格好となる。今回も450万件が見込まれており、厳しい状況が続く。予想を超えて件数が増えた場合、今後の雇用市場の回復の遅れが意識され、リスク警戒感からの円買いも予想され、ドル円は107円割れを意識も。

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