2021年01月25日号

(2021年01月18日~2021年01月22日)

先週の為替相場

ドル円はもみあい、ユーロドルは買い戻しが目立つ展開に

 1月18日からの週はレンジ取引が中心の展開となった。

 先週初めはNY市場がキング牧師の日で休場の中、ドル高円高の動きとなった。ユーロドルは15日の海外市場で見られたユーロ売りドル買いの流れが継続し、一時1.2050台まで値を落とす展開。ユーロは対円でも重く、欧州通貨安ドル高円高の流れに。

 イタリアの政局不安によるユーロ売りなどが動きを主導した。イタリアの第2次コンテ政権で連立与党の一角であった「イタリア・ビバ」が連立を離脱。残されたイタリア民主党と同盟だけでは上院での過半数を確保できなかったこともあり、コンテ首相の信任投票が行われることとなり、市場の警戒感を誘った。

 ドル円はドル高と円高の綱引きとなり、103円台後半での推移が続いた。

 19日に入ってリスク選好でのドル売り円売りの動きが強まった。バイデン氏が次期財務長官に指名したイエレン前FRB議長の上院財政委員会での指名承認公聴会(用語説明1)を前に、新政権での景気支援への強い姿勢が示されるとの期待が広がった。

 米債利回りの上昇もあってドル円は一時104円台まで上昇。ただ、104円台での買いには慎重姿勢も見られ、その後はポジション調整売りの動きが広がった。

 その後は、米MBA住宅ローン申請件数(用語説明2)の弱い数字などを受けて米債利回りの上昇が一服したこともあり、ドル売り円買いの動きが優勢に。ドル円は103円台前半へ値を落とした。

 もっとも値幅的には大きなものにならず、103円台前半では買い意欲も見られる中で、週末を前に調整が入り、103円80銭前後まで値を戻して週の取引を終えた。

 ユーロドルは週初の下げから一転してユーロ買いドル売りが優勢に。コンテ伊首相の信任投票はぎりぎりとみられた上院でも無事に通過し、市場に安心感を与えた。

 ユーロポンドでストップロス注文に絡んだ積極的なユーロ売りポンド買いが出た20日にユーロドルが1.2150台から1.2070台まで値を落とす場面が見られたが、その後はユーロ買い基調に復するなど、堅調な地合いが続いた。

 21日のECB理事会も目立ったサプライズはなく、ユーロ高トレンドが継続する形で週末には1.2190前後まで上値を伸ばした。ユーロ円も先週初めの125円00銭台から週の終わりには126円40銭前後を付ける動きに。

今週の見通し

 ドル円は103円台後半を中心に、次の方向性を探る展開となっている。

 米追加経済対策期待でのリスク選好の流れは継続。ドル円は下値しっかり感が強いが、上値をトライするだけの勢いに欠ける展開。

 米長期債利回りに関しては一時の上昇は一服も、10年債利回りは節目である1%を超える水準での推移が続いており、機関投資家からのある程度のドル買いを誘いそう。もっとも104円台を買い上げるにはやや勢い不足か。

 今週予定されている米連邦公開市場委員会(FOMC)や米第4四半期GDP速報値などの結果、リスク選好の流れがさらに強まるようだとドル売りと円売りが広がる可能性も。

 今年最初のFOMCでは投票権を持つメンバーが昨年よりもハト派にシフトする(FOMCではFRB議長などを含めたFRB理事とNY連銀総裁が常任、11地区の地区連銀総裁は4人が持ち回りで投票権を持つ)。また先月加わったウォラー理事もハト派として有名なだけに、これまでよりもより景気支援姿勢を強めてくる可能性。

 声明などで当面の量的緩和縮小の議論開始をしっかりと否定し、さらに追加緩和の可能性を示してくるようだと、ドル売りがもう一段強まる可能性も。

 基本は103円台でのレンジ取引ながら、リスクはやや下方向で、ターゲットは102円台前半といったところか。

 ユーロドルは一時の下げが一服しており、買い戻しの動きが広がっている。ユーロ圏PMIの比較的強めの結果もあり、新型コロナウイルス感染拡大による景気鈍化が懸念されたほどではないとの思惑も。

 イタリアの政局不安も収まっており、ユーロ買いドル売りからドル売りがもう一段進む可能性も。ユーロドルは1月13日に付けた1.2220台をしっかり超えると、1.23台が視野に。

用語の解説

指名承認公聴会 米大統領は大臣に相当する各省庁の長官人事について、候補者を指名する権限を有しているが、就任には上院本会議での承認が必要となる。本会議の採決の前に、担当する上院の委員会(財務長官の場合は財政委員会)で長官候補者の資質などを判断するための公聴会を行い、その内容を踏まえて委員会で採決し、承認されると、本会議での採決に回り、過半数の賛成で承認となる。
MBA住宅ローン申請件数 米抵当銀行協会(The Mortgage Bankers Association)が、毎週水曜日に発表する個人の住宅ローン申請件数を指数化した指標。1990年3月16日を100として基準としている。住宅販売契約締結の前にローン申請が行われることから、住宅市場の先行指標として意識されている。なお、あくまで申請件数のため、1人が複数件の住宅ローンを申請した場合はすべて計算に入るなどの注意点がある。

今週の注目指標

米FOMC
1月28日04:00
☆☆☆
 今年最初の米連邦公開市場委員会(FOMC)が26、27日に開催される。政策金利、量的緩和に関しては現状維持が見込まれている。先月あたりから一部メンバーからアフターコロナの話題が出てき始めており、今年終盤を目途に量的緩和の縮小(テーパリング)の議論を開始する可能性への言及があった。もっともパウエル議長は時期尚早として否定的。声明などで当面の量的緩和継続の姿勢が強調されるようだとドル売りの動きも。また、量的緩和での購入債券の平均残存期間(デュレーション)長期化などの追加緩和の可能性に触れるようだと、ドル売りがもう一段加速する可能性も。ドル円は102円に向けた動きに。
米第4四半期GDP速報値
1月28日22:30
☆☆☆
 新型コロナウイルス感染拡大の影響で第1四半期、第2四半期とマイナス成長となった米GDPは、第3四半期に+33.4%と過去最大の伸び率を記録した。もっとも第1、第2四半期での縮小規模に届いておらず、第4四半期も+4.1%と堅調な伸びが期待されている。ただ、年終盤になって広がる新型コロナウイルスの感染第3波の影響がどこまで出ているのかが懸念材料。前期大きな回復を見せ全体を押し上げた飲食サービス・宿泊部門などの数字は、かなり厳しいものとなっている可能性が高く、全体の数字も期待ほどの伸びを見せない可能性も。予想を下回る伸びとなった場合、リスク警戒のドル買いも。ユーロドルが1.20台を試すなどの動きが見込まれるところ。
中国製造業PMI
1月31日10:00
☆☆
 新型コロナウイルスの影響をいち早く脱し、経済の再生が目立つ中国。31日の日曜日に1月の製造業PMI(購買担当者景気指数)及び非製造業PMIが発表される。注目度の高い製造業PMIは昨年2月に35.7を付けたものの、3月以降好悪判断の境となる50超えが続いている。今回は前回の51.9から若干の悪化見込みも51.5と50超えを維持する見込み。非製造業も55.0と前回の55.7から若干の鈍化も高水準を維持する見込み。予想を超えて前回を上回るような数字が出ると、中国経済への期待感から資源国・新興国通貨買いなどにつながる可能性も。豪ドル円は81円台を意識する展開も。

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