2021年06月14日号

(2021年06月07日~2021年06月11日)

先週の為替相場

ドル比較的堅調

 6月7日からの週、ドル円は109円台でのレンジ取引が続いた。4日の米雇用統計が弱い結果となったことで、ドル円は110円台から109円台前半まで下落。もっとも109円台前半では買いが入る流れで、次の方向性を探る展開となった。

 米雇用統計の発表後に急落した米10年債利回りが週明けは若干回復する動きとなった。これを受けてドル円が109円60銭台まで買い戻される場面も見られたが、上値は重く、7日の海外市場で先週の安値となる109円19銭まで。下がると買いが入る流れは継続し、その後は少し買い戻しが入ってもみ合いに。

 米雇用統計を受けて1.2100台から1.21台後半に上昇し、週明けは1.21台半ば前後で始まったユーロドルが1.22台を付けるなど、先週前半は全般にドル安の流れに。

 10日のECB理事会と米消費者物価指数(CPI)に市場の注目が集まる中、それまでのドル買いポジションに対する調整がやや優勢となっていた。

 ECB理事会ではスタッフ予想での経済成長と物価の見通しが引き上げられたことで、いったんはユーロ買いの動きに。ただ、その後のラガルドECB総裁会見で超緩和的な政策を維持する姿勢が改めて示されたことを受けてユーロ売りが入るなど、売り買いが交錯する展開。振幅を経てECB理事会結果発表前の水準での推移となった。

 米CPIは予想を超える強い数字となり、発表直後はドル買いの動き。しかし、ドル円が109円80銭前後までの上昇にとどまるなど高値でのドル買いには慎重姿勢が見られ、ドル買い一服後は逆にドル売りが出る展開となった。1.2140台を付けたユーロドルも、1.2190台までユーロ買いドル売りが進んだ。

 週末にかけてはドル買いが優勢に。米CPI直後のドル高からの下げは109円20銭台まで。109円台前半でのしっかり感が強く、週末にかけてポジション調整からのドル買いが入る展開に。

 15、16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で示されるSEP(用語説明1)において、経済成長と物価の見通しが引き上げられる可能性が高いことに加え、2023年時点での利上げを見込むメンバーが増えるのではとの思惑がドル買いを誘った面も。

 ユーロドルが約1カ月ぶりに1.2100を割り込むなど、ドルは全面高の流れとなった。

今週の見通し

 15、16日のFOMC次第の面が強い。政策金利及び量的緩和については現状維持の見込み。量的緩和についてはテーパリングの開始示唆の期待が一時広がっていたが、今月発表された米雇用統計の弱い結果などを受けて、こうした観測はかなり後退している。

 注目はFOMC終了後の声明やパウエルFRB議長会見、3カ月に一度示されるFOMC参加メンバーによる経済見通しとなっている。

 FRBは物価の安定と雇用の最大化が二大命題であるが、イエレン前議長(現財務長官)、パウエル現議長ともに雇用をより重視する姿勢が目立っている。FOMCはメンバーによる合議制で政策を決めるとはいえ、議長提案が否決されたことは歴史上一度もなく、議長の姿勢がかなり色濃く出ることから、当面は現状の超緩和姿勢を維持してくる可能性が高い。

 ただ、先週発表された米消費者物価指数が前年比5.0%を記録したように、ここにきて米国の物価上昇傾向がかなり強い。FRBは現状の物価上昇を一時的なものであるとしているが、地区連銀総裁の一部などから警戒感が示されており、FOMCでも物価上昇につながる緩和姿勢を強調する流れに変化が生じる可能性も。

 今回のFOMCでのテーパリング示唆はまずないとみられ、早くても8月末のジャクソンホール会議(用語説明2)という見通しが一般的。ただ、SEPで物価見通しと経済成長見通しが引き上げられる可能性はそれなりに高い。物価見通しに関しては前回月3月のSEPで大きく上方修正されたが、そこからさらに上方修正が示されると、市場のテーパリング期待に拍車がかかりそう。

 また、ドットプロットにもかなりの注目が集まっている。前回3月のSEPでは、全18人のメンバー中7人が2023年末までの利上げ見通しを示した。金利据え置き派のうち数名が利上げ見通しに転じると、利上げ派が大勢になる。可能性は十分にありそうで、実現した場合ドル買いの動きが強まると見込まれる。

 ドル円はFOMCまでは様子見を続け、結果次第で一気のドル高も。110円台に乗せるだけでなく111円を目指す可能性がある。ユーロドルが1.20割れを試すような大きな動きも。

用語の解説

SEP SEP(Summary of Economic Projections)。年8回行われるFOMCのうち、3月、6月、9月、12月の4回、3カ月に一度のペースで示されるFOMC参加メンバーによる経済見通し報告。年末時点及び長期にわたっての経済成長率、失業率、インフレ率(PCEデフレータ及びPCEコアデフレータ)、政策金利の予想が示される。政策金利については全体をまとめた予想だけでなく、各メンバーの予想をドットで示したドットプロットも併せて公表される。なお地区連銀総裁については、その年の投票権を持つメンバーだけでなく、すべての地区連銀総裁の見通しが含まれたものとなる。
ジャクソンホール会議 毎年8月末に米カンザスシティー連銀が主催してワイオミング州にある避暑地ジャクソンホールで開催する経済シンポジウム。世界各国の中銀首脳や著名エコノミストなどが参加する。昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響でオンライン開催となったが、今年は8月26日から28日までの日程で対面式での実施が発表されている。同シンポジウムは歴代のFRB議長から金融政策の大きな変更に当たってのプレゼンテーションの場として利用されてきた。

今週の注目指標

米連邦公開市場委員会(FOMC)
6月17日03:00
☆☆
 FOMCで注目されるSEPでは、物価や経済成長見通しの上方修正が見込まれる一方、失業率予想については不透明な状況となっている。5月の米雇用統計では非農業部門雇用者数が予想を下回ったが、失業率については予想よりも低い(良い)結果となった。しかし、この数字は労働参加率の低下によってもたらされた可能性が高い。雇用情勢があまりよくないために求職活動を取りやめる人が増え、労働参加率が低下することで、結果的に失業率が低下(求職活動を行わないと、仕事をしていなくても失業者とはならず、計算自体から除外されるため)した場合、その後の景気回復局面で失業率はいったん悪化する。現在のFRBは雇用市場を重視しているため、失業率見通しがさえないと、緩和政策の長期化見通しにつながり、ドル売りを誘う可能性がある。ドル円は108円台への下落も。
トルコ中銀政策金利
6月17日20:00
☆☆☆ 
 トルコのエルドアン大統領が今月1日の同国メディアとのインタビューで「7月か8月には金利が低下し始める必要がある」と、利下げの必要性に言及したことで、トルコ中銀の姿勢が注目されている。大統領はカブジュオール中銀総裁と利下げについて協議したことを明らかにしているが、総裁は早すぎる緩和は正当化されないと、市場の早期利下げ期待をけん制する発言を行っており、今回の中銀理事会では据え置きが見込まれている。大統領の示唆した7月もしくは8月の金利低下に向けた何らかの示唆があるかどうかが焦点に。大手格付け会社がトルコの利下げは今年第4四半期との見通しを示すなど、ここにきて市場は当面の据え置きを見込んできているだけに、利下げへの姿勢が強く示されるとトルコリラ売りも。リラ円は12円50銭割れを試す可能性がある。
日銀金融政策決定会合
6月17日18日
☆☆☆
 日銀金融政策決定会合が17、18日に開催される。結果発表は18日昼前後。会合では、9月末で期限を迎える新型コロナ対応の資金繰り支援特別プログラムの延長が決定される可能性がある。今回見送られても7月の会合での決定が見込まれ、延長は基本路線。日銀は改めて景気支援対応の強化を示す形となる。延長決定自体にサプライズ感はないが、テーパリング観測が広がる米国や欧州の状況との対比がどこまで相場に影響してくるか。FOMCの結果次第で米国のテーパリング期待が強まる中で日銀の緩和姿勢強化が示されると、ドル買い円売りにつながる可能性。ドル円は111円に向けた動きも。

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