2021年11月15日号

(2021年11月08日~2021年11月12日)

先週の為替相場

米消費者信頼感指数がドル高誘う

 10日発表された10月の米消費者物価指数が市場予想を大幅に上回ったことをきっかけにドル買いが優勢となった。

 週前半はドル売りが優勢だった。先々週後半からのドル売り基調が継続し、1ドル=112円70銭台までドル安が進む場面が見られた。5日発表の10月の米雇用統計は強めに出たものの、4日ごろから始まった米長期債利回りの低下が止まらず、ドル売り優勢の流れになった。

 指標となる米10年債利回りが節目の1.50%を下回ったためドル売りが加速。10月11日に回復した113円台を維持してきたが、112円台へドルが下落した。その後も上値の重い展開が週半ばまで続いた。

 1ユーロ=1.16ドル台を一時回復するなど、ドル売りがユーロなど対欧州通貨でも優勢。4日の英イングランド銀行(中央銀行)金融政策会合後はポンド売りが目立っていたが、1ポンド=1.34台後半から1.36台を一時回復するなどドル全面安の動きが一時強まった。

 ドル主導の展開でドル以外の他通貨と円のペアは明確な方向性を見せなかったが、ユーロの対円相場はドル安円高の勢いに若干頭が重かった。

 注目された米消費者物価指数の発表を前に、ポジション調整などもあって1ドル=113円台を回復し、1ユーロ=1.15ドル台を付けた。米消費者物価指数の前年比は予想を超える+6.2%。変動の激しいエネルギーと食品を除いた「コア」の前年比も4.6%まで上昇。

 米国の物価上昇が加速する中、市場の早期利上げ観測が強まり、ドルが買われた。

 ドル全面高の流れの中、1ドル=114円台にドルが上昇。先週末12日午前の東京市場で114円30銭前後までとドルが買い進まれ、11月初め以来のドル高となった。対ユーロでもドルが買われ、1ユーロ=1.14ドル台半ばを割り込むユーロ安となった。もともとのポンド安の地合いもあって1ポンド=1.3350台までポンドが下落した。

 その後は週末を前にしたポジション調整の流れとなり、1ドル=113円台までドルが下落した。11月のミシガン大学消費者信頼感指数(用語説明1)が事前予想を大きく下回る弱い結果となったことで、113円70銭台を付ける場面もあった。もっとも、ユーロの戻りが1ユーロ=1.1460ドル台にとどまるなどドル高基調は継続していた。

 その他目立ったところでは、トルコリラが対ドルでの心理的な節目である10.00(用語説明2)超えまでのドル高リラ安となった。今週予定されているトルコ中央銀行の金融政策理事会で利下げが見込まれていることから、リラ売りが出やすい地合いになっている。

今週の見通し

 先週一時大きく下げていた米長期債利回りが回復傾向を見せており、先週末にはベンチマークとなる米10年債が1.57%台に上昇。週明けも1.56%台で推移し、ドルを支えている。

 もっとも1ドル=114円台後半はドル売り注文が並んでいるとみられ、10月20日に付けたパンデミック後のドルの最高値114円70銭がやや遠い印象だ。ドルは下がると買いが出る流れだが、上値では売りも出て、114円を挟んだレンジ取引が基本となりそうだ。

 期待感はドル高方向。9月後半からの大きなドル上昇トレンドが継続中とみられる。ドルは下がると買いが出る流れが続き、上値追い再開のタイミングを計る展開か。

 対欧州通貨でもドル買い優勢の展開。1ユーロ=1.1430ドル台がしっかりで、上値が重いが下押しには慎重な雰囲気が強い。1ユーロ=1.1450ドル前後のレンジ取引を中心に1.1400-30の下値支持線を崩しにいく展開が予想される。

 ポンド売りドル買いの動きに傾いてくる可能性がある。先月末の1ポンド=1.38ドル台からのポンド売り基調が続き、11月4日の英イングランド銀行(中央銀行)金融政策委員会(MPC)後に下げが加速。急速なポンド安への警戒感も出ているが、ポンドが値が戻せば売りが出る流れか。

 ドル主導の展開で、他通貨と円のペアは読みにくい展開。先々週156円前後から大幅なポンド安円高となったが、ポンドは安値圏でもみ合う中で上値が重くなり、じりじりと下値を広げている。目先153円台後半が重いが、153円台に乗せたあたりから上値が重くなるようだと、ポンドはもう一段の下落も予想される。

用語の解説

ミシガン大学消費者信頼感指数 ミシガン大学サーベイリサーチセンター(Survey Research Center)がアンケート調査を基に毎月発表している消費者マインドに関する指標。1966年を100として指数化されている。8月13日に発表された8月分の速報値が市場予想を大きく下回り、パンデミック後の最低水準(当時)となる70.2を記録したことで、新型コロナ感染拡大などを受けた米国の景況感悪化が懸念された。今回はその時の数字をさらに下回る66.8と2011年11月以来の低水準となった。
10.00 長期にわたって下落傾向が続くトルコリラ。2010年代前半に1ドル=1.50-2.00リラで推移していたが、2010年代中ごろからドル高リラ安が顕著になってきた。2018年夏の同国による米国人牧師拘束を巡って米国が経済制裁を発動したことをきっかけにリラ売りが加速。節目の5.00リラでは止まらず7.20リラを超えた。いったん5.13台まで調整が入ったが近年のインフレ加速と度重なる中央銀行の正副総裁など要人の解任に、リラ売りが加速する流れとなっている。特に今年9月のトルコ中銀による予想外の利下げ後はドル高リラ安が加速し、利下げ前から20%超のリラ安に動いた。

今週の注目指標

米小売売上高(10月)
11月16日22:30
☆☆☆
 前回9月の米小売売上高は新型コロナ感染拡大やサプライチェーン問題、9月の雇用統計の弱さなどから、前月比マイナス圏が見込まれていたが、予想に反して+0.7%と堅調だった。自動車販売が予想に反した売り上げ増に寄与した。サプライチェーン問題もあって販売台数は伸び悩んだが、新車の平均販売価格が史上初めて4.5万ドルを超え、売上高では強い数字となった。今回も同様の傾向が続くと期待されていることに加え、雇用の回復が見られるため、小売売上高の伸びが期待される。市場予想は前月比+1.3%。予想通りかそれ以上の好結果が出ると、1ドル=114円台に乗せ、ドルは上値を試すきっかけとなる可能性がある。
英消費者物価指数(CPI・10月)
11月17日16:00
☆☆☆
 17日に英国の物価統計(消費者物価指数・生産者物価指数・小売物価指数)が発表される。インフレ目標の対象でもあり、最も注目度が高い消費者物価指数前年比は+3.9%と前回の+3.1%から一段と上昇する見込み。ここ2カ月は英国のインフレ目標(2%)の許容上限である3.0%を超え、英中銀総裁が財務省に説明と対応方針を示した書簡を提出している。今回はエネルギー価格上昇もあり、さらなる上昇が見込まれる。11月4日の英中銀金融政策委員会(MPC)では金利市場などの期待に反して政策金利の据え置きを7対2の大差で決めたが、予想通りかそれ以上の物価上昇率なら12月16日のMPCでは利上げに踏み切らざるを得ないとの見方が出ている。消費者物価が強めに出ると、1ポンド=154円台を目指すポンド高の可能性。
トルコ中銀政策金利
11月18日20:00
☆☆
トルコ中銀は9月の中央銀行理事会で政策金利を市場予想に反して19%から18%へ引き下げた。10月理事会では利下げ自体は予想されていたが、利下げ幅が市場の予想を超え、18%から16%へ引き下げられた。一方でトルコの物価は上昇傾向を続けており、10月の同国消費者物価指数は前年比19.89%だった。9月の利下げの前にカブジュオール中銀総裁は物価について、食品とエネルギーを除く「コア」で見ていくと述べたが、10月のコア物価上昇率は16.82%と現在の政策金利を上回る。ただ、エルドアン大統領の低金利志向もあって、今回も利下げが実施される見込み。1.0%ポイントの利下げ見通しが大勢だが、予想を超える引き下げ幅になる可能性もあり要注意。予想を超える利下げや、今後も利下げに前向きな「ハト派」姿勢を継続する方針が示されると、1リラ=11円割れを試すリラ安円高の可能性が出てくる。

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