2022年01月24日号

(2022年01月17日~2022年01月21日)

先週の為替相場

株安受けリスク警戒

 17日からの前半は円売りが強まったが、その後は円買い優勢に転じた。米国株を中心とした世界的な株価下落がリスク警戒感を増し、円買いを誘った。

 17日の米国はキング牧師の日で休場。先々週末のNY市場でドル安円高に対する調整の動きが見られた流れを引き継ぎ、米国勢不在の中でドル買い円売りが強まり、1ドル=114円台後半を付けた。

 17日・18日の日銀金融政策決定会合は世界的に金融引き締めが広がる中、注目を集めた。日銀は経済・物価見通しの展望(展望リポート:用語説明1)で、2022年の物価見通しを前回の0.9%から1.1%へ上方修正。物価見通しの評価リスクについても、従来の下振れリスクが大きいとの表現を概ね上下均等に修正するなど一定の前向き姿勢が見られた。しかし、金融緩和の堅持を示すなど慎重な姿勢を崩さなかったこともあり、展望リポート発表後は円売りが強まり、1ドル=115円台に乗せた。

 その後は一転してドル売り円買いが強まった。米国の金融引き締め観測から米国株が売られ、欧州株などその他主要株式市場も軟調な中で、リスク回避の円買いが優勢だった。

 ウクライナ情勢の緊迫化からリスク回避の円買いが一部で出ていたと見られる。

 ドルは対円で週末にかけて売られ、1ドル=113円60銭台まで値下がりしている。対円を除けばリスク警戒のドル買いが優勢で、先週前半の1ユーロ=1.14ドル台前半から1.1300ドルに迫り、1ポンド=1.3690ドル前後から1.35ドル台半ばまでポンドが下落した。

 18日の1ユーロ=131円10銭台から128円50銭台を付けるなど、円に対して他通貨が軟調だった。

今週の見通し

 世界的な金融引き締めが警戒されている。特に米国の金融引き締め観測が強まる一方で、3月15、16の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%利上げを織り込むだけでなく、0.5%利上げを行う可能性も意識されている。0.5%利上げなら2000年5月以来約22年ぶりとなる。当時は1999年6月以降の利上げサイクル(用語説明2)で最後の利上げだった。利上げサイクル初回の0.5%引き上げとなれば、特別な状況との印象になる。

 米国の2022年中の追加利上げは今月初めまで年3回が中心的な見方だった。その後、年4回を織り込む動きが強まった後、さらに5回以上の利上げを想定する動きにまで利上げ観測が強まっている。一部では年7回の利上げも予想されている。

 米政策金利の引き上げ観測は本来ドル買い材料だが、米国株には強力な売り材料になる。急激な金利の変化に対する警戒感からドル買い以上にリスク警戒の円買いが入りやすい地合いとなっており、ドルは対円で上値の重い展開になりそうだ。

 ユーロやポンドに対するドル買いが見られ、ドル下落圧力以上にドル以外の他通貨の対円での下落のリスクが高い状況。

 ただ、3月25、26日のFOMCまでは動きにくい面もある。テーパリング(金融緩和の段階的縮小)の最中だけに今週のFOMCは政策金利の据え置きが見込まれ、市場は声明文やパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長による会見内容に注目している。3月の利上げにかなり前向きな姿勢が示されると、0.5%利上げの観測が強まる可能性があり、週半ばまでドルは下値を意識しながらも、もみ合いが続く可能性がある。

用語の解説

展望レポート 日本銀行が年8回開催する日銀金融政策決定会合のうち4回(通常1月、4月、7月、10月)で公表される経済や物価情勢の見通し。正式名称は「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」。先行きの経済・物価見通しや上振れ・下振れ要因を詳しく点検した上で金融政策運営の考え方を整理したもの。
99年6月からの利上げサイクル 90年代に起きたアジア通貨危機、ロシア危機、ヘッジファンドLTCM破綻ショックなどへの対応もあり、90年代半ば以降に米FRBは政策金利を6.00%から4.75%へ引き下げた。金融危機の影響が一服すると米国はITバブルを迎え、一転して利上げサイクルに入った。この時は99年6月から合計6回の利上げで政策金利は6.5%へ引き上げられた。

今週の注目指標

カナダ中銀政策金利
1月27日00:00
☆☆
 カナダ銀行(中央銀行)は昨年12月の金融政策委員会で、市場予想通り政策金利の据え置きを決定。2022年4月の利上げ着手の可能性がありとする従来からの見通しも維持したたため、今回の委員会では金利据え置き見通しが大勢。ただ先週発表された12月のカナダ消費者物価指数の上昇率が前年比4.8%まで上昇するなど、物価高騰が著しい。12月の雇用統計で予想以上に雇用者が増え、失業率が低下するなど雇用市場が堅調なこともあり、一部で利上げ観測がある。利上げが実施ならサプライズとなり、1ドル=1.24カナダ台前半を試すドル安カナダ高も予想される。
米連邦公開市場委員会(FOMC)
1月27日04:00
☆☆☆
 前回12月のFOMCでは11月に始まったテーパリングを加速して今年3月に終了するペースとした後、議事要旨では市場の見通し以上に前向きな姿勢が示され、3月のFOMCでの利上げ開始が予想されている。今回はテーパリングの最中ということもあり、金融政策は現状維持の見込み。注目は声明文やパウエルFRB議長の記者会見で3月利上げに向けた力強いメッセージがあるか。利上げへの強い意欲を示しながら、3月実施については言及を避けるようだと市場の利上げ観測の強さの反動でいったんドル売りが強まり、1ドル=112円台半ばに向けたドル安円高も予想される。
米第4四半期GDP速報値
1月27日22:30
☆☆☆
 2021年第3四半期(7-9月期)は個人消費の伸びが鈍化したこともあり、GDP増加率は市場予想を下回る年2.0%にとどまった。第4四半期(10-12月期)は個人消費の回復期待もあってGDPは大幅な伸びが予想される。市場予想は前期比年率5.3%、アトランタ地区連銀によるGDP推計「GDPNow」では前期比年率5.1%の見込み。予想通り強めの数字が出てくるとドルを支える材料となるが、株安進行で警戒感が強い地合いだけに、予想を下回った場合は大幅なドル安円高となり、1ドル=111円台の円高も視野に入る。

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