2022年02月21日号

(2022年02月14日~2022年02月18日)

先週の為替相場

ウクライナ情勢をにらむ展開が続く

 2月14日からの週は、ウクライナ情勢の緊迫化が市場を左右する最大の要因となった。

 サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)が11日、北京五輪期間中にロシアがウクライナに侵攻する可能性があると指摘し、先週は1ドル=115円01銭前後まで円が強含むなど警戒感がやや強まった。ドイツがエネルギーをロシアに依存しているため、ユーロはドル以上にウクライナ問題の影響が大きく、1ユーロ=130円00銭台のユーロ安円高に振れた。

 その後ラブロフ・ロシア外相(用語説明1)が米国や北大西洋条約機構(NATO・用語説明2)との会談の継続を検討することは可能だと発言。交渉継続路線をプーチン・ロシア大統領も了承したため、警戒感はやや緩み、ドルや他通貨は対円で買い戻された。

 その後ロシアのインタファクス通信が「軍事演習後にロシア軍の一部部隊が基地に帰還へ」と報じ、市場の警戒感はさらに後退。米国株が大幅反発するなどリスク資産が買われる中、1ドル=115円80銭台、1ユーロ=131円90銭前後と、対円でドル、ユーロともに上昇した。

 1月25、26日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、バランスシートの大幅縮小、2015年からの利上げ局面より早いペースでの利上げが正当だとする指摘があった。ただ、大幅利上げ観測をさらに強める材料はほとんどなく、議事要旨の公表後はドル売りが優勢となった。

 先週後半は円買いが強まった。ウクライナ東部の紛争地域でウクライナ軍が迫撃砲を発射したとの一部報道で円が買われ、1ドル=114円70銭台にドルが下落。ユーロも上値が重くなった。

 その後、米ロ外相会談の開催で合意したと報じられると、1ドル=115円20銭台まで急速にドル高円安に動いたが、週末にかけては115円割れを再び付けるなど円買いドル売りがやや優勢となった。

今週の見通し

 引き続きウクライナ情勢を注視。

 24日に米ロ外相会談が予定され、マクロン仏大統領の仲介で米ロ首脳会談も開催(日時未定=日本時間2月21日夕方時点)に向けて調整中であり、交渉による事態打開に向けた期待が広がりつつある。

 これらの会談はロシアのウクライナに侵攻していないことが大前提。米ホワイトハウスは声明でロシアが本格攻撃の準備を継続中だと指摘しているが、会談まで侵攻の可能性が低いとの見方から円売りが強まりそうだ。

 ただ、ロシアが北大西洋条約機構(NATO)の東進停止を法的拘束力のある形で保証することを求める一方、米国は反発。交渉は難航が予想されるため、リスク警戒感の後退による円売りは限定的か。

 115円00銭中心のレンジ取引が続くドルは次の方向性を探る展開が予想される。米ロ首脳会談による地政学リスク後退観測を背景に円売りが出ても、115円台後半にかけての水準が重くなるようだと、一転してドル安方向を試す可能性が強まり、1ドル=113円台半ばを目指す展開も予想される。

 ウクライナ情勢次第でユーロは対円で数円単位の大きな値動きが予想され、市場参加者は慎重な対応が求められる。1ユーロ=132円手前が少し重くなっている印象があり、ユーロは上値が抑えられると、1月後半に付けた今年の最安値128円25銭前後に向かう動きも予想される。

 ユーロドルは目先1ユーロ=1.14ドルが重く、この水準を超えても1.15ドル手前ではユーロ売りが出てやや上値の重い展開となりそうだ。一方、1.1270ドル前後を割り込むとユーロ安に拍車が掛かる可能性もある。

用語の解説

ラブロフ外相 セルゲイ・ヴィクトロヴィチ・ラブロフはモスクワ出身のロシアの政治家・外交官。モスクワ国際関係大学を卒業後、旧ソ連外務省に入省。ロシア連邦成立後も外務省に勤務し、1992年から1994年までロシア外務次官を務めた。国連大使などを経て2004年に外務大臣に就任した。
北大西洋条約機構 北大西洋条約機構(NATO:North Atlantic Treaty Organization)。北大西洋地域における「集団防衛」「危機管理」及び「協調的安全保障」を目的とした軍事同盟構築のための条約である北大西洋条約の執行機関。米国・フランス・英国・カナダ・イタリアなど12か国でスタートし、1955年に当時の西ドイツが加盟。その後も拡大を続け現在30か国が参加している。旧ユーゴスラビアのボスニア・ヘルツェゴビナ、旧ソ連のジョージア、ウクライナが参加を希望している。

今週の注目指標

ユーロ圏購買担当者景気指数(PMI・2月)
2月21日18:00
☆☆☆
 21日にユーロ圏及び加盟主要国と英国の購買担当者景気指数(PMI)が発表される。ウクライナ情勢が緊迫化する中、影響を大きく受ける欧州の景況感の変化が注目される。ユーロ圏最大の経済大国ドイツは、天然ガス輸入のかなりの部分をロシアに頼っており、エネルギー問題へ懸念が広がっている。17時半に発表されるドイツのPMIは製造業、非製造業ともに前回から小幅に上昇する見込み。18時発表されるユーロ圏PMIは製造業が前回からわずかに鈍化しそうだが、非製造業は前回から小幅上昇の見込みと、市場予想はウクライナ情勢の影響をそれほど強く受けていない。ただ市場の見通しよりも影響が強く出て弱めの結果になればユーロ売りが広がり、1ユーロ=1.12ドル割れも視野に入ってくるだろう。
NZ中銀政策金利
2月23日10:00
☆☆☆
 NZ中銀は昨年10月、7年ぶりに政策金利を引き上げ、11月に追加利上げを実施した。1月29日に発表された2021年第4四半期の消費者物価指数が前年比5.9%と第3四半期の4.9%から上昇したこともあり、今年初の会合となる2月23日の理事会では3会合連続利上げが見込まれている。0.25%の利上げ予想が大勢だが、短期金利市場は0.50%利上げを16%ほど織り込んだ水準で推移している。大幅利上げか、0.25%利上げでも追加利上げ姿勢が強く示された場合はNZドルが買われ、1NZドル=78円超えを意識する展開が予想される。
米ロ外相会談
2月24日
☆☆☆
 ウクライナ情勢の緊張が続く中、ブリンケン米国務長官とラブロフ・ロシア外相が24日、欧州で会談する。ロシアはNATOのさらなる東方拡大の停止を法的拘束力のある形で保証することを求めているが、米国が要求に応じる可能性は低く、交渉は難航が見込まれる。交渉が完全に決裂すればロシアによるウクライナ侵攻の可能性がさらに高まるだろう。議論が平行線に終わっても、今後の交渉継続に向けた道筋などを示すことが出来れば1ドル=115円台後半のドル高円安が予想される。

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