2022年03月07日号

(2022年02月28日~2022年03月04日)

先週の為替相場

ユーロ売り強まる

 ウクライナ情勢の深刻化がユーロ売りにつながった。米欧が2月27日の共同声明で、ロシアへの追加制裁を発表。国際銀行間通信協会(SWIFT)からのロシア主要銀行の排除やロシアによる外貨準備の利用制限などが示されると、週明けはユーロが売られ、円とドルが買われた。ドル円では円買いの勢いが強く、先々週末2月25日の1ドル=115円50銭台から114円80銭台へドルが急落。ユーロは売りの勢いが強く、2月25日の1ユーロ=130円台後半から128円近くまで、1ユーロ=1.1270台から1.1120台へそれぞれユーロが下落した。

 ドルは急落後に買い戻され、下げ分を埋めた。ユーロは対ドル、対円とも値を戻し切れなかったが、1ユーロ=129円70銭台を付けるなど下落が一服した。

 その後、米国株安から円が買われ、再び1ドル=114円台を付けた。ウクライナとロシアの停戦協議が難航し、ロシア国防相が「ウクライナでの作戦を目標達成まで継続する」と発言したこともあり、リスク回避ムードが強まった。ウクライナの首都キエフのテレビ塔が爆撃される映像が世界に流れたことも警戒感を強め、127円台前半、1.11ドル割れのユーロ安に振れた。

 先週半ば、ドルはいったん値を戻した。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が下院金融サービス委員会での議会証言(用語説明1)で、3月15、16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での市場が織り込んでいた0.25%利上げに言及。インフレが高止まりすれば0.5%利上げもあり得るとしたことで、5月以降のFOMCでの大幅利上げ観測が強まり、ドル高円安となった。

 1ユーロ=127円台前半から128円70銭台までユーロが戻すなど、リスク警戒感も一時後退していた。

 しかし、週末にかけてユーロ売りが再燃した。ウクライナ南東部にあるザポリージャ原発(用語説明2)をロシア軍が砲撃したとの報道が警戒感を高めた。

 1ユーロ=125円00銭台までユーロ安円高が進み、対ドルでもユーロが売られ、1ユーロ=1.0880ドル台を付けた。ドル買いより円買いの勢いが強く、114円60銭台の円高となった。

今週の見通し

 ウクライナ情勢をにらむ。

 ウクライナ情勢が泥沼化しつつある。ロシアとウクライナの戦力差は大きく、首都キエフなどウクライナの主要都市が相次いで陥落する可能性がある。一方、米欧などの厳しい経済制裁から、ロシア国民の不満が高まって政情の不安定化を招き、事態が鎮静化に向かう可能性もある。

 先週まで2回の休戦協議は決裂した。今週も7日に3回目の休戦協議が実施される見込みだが、非武装化などのロシアによる要求をウクライナが受け入れる可能性は低く、協議は難航が予想される。

 ユーロ売りとドル買い円買いの流れの中、ユーロの下値が注目される。ロシア産原油・天然ガスの取引が完全に止まれば欧州のエネルギー不足が深刻化する。2020年のロシアの原油生産量は米国、サウジアラビアに次いで世界3位(シェア12.1%・BP調査)と多く、約半分が欧州向けとみられる。他国による代替は難しく、欧州のエネルギー不足が強く懸念されている。

 対円でのユーロ安が一段と進めば、ドルも対円で頭の重い展開になるだろう。対円など一部を除いて強いドル買い意欲が下値を支えているが、ドルが戻る場面では売りが出てくるだろう。

 1ドル=114円割れも視野に入ってきた。ドルは115円台前半で上値が重くなれば、見切り売りが強まる可能性もある。

 ユーロは上値が重く、対円での目標値設定が難しい。対ドルや対スイスで売りが強まれば、ユーロは2020年11月に付けた121円70銭前後に向けた下落も予想される。

用語の解説

議会証言 米連邦準備制度理事会(FRB)が、上下両院で半年ごとに実施する経済情勢や金融政策についての証言。1978年制定の「完全雇用均衡成長法(通称:ハンフリー・ホーキンス法)」によって義務付けられ、同法が失効した2000年以降も慣例として続いている。
ザポリージャ原発 ウクライナ南東部ザポリージャ州にある原子力発電所。1981年着工、1985年に最初の一基が稼働開始。各1000MWほどの1~6号基からなり、計6000MWと欧州最大の発電能力を持ち、日本の柏崎刈羽原発、カナダのブルース原発に次いで世界第3位の総発電量。ウクライナ全体の約1/5の電力を供給する。

今週の注目指標

欧州中央銀行(ECB)理事会
3月10日21:45
☆☆☆
 前回2月3日のの定例理事会後、市場でECBの年内利上げ予想が一時強まった。2月のユーロ圏消費者物価指数(概算値速報)が過去最高水準となる前年同月比5.8%に上昇するなど、著しい物価上昇が背景にある。前回の理事会後のラガルドECB総裁の会見でも姿勢の変化が見られた。昨年までの理事会では、2022年中の利上げについて「Very Unlikely(非常に可能性が低い)」と表現していたが、前回の会見ではこの表現を取りやめ、データを基に、非常に慎重に評価する作業を3月に行う予定と発言している。しかし、ウクライナ情勢の深刻化から市場の早期利上げ観測が後退。今回の声明や記者会見では慎重姿勢が再び強まるとの思惑が広がっている。会合後、年内の利上げ期待が大きく後退するようだとユーロ売りが加速し、1ユーロ=123円台を意識する展開となろう。
米消費者物価指数(CPI・2月)
3月10日22:30
☆☆☆
 前回1月分は市場予想を上回る前年同月比+7.5%と、1982年以来の上昇を記録した。変動の激しい食品とエネルギーを除いたコアでも+6.0%と同じく1982年以来の高水準だった。堅調な雇用情勢と歴史的な物価高を受けて、市場では前回の発表後、3月FOMCでの0.50%利上げ予想が一時主流となった。ウクライナ情勢の深刻化から、3月の大幅利上げ観測は後退したが、パウエルFRB議長が物価の高止まりが続けば大幅に利上げする可能性があることを示唆しており、物価統計への注目度が高まっている。2月の米消費者物価指数はもう一段の上昇が見込まれる。直近の物価を押し上げているエネルギー価格の上昇傾向が継続。2月の全米ガソリン価格は、米エネルギー情報局(EIA)による全米全種平均の小売価格ベースで前月比5.8%の大幅高となっている。サプライチェーン問題が継続する中、もう一つの大幅上昇要因である中古車・価格も上昇傾向が続いているとみられている。市場予想が予想する前年同月比は7.9%、コア前年比は6.4%。予想通りかそれ以上の物価上昇はドル買いの材料となりそう。ウクライナ情勢もあり、ドル高円安の進行は難しいが、1ユーロ=1.08ドルを割り込む展開も考えられよう。
EU首脳会議
3月10日・11日
☆☆☆
 今年上半期の欧州連合(EU)理事会議長国であるフランスが10、11日に主催し、特別欧州理事会(EU首脳会議)を開く。ウクライナが希望するEUへの早期加盟問題も討議される見通し。ウクライナのEU加盟をスロベニアのヤンシャ首相が完全に支持すると表明しているほか、複数国が前向きな姿勢を示している。ドイツのベーアボック外相は、EU加盟は数か月で行えることではないと慎重な姿勢を示すが、ウクライナは欧州の一部だとして歓迎する姿勢も示している。対ロシア追加制裁を含めウクライナ支援の姿勢がEU全体の意向として明確化し、ロシアが強く反発するとユーロ売りが加速もする可能性がある。

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