2022年08月22日号

(2022年08月15日~2022年08月19日)

先週の為替相場

一時137円台のドル高円安

 先週(8月15-19日)はドル高が進んだ。前半に一時ドル売り円買いが強まったが、対ユーロでは週前半からドル高の流れが続いた。

 先週は1ドル=133円台半ばでスタート。15日に発表された7月の中国小売売上高と鉱工業生産がともに市場予想を大幅に下回り、6月と比べて前年比の伸びが鈍化したことで、リスク警戒から円買いに132円台半ばまでドルが下落した。その後はドル全面高の流れから買い戻しされた。16日発表された8月の独ZEW景況感指数が-55.3と前回からさらに悪化したことを受けたユーロ売りドル買いなどが主導し、ドル高の勢いが強まる中で134円台を回復した。

 17日に発表された7月の米小売売上高は自動車を除くコア部分で前月比+0.4%と、前月比でマイナス圏の市場予想に反する好結果を受けてドル買いがさらに強まった。米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(7月開催分)の発表を前に1ドル=135円台半ばに上昇した。

 FOMC議事要旨では、必要以上に金融引き締めを進めるリスクを認識していることや利上げペース鈍化の可能性を見ていることが確認された。議事要旨公表後は一時1ドル=134円台後半までドルが売られた。

 もっとも、その後はドル高の勢いが強まった。18日発表された8月のフィラデルフィア連銀景況指数が予想外のプラス圏に浮上。積極的な金融引き締めを目指す「タカ派」で知られるブラード・セントルイス連銀総裁(用語説明1)が次回FOMC(9月20、21日)での0.75%利上げを支持すると報じられたこともドルを押し上げ、18日の海外市場で1ドル=135円台後半を付けた。19日に発表された日本の全国消費者物価指数(7月)が前年同月比+2.4%(生鮮食料品を除く)と、4カ月連続で日銀が政策目標とする2%を上回ったにもかかわらず、円買いがあまり進まなかったため、ドル買い円売りに安心感が広がり、東京市場で136円台を付けた。その後の海外市場でドル高の勢いはさらに強まり、137円20銭台までドルが買い進まれた。

 一方、先々週11日に付けた1ユーロ=1.03ドル台後半を高値とするユーロの下落基調が強まった。16日発表の独ZEW景況感指数の弱さに加え、17日発表のユーロ圏第2四半期GDP改定値の速報値からの下方修正、シュナーベルECB理事(用語説明2)による「短期的なインフレがさらに加速する可能性を排除しない」との発言などがユーロ売りを誘い、先週末に1.00台前半までユーロ安ドル高に動いた。

 その他通貨では、17日にニュージーランド準備銀行(中央銀行)が市場予想通り0.5%の利上げを実施。金融政策報告で政策金利見通しを引き上げたこともあり、発表後はNZドルが買われた。トルコ中央銀行は18日、予想外に利下げを実施した。7月の同国消費者物価指数が前年同月比+79.6%、同生産者物価指数が前年比+144.61%と物価高騰が進む中での利下げを受けて、1ドル=17.95リラ前後から18.10リラ超えまでドル高リラ安が進行した。

今週の見通し

 中国の経済指標が低調なことや欧州のエネルギー問題への警戒感などから、世界的な景気停滞懸念が広がる中、比較的堅調な米国経済指標を背景にドル買いが入りやすい。

次回FOMCでの利上げについて見方は分かれており、ドル高の大幅な調整が入る可能性がある。金利先物市場が織り込む将来の政策金利水準を示す「CME FedWatch」では、次回FOMCでの利上げ幅は0.50%が53%、0.75%が47%とほぼ拮抗している。

市場は今週後半の米ジャクソンホール会議(25~27日開催)に注目している。世界の中央銀行要人や金融関係者などが集まり、今回のテーマは「Reassessing Constraints on the Economy and Policy」(経済と政策における制約の再評価)。26日午前10時(日本時間同午後11時)開始予定のパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の基調講演では、テーマに沿う形で今後の経済見通しについて言及が予想される。

 前回(7月26、27日)FOMCでは、今後の利上げは「データ次第」とされ、今後の利上げ幅縮小の口実を探していると見る向きもある。もっともFRBは物価高に積極的に対応していく姿勢を崩していない。パウエル議長が講演で物価高対応を強調し、積極的な利上げ姿勢を維持すると、次回FOMCでの0.75%利上げ観測が強まり、1ドル=140円超えのドル高円安に向けた動きが強まりそうだ。

 ユーロも対ドルで7月の安値割れが予想され、節目の0.99ドルを割り込むとユーロ売りが加速する可能性がある。

用語の解説

ブラード・セントルイス連銀総裁 ジェームズ・ブラード(James Bullard)セントルイス連銀総裁。ミネソタ州出身。インディアナ大学で経済学の博士号を取得後、セントルイス連銀入り。副総裁などを経て2008年4月より現職。米国の地区連銀総裁の中でも、インフレ対応に積極的で利上げ志向の強いタカ派の代表格として目されている。
シュナーベルECB理事 イザベル・シュナーベル(Isabel Schnabel)ECB理事。独マンハイム大学、仏ソルボンヌ大学、米UCバークレーなどで経済学を学んだ。独マンハイム大で博士号を取得後、同大学助教、独マインツ大学教授などを経て、2015年より独ボン大学教授(現在は休職中)。2014年から2019年まで独経済諮問委員会委員。2020年よりECB理事。金融安定をテーマとするバブル研究の権威として知られる。金融政策の姿勢は比較的中立。

今週の注目指標

ユーロ圏購買担当者景気指数(PMI・8月)
8月23日17:00
☆☆☆
 23日にユーロ圏と加盟主要国の製造業・非製造業の購買担当者景気指数(PMI)速報値が発表される。フランス、ドイツ、ユーロ圏はいずれも製造業・非製造業とも前月から悪化する見込み。エネルギー問題もあり、今後の欧州経済への警戒感が広がる中、予想を超えて景況感の悪化が進むと、7月14日に付けたユーロの直近安値1ユーロ=0.9952ドルを割り込んでユーロ売りが強まる可能性もある。
米購買担当者景気指数(PMI・8月)
8月23日22:45
☆☆☆
 前回7月の米PMIは非製造業が予想を大きく下回り、好悪判断の境となる50も下回り、米景気の先行きに対する警戒感が広がった。その後、同系統の指標であるISM非製造業景気指数が予想に反して6月より強い数字となったことで、警戒感が後退した。今回の市場予想は製造業が前回の52.2から小幅低下の52.0、非製造業が前回の47.3から大幅に改善して50.1となっている。非製造業が市場予想通り50を超えると、1ドル=139円台のドル高を試す展開もありそうだ。
米ジャクソンホール会議・パウエル議長講演
8月26日23:00
☆☆☆
 25日から27日にワイオミング州ジャクソンホールで、カンザスシティ連銀が主催する年次シンポジウム「ジャクソンホール会議」が開催される。注目は26日現地時間午前10時(日本時間同日23時)開始予定のパウエルFRB議長講演。同会議は歴代FRB議長が重要政策を発表する機会として利用してきた。今後の利上げ幅縮小に布石が打たれるとの思惑が市場の一部にあるが、積極的な利上げ姿勢を堅持するというのが大方の見方だ。市場予想通り積極利上げ路線を続ける方針が確認されればドルが買われ、1ドル=140円の大台超えのドル高の強力な材料となるだろう。

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