2023年02月27日号

(2023年02月20日~2023年02月24日)

先週の為替相場

ドル高円安が進む

 先週(2月20-24日)は2月3日から続くドル高円安の流れが強まり、一時1ドル=136円台半ばを超えた。

 2月17日の海外市場で135円台を付けた後、少し調整が入って先々週の取引を終了。先週はドル高調整の流れが継続して134円を割り込んだが、134円割れではすぐにドル買いが入り、その後はドル高が優勢となった。22日に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(1月31日、2月1日開催分)では、数人のメンバーが0.5%の利上げを支持したことが確認されるなどややタカ派的な姿勢が見られ、ドル高の流れを支えた。

 24日に衆議院議院運営委員会で実施された植田和男共立女子大学教授による日銀新総裁候補としての所信聴取(用語説明1)では、現行の金融政策を適切だとし、金融緩和を継続し、企業が賃上げできる環境を整えるなどの発言があった。総じてハト派的な姿勢。基本的には想定内との印象を与えた。植田氏の答弁中、1ドル=134円台で推移し、答弁終了後はややドル高円安となった。発言内容を受けた円売りというよりも、イベントを無難に通過したことで元々のドル高基調に戻ったようだ。

 同日発表された1月の米個人消費支出(PCE)デフレータ(用語説明2)は、前年比+5.4%と市場予想の+5.0%を超える伸びとなった。前回値も速報の+5.0%から+5.3%へ上方修正された。コアPCEデフレータも前年比+4.7%と市場予想の4.3%や前回値の4.6%(速報時の+4.4%から上方修正)を上回った。2月14日発表された先行指標である米消費者物価指数(CPI)の伸び率が市場予想を上回ったため、PCEデフレータもある程度の強い結果が予想されていた。しかし、12月分を大きく超える伸びは予想外で、ドル高が急速に進み、1ドル=136円台半ばを超えた。

 米PCEデフレータの強い結果を受けて米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ観測が再燃する中、ドルはほぼ全面高となり、20日の1ユーロ=1.07ドル台から24日に1.05ドル台前半までユーロ安ドル高に動いた。

 ドル主導の展開で、対ユーロなどドル以外の通貨と円のペアは方向性が定まらなかった。1ユーロ=144円台を付けた後、ユーロ安ドル高などを受けて142円台前半までユーロは下落したが、米PCEデフレータ発表後のドル高円安を受けて144円台を回復した。

今週の見通し

 2月初め、次回(3月21、22日)の米FOMCで利上げがいったん打ち止めになるとの見方が市場の大勢だった。しかし、2月に発表された米雇用統計をはじめとする主要指標が軒並み強く出たことで、3月FOMCでの利上げ休止予想はほとんど見られなくなった。さらに、前回0.25%に縮小した利上げ幅を3月FOMCで昨年12月FOMCと同じ0.5%に戻すとの見方が全体の30%近くまで増えるなど積極的な利上げが予想されている。

 ターミナルレート(利上げの終着点となる水準)も、2月初めの大勢は4.75-5.00%と、昨年12月FOMCで参加メンバーが示した5.00-5.25%を下回っていた。しかし、2月に発表された指標の強い結果を受けて5.25-5.50%以上の予想が多くを占めるようになり、ドル高につながっている。政策金利の市場想定シナリオの変化はかなりの期間にわたって相場に影響を及ぼす大きな材料だけに、ドル高が当面続きそうだ。

 日本の金融政策ついては、国会で次期日銀総裁候補として所信聴取に臨んだ植田和男共立女子大学教授が、現行の金融緩和政策を当面維持する姿勢を示しており、海外勢を中心に広がっていた長短金利操作(YCC)の再修正観測は後退している。米国の引き締め観測再燃と日本の政策修正観測後退という金融政策の見通しについての対照的な変化がドル高円安につながる中、中期的には1ドル=140円が意識される。ただ2月の値幅は約8円半とかなり大きく、急速なドル高円安への警戒感も生じており、短期的な調整がありそうだ。ドル高の調整局面で、134~135円でドル買いがしっかり出てくると、中期的にドル高を試す勢いが強まりそうだ。

用語の解説

所信聴取 一定の独立性や中立性が求められる機関の構成員の任命で、国会の同意を求める手続きの一環として行われるもの。国会同意が必要なポストは36機関253に上るが、そのうち、日銀正副総裁、人事院人事官、会計検査院検査官、公正取引委員会委員長、原子力規制委員会委員長は衆参両院の議院運営委員会で候補者の所信を聴取し、質疑を行う。
米個人消費支出(PCE)デフレータ 米商務省経済分析局(BEA)が発表する個人消費における物価動向を示す指標。名目個人消費支出をPCEデフレータで割り、実質個人消費支出を算出する。米国のインフレ目標の対象となる物価統計。変動の激しい食品とエネルギーを除いた数字をコアPCEデフレータとして同時に発表する。同系統の指標である米消費者物価指数(CPI)に比べて調査対象やデータの算出元、短期間に生じた消費行動の変化に対する調整などに違いがある。一般的にCPIより水準が低く出る。CPIに比べて発表が約2週間遅いため、市場はCPIに注目する場合が多い。

今週の注目指標

米ISM製造業景気指数(2月)
3月2日0:00
☆☆☆
 2月に入って米雇用統計をはじめとする米主要経済指標が軒並み強く出たことで、米FRBの利上げ観測が強まり、ドル高となった。そうした中、2月1日に発表された1月の米ISM製造業景気指数は47.4と12月の48.4から低下し、市場予想の48.0も下回った。内訳は新規受注が12月の45.1から42.5に、生産が48.6から48.0にそれぞれ低下し、ともに2020年半ば以来の低水準だった。
 今回の市場予想は47.8と小幅の改善が予想されるが、経済活動の拡大・縮小の境とされる50を下回る水準が見込まれている。同様の指標であるマークイット社による米製造業購買担当者景気指数(PMI)の2月速報値が47.8と1月の46.9から小幅な改善にとどまったことが背景にあるようだ。ただ、雇用関連で強い数字が並ぶ中、米景気の力強さが印象的となっており、製造業の景気指数も市場予想を超えて改善し、1ドル=136円台に向けたドル高となる可能性がある。
東京消費者物価指数(生鮮を除くコア・2月)
3月3日08:30
☆☆
 2月24日に発表された1月の全国消費者物価指数は生鮮食品を除くコア指数の前年比が+4.2%と、第2次オイルショックの影響を残す1981年9月以来41年4カ月ぶりの高水準だった。同日午前に衆議院議院運営委員会で行われた植田和男共立女子大学教授の日銀総裁候補としての所信聴取で物価高に対する質問があり、植田氏は1月の物価がとりあえずのピークであり、次回2月分のデータから大幅に下がったものが出てくるとして、現行の金融緩和策を当面続ける姿勢を示した。全国消費者物価指数の先行指標として位置付けられる東京都区部消費者物価指数の2月分で物価上昇の鈍化が確認できるかが注目される。市場予想は生鮮食品を除くコア指数が前年比+3.3%と、1月の同+4.3%から急速な縮小
が見込まれている。予想通りかそれ以上の鈍化だと日銀新体制下での緩和維持観測が補強され、136円台に向けたドル高円安が見込まれる。
米ISM非製造業景気指数(2月)
3月4日0:00
☆☆
 1月の米製造業景気指数が弱く出たことで、非製造業景気指数も弱めの数字が警戒されていたが、結果は55.2と12月の49.2から6.0ポイントの大幅上昇となった。2020年半ば以来の大幅な伸びだった。内訳は、製造業で落ち込みが目立った新規受注が12月の45.2から60.4へ大幅に伸びた。製造業の生産にあたる業況についても12月の53.5から60.4へ大幅に上昇した。物価上昇率拡大の一服を受けて仕入れ価格が小幅に低下した以外は各項目が上昇する力強い結果だった。
 今回は54.5と小幅低下が予想される。前回の大幅上昇の調整とみられるが、高水準的だ。マークイット社による米非製造業購買担当者景気指数(PMI)2月速報値は50.5と46.8から上昇しており、非製造業の景況感はそれほど弱くないという印象。2営業日前に発表されるISM製造業景気指数が予想から大きく乖離(かいり)せず、ISM非製造業景気指数も予想前後の結果を示せば相場への影響は限られるだろう。ドル高基調自体は継続するとみられ、1ドル=134円台がしっかりとした展開が続くだろう。

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